新鮮な感覚
みなさん、こんにちは。
小論文添削歴20年の元高校国語科教師、すい喬です。
今回は論理性をどうやったらアピールできるのかを考えてみます。
論文を書く時、誰もが最初に思うことは何か。
それはインパクトの強い説得力のある文章を書きたいということです。
自分独自の考えをなんとか強調して評価を得たい。
そのためには最初に課題文を正確に読み取らなくてはなりません。
次に内容を分類する作業に入るのです。
しかし内容をきちんと分けて整理するのは想像以上に難しいです。
要約するだけなら割合誰にでもできます。
ところがそこに1つの視点を入れて、内容の矛盾や対立を見つけ出すのは容易ではありません。
![](https://suikyoblog.com/wp-content/uploads/2020/03/undraw_Firmware_jw6u-1024x698.png)
わかりやすくいえば「問題発見能力」に関わってきます。
その問題に対して自分がどう関わろうとしたのかということが、アピールポイントになるのです。
それがないと、ただの繰り返しになってしまいます。
新鮮な感覚を強調するためにはどうしたらいいのでしょう。
課題文の内容にぴったりとくっついてばかりいたら、新鮮味が全く出てきません。
どうしても差異を探す必要があります。
その時必要になるのが視点の角度なのです。
俯瞰すれば、必ず1つの絵柄が出てきます。
いわゆる鳥の目、または鳥瞰図と呼ばれるものがそれです。
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ドローンをイメージしてください。
全体の構図を捉える時に、これほど有効な機器はありません。
想像力がなくても対象を鮮明につかまえることができます。
直接取材をしなくても、ある程度のイメージは確保可能なのです。
この図式に自分の考えを重ねれば、基本的な差異を含みこんだ文章ができるでしょう。
俯瞰図の限界
しかしどこまでこの方法で新鮮味を出しうるのか。
映像に比べて言葉で難解な論理を組み立て、説明を加えることはそれほど容易なことではありません。
この方法の1番弱い点はなんといっても生々しい経験がそこにしみこんでいないことです。
言葉は悪いですが「上から目線」の文章になってしまいがちなのです。
自分の意見だと主張されているものが、本当にそうであるのかという確証が得られません。
同時にここで必要になるのが「虫の目」です。
これは俯瞰的にものを見る方法ではありません。
どちらかといえば、ジャーナリズムの目ではないといえます。
文学に近いかもしれませんね。
鳥瞰図に対して虫瞰図という人もいます。
自分の内部に目を向け深く入りこんでいく作業になります。
この方法は時に新鮮な視点を確保するのに有効です。
しかしやりすぎると、ただのモノローグになってしまいがちです。
一方、バランス感覚を持って答えられる人には最強の武器になります。
文章の客観性が大切であることは言うまでもありません。
しかしそれだけでは評価が高くならないのです。
なぜか。
採点者はどうしても鳥瞰図的に見た文章を続けて読むことになります。
殊に入試ではその傾向が強いです。
![](https://suikyoblog.com/wp-content/uploads/2019/12/monkey-2803416_640.png)
その間に違った系統の虫瞰図的な論理があると、大変新鮮にみえるのです。
しかしこの方法は慣れないと失敗の元になります。
十分に注意して利用してください。
うまくいけば、かなりの高評価を得られます。
両刃の剣だと考えてください。
客観と主観
今の話を客観、主観という表現に置き換えると理解しやすいかもしれません。
あるいは外面、内面の差ともいえます。
課題文の内容をなんとか自分なりに消化する時、最も必要なのは軸をつくることです。
どこに軸があるかはっきりしない文章は評価が得られません。
本当に悩ましいです。
課題文を読んでまず考えることは例話と本論を分断することです。
初心者はどうしても例話に引きずられます。
理解しやすい部分だからです。
文章にはなんのために具体的な話が載っているのか。
それは本論をより理解しやすくするためです。
ここの部分にひっかかってしまうと、文章が冗長になります。
ダラダラとした内容の文が続くことになるのです。
これは絶対にNG。
核になる部分にだけ目を向けてください。
そこから最も中心的な言葉を探すのです。
何度も繰り返されて出てくる表現はありませんか。
それがキーワードです。
あるいはその周辺にある似た表現を見つけましょう。
![](https://suikyoblog.com/wp-content/uploads/2020/09/undraw_slider_5bgj-1024x713.png)
その言葉を中心に文章が回っているはずです。
鳥の目で探せば見つかるはずです。
怖いのは比喩です。
例話と同じ効果を持っています。
十分に注意してください。
断定的な言葉
論文は論理が勝負です。
虫瞰図でたまたまユニークな視点をみつけたとしましょう。
それがもし比喩か例話のようなものであったら、同じように注意をしなくてはいけません。
わかりやすい内容には甘い罠がたくさん用意されているのです。
断定的な言葉が論理的な文章には適しています。
しかしそうしたところは、だいたい内容が難しいです。
1度読んだだけではすぐに理解できません。
そこをなんとか咀嚼してください。
さらにその中に自分の意見を入れ込むのです。
究極のポイントは問題意識を持ち、自分の意見を探すことなのです。
この作業は大変な困難をともないます。
![](https://suikyoblog.com/wp-content/uploads/2019/08/フィードバック_1566355183-1024x649.jpg)
人間は全てのことを知っているワケではありません。
その時はむしろ素直に疑問を提出しましょう。
この内容がわからないと素直に疑問をぶつけてしまう手もあります。
なぜそれを疑問に思ったのか。
どうしたら解決すると考えるのか。
1つ1つ追い詰めていく方法もあります。
その姿が真摯であれば、高い評価が得られるでしょう。
いずれにしても方法はこれだけと決まっているワケではありません。
臨機応変にあらゆる手段を駆使して、果敢に挑む以外に手はないのです。
大切なことは明確な論理。
これにつきます。
たとえ虫の目で手に入れた大切な情報も、論理で処理しないと、台無しになってしまいます。
そのことだけは絶対に忘れないでください。
最後までお読みいただきありがとうございました。