【考える身体・三浦雅士】精神と肉体の二元論から想像力が跳び立つ日

人間は長い間、肉体と精神という2つの命題に分けて、哲学を論じてきました。しかしともすると、精神の領域を重く見る傾向が強かったのです。しかし今や肉体の復権が叫ばれ、人々はスポーツや舞踊の持つ根本的な意味を考え始めています。
学び

【社会的ジレンマ】個人の利益を追うと酷いしっぺ返しが【環境問題】

個人の利益を追求するのは楽です。それに対して、公共のためを思って行動するのはなかなかに気苦労がいります。自分にとって本当に必要な行動かどうかを検証しなくてはならないからです。しかしそれをせずに進むと、環境問題などを筆頭に大きな穴があくのです。
学び

【姜尚中】異質なものを受け入れる度量が今ほど日本に必要な時はない

姜尚中は政治学者として、様々な発言をしています。その中でも在日二世として、日本人の同質性を強く憂えているのです。グローバルな社会において、いつまでも同じ質を保つということは、一見安全にみえるものの、実はリスクの多い方向なのです。

女院詮子の弟道長に対する愛情が権力への道を加速させた【帝の宣旨】

『大鏡』にはスリリングなシーンがたくさん出てきます。今回扱う姉の女院の活躍はなかなかのものですね。自分の弟が政治権力を握るために、粉骨砕身の努力をして、天皇に迫ります。どうしても断れないところまで、追い詰めていく女院の心理状態も興味深いです。
学び

【私時代のデモクラシー】自分らしさだけが強調される現代の仕掛けとは

「私」が最も貴重な時代になりました。聖なるものが消滅しつつあるからです。近代に入って宗教が急速にその力を落としつつあります。そうしたなかで、どのようにしたら自分らしくあるのかという命題がクローズアップされてきました。
小論文

【小論文重視の背景】勉強の成果より学びへの意欲を精査する時代へ

推薦入試で大学に入学する生徒が50%を超えつつあります。教科目入試に頼らずに合格していく背景には何があるのでしょうか。圧倒的に少子化の影響が強いのです。それと同時に現役合格への意志もたかくなっています。

【花は盛りに・徒然草】兼好法師の美意識は人の世の真実に重なる【反語】

『徒然草』は不思議な随筆です。普段、何気なく見過ごしていることにあらためて気づかされることが多いのです。何が本当に美しいのかということなど、考えてもいない時、ふっと兼好法師の言葉が浮かんできます。そこに大きな発見があるのです。
小論文

【贅沢の条件】情報化社会と物語の間には「はるけさ」と「おののき」が潜む

情報化社会が進みすぎ、人々ははるけさやおののきから遠いところにいます。かつてのような手仕事の時代には語り継がれた物語がありました。しかし今はネットの時代です。何も考えているゆとりもなく、映像が目の前に飛び込んできます。
小論文

【小論文の秘訣】3つの要素を正確に書けば合格答案に【定型文NG】

小論文を書くのは難しいです。だからといって定型のツールばかりを使ってはダメです。せっかくの文章が死んでしまいます。便利だからといって、いつも同じパターンの文を書かないでください。時にはタテマエに沿った文章も必要になるのです。

【競べ弓・大鏡】藤原道長一族の隆盛を赤裸々に予感させる力強い章段

歴史物語『大鏡』は藤原道長を中心とした人物の生きざまをみごとに描き出しています。その中でも彼の豪胆ぶりを描いたこの段落はみごとです。競べ弓を通じて、道長一族が権力を掌握するまでの予感に満ちています。その場の雰囲気をあじわってください。
学び

【祝婚歌】吉野弘の詩と詩経・桃夭にはあたたかな祝福の祈りがある

詩人、吉野弘の書いた祝婚歌はよく結婚式で披露されることがあります。本当に幸せな結婚をしてほしいと願う気持ちが、やさしい言葉の中にあふれています。中国には「桃夭」という詩があります。若く美しい妻が幸せになってほしいと祈る気持ちが溢れた詩です。
学び

【情報化時代・幸福】自分から切り離されたところにしかないという焦燥

幸福の定義は難しいです。人によって全く違うものだからです。たくさんの情報が飛び込む時代になりました。必ず、その内容には裏と表がついてまわります。私たちはどれを信じればいいのか、よくわからなくなってしまいました。
小論文

【小論・ネット社会】世界が狭くなり情報は実感のない風景の一部になった

ネット社会はどこまで進むのでしょうか。今日、ネットがなかったら、私たちは生活ができなくなっています。それと同時に、人間が身体性を失いつつあります。全てを画面の上で決済し、現場を訪ね、自分の身体を使って現実と向き合うことがなくなりました。

【梓弓・伊勢物語】現代とは全く価値観の異なる体験を疑似的に味わう

『伊勢物語』にはいくつもの歌が出てきます。それがストーリーの進行を支えているのです。「梓弓」と3年の間、家を空けていた男が戻ってくる話です。しかし女にやさしく話しかけてきた別の男とどちらを選んだのか。女心をうまく捉えた名品です。
小論文

【小論文のキモ】いつも立派な結論が必要なワケではないという根拠

小論文にはいつも立派な結論があるというワケではありません。というより、結論が書けないケースもいろいろあるのです。それでも問題提起をきちんとし、なんとか分析を終えて、さて何が結論として考えられるのかという書き方をする努力をしてください。
小論文

【小論文・パラサイトシングル】高齢者の肩に社会の歪みが重すぎるワケ

パラサイトというのは寄生ということです。成人年齢に達しても家から独立することもなく、親に生活の面倒をみてもらう人のことです。結婚もせずにずっと家にいることで、親は老後の家計が逼迫していきます。高齢者労働との関係を探りました。