大学入学共通テストは英語力の差を広げるという分析

学び

英語外部試験導入

こんにちは。

高校教師経験40年のすい喬です。

自分が高校生だった頃の大学受験。

それは熾烈な競争でした。

一浪を「ひとなみ」と呼び、現役で入学できるなどとは考えもしませんでした。

倍率も今では考えられないほどのものです。

団塊の世代がまさにこぞって大学をめざしたのです

国立大学も一期校、二期校に別れていました。

二期校コンプレックスなどという言葉さえあった時代です。

授業料も国立と私立ではまるで違いました。

7~8倍近くの開きがあったものと思われます。

しかしそれからいろいろな変革があり、共通一次試験、大学入試センター試験が登場。

大学間格差とか偏差値による輪切りなどと声高に語られ、修正に次ぐ修正が加えられました。

さて2020年度からいよいよ大学入学共通テストが始まります。

まだ全てが決定しているわけではありませんが、その骨格は見えてきています。

今回は特に注目の英語外部試験について詳しく見ていきます。

まだほとんど詳細を知らないという人も多いことでしょう。

外部試験をやるという話は耳にしたことがあるものの、その内側まで知っている人はあまりいません。

受験 photo

しかし2021年1月には、新しい試験が実施されます。

私立高校はこの情報に敏感に反応し、校内で新しいタイプの英語の試験などを実施しているところもあります。

また新しい入試に不安を持つ保護者の一部は、受験の心配のない大学付属の高校へ入学させたいと希望しているようです。

英語の4技能

今までのセンター入試にかわるものとして登場する大学入学共通テスト。

何が目的なのか。

それはグローバル化時代への道筋です。

外国人がどこにでもいるという環境。

隣の外国人とコミュニケーションがとれないと、生き残れない時代になりました。

そこで英語の持つ4つの技能に着目したというわけです。

今までのセンター入試は「読む」「聞く」がメインでした。

今度の共通テストではこれに「話す」「書く」が付け加わります。

しかしこの技能を試験で判断するのは大変に難しいのです。

そこで民間の外部試験を使って判定をしようということになりました。

現在申請しているのは次の7種類6団体です。

ケンブリッジ英検
GTEC CBT(ベネッセ)
IELTS(ブリティシュ・カウンシル)
TEAP(英検と上智大との提携)
TEAP CBT (英検と上智大との提携)
TOEFL iBT
実用英語技能検定(3級以上ただし従来型を除く)

聞いたことのない会社名もあるのではないでしょうか。

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TEAPというのは上智大と日本英語検定協会が共同開発したもので、「アカデミック英語能力判定試験」と呼んでいます。

英検の大学受験版とでも呼べばいいのでしょうか。

IELTSとTOEFL iBTはトップ層向き。

TEAPとGTEC CBTはどちらかといえば間口が広いのです。

この中で現在最も受験者が集中するだろうと予想されているのが英検です。

英検は全都道府県に独自の「テストセンター」を設置。

1日に複数回の試験を行い、連日実施することも可能と発表しています。

また話す能力を判定するための試験をコンピュータ上で受験できる「CBT方式」を導入する予定です。

このことにより、英語会話能力を持った試験官の確保をしなくてもすむようになりました。

ベネッセが主導するGTECは年4回実施する予定です。CBT方式で20年度は共通テストを活用する予定の高3生と浪人生だけに限定します。

受験回数も年2回に制限。

試験会場は大学、民間、都市部では高校も予定しています。

当初参加を表明していたTOEICは報道にあった通り、この試験からの撤退を明らかにしました。

あまりに達成基準が厳しく、実施は不可能と判断したようです。

判定の基準

さて実際に行われるそれぞれの会社の試験には、難易度を含めて、当然それぞれの特性があります。

それをどのように同一の基準で判定するのか。

もう少しみていきましょう。

現在決定している内容をみてみると、高校3年の4月~12月の間に2回受験が可能です

浪人生への対応はまだ決定していません。

それでは出力された成績をどのように判定するのでしょうか。

ここに登場するのがCEFR(セファール)と呼ばれる国際指標です。

CEFRは外国語の能力レベルを示す方法として広く世界的に使われています
スコアにより、最高がC2、次がC1、B2、B1、A2、A1の順になります。

英検の1級はどこにあたるかといえば、C1~B2まで。
準1級はB2~B1まで。

2級はB1~A2までです

それでは最高ランクのC2のスコアが出る試験はどれか。

ケンブリッジ photo

ケンブリッジ英検とIELTSだけしかありません。

他の試験もそれぞれのランクにわかれますが、元々留学用につくられたTOEFLなどにはかなりのクセがあります。

これを一律のスコア判断で示してしまっていいものかどうか。

いまだに意見がまとまりきれていません。

さてそれではこのスコアをどのように入試の資料として活用するのでしょうか。
受験生は2回の受験チャンスを持っています。

そのうちのどちらか高得点の方を提出することができるのです。

先ほど書いた6段階のスコアだけが大学入試センターから各大学へ提供されるのです

受験費用はいくらか

勿論、これらの試験は無料ではありません

一番受験料の高いケンブリッジ英検、TOEFL iBTなどは3万円近くします。

最も費用の低い英検でも2級5800円、準1級6900円、1級8400円です。

当然、文部科学省の指導により、受験料がある程度おさえられるという予想もあります。

しかし現段階では何も決まっていません。

遠隔地に住んでいる人にとって、試験場に行くだけでもかなりの負担です。

離島などから試験場までの交通費もばかになりません。

さらに都市部などでは塾、予備校などがこの外部試験に特化した授業を行う予定を組んでいます。

そのための宣伝もすでになされています。

ある塾では自分のところの講座を受けた生徒に対して、受験料を無料にするというアピールもしています。

現在のところ、外部入試で求められる英語レベルはどのあたりのランクなのでしょうか。

一般入試では準1級20%、2級50%、準2級26%。

推薦入試では準1級12%、2級40%、準2級42%となっています

では日本の高校生はどの段階に集中しているのか。

おそらく、A1、A2のレベルではないでしょうか

話す、書くについてはかなり低いランクにいるだろうというのが現在の推測です。

となると、この試験をやってもそれほど効果的にランク分けができるのかどうかについても疑問が残ります。

すでに東大などのように、民間の英語試験を入試の判定には使わないと表明している大学もあります。

かなりの費用を使い、どの程度の効果を予想できるのか。

カクサ photo

塾などでネイティブの人から特別の授業をうけられる層の生徒にとっては、かなり有利に働くかもしれません。

しかし大多数の受験生にとっては、笛吹けど踊らずという形になつてしまう危険性もないわけではないのです。

経済格差、地域格差が拡大していく懸念もないわけではありません

記述式をかなり手広く採用する今回の入試制度には真の実力を養ういい機会だとする意見も多数あります。

しかし同時に東北大荒井名誉教授などをはじめとして、利用中止の嘆願書が出されてもいます。

20年度から23年度までは従来通りのマークシート式テストも存続します。

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リーディング100点、リスニング100点の他にこの外部試験のマークをどう利用するのか。

まだ決定していないことがたくさんあるのが現状なのです。

今後も十分、新しい情報に注意してください。

最後までお読みいただきありがとうございました。



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