起承結の確認
みなさん、こんにちは。
小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。
いよいよ入試も目前に迫ってきました。
コロナ禍の中、つらい日々が続いていることでしょう。
それでも必ず春はやってきます。
今しばらくの我慢です。
風邪をひかないように、頑張ってくださいね。
今回はいよいよ直前に気をつけなければならないポイントをお教えします。
それは何か。
書きたいことより、書かないことに着目しなさいというアドバイスです。
何、それと思いましたか。
小論文の制限字数はどれくらいが平均でしょう。
600~1800字くらいまであります。
1番多いのは800~1200字でしょうか。
原稿用紙2~3枚です。
そんなにあるのかと思う人もいるでしょうね。
実はそれしかないのです。
慣れてくると、800字くらいはすぐに書けてしまいます。
これは小論文を書き続けた人が誰でも言うことです。
起承転結の4段落の中で小論文に「転」はいらないという話は何度もしました。
話題を無理にかえる必要はないのです。
「起承結」だけで十分です。
知らなかった人は頭に入れておいてくださいね。
段落は4~5つ
つまり1つの段落が250~300字です。
3段落では少し文字が多すぎるので4~5つは欲しいですね。
段落イコール改行だと思ってください。
改行がないと、答案が文字で真っ黒です。
大変に息苦しい印象を与えます。
1マスあけるために、その前の行が途中で切れますね。
するとその下が空白になります。
これが文章の命なのです。
こんなこと、誰も教えてくれません。
しかしその余白で人は少し休むのです。
どんなことがあっても改行をしなくてはいけません。
それでは250字というのはどれくらいの量なのでしょうか。
10~12行です。
まとまった内容を書こうとすると、すぐにそれくらいになってしまいます。
特に例示はそうですね。
自分の経験とか知っていること、本で読んだことを入れて理由の説明を明確にしたケースです。
小論文の命は理由の説明に尽きます。
なぜその意見になったのか。
その考えになった理由を論理性を前面にして説明していくのです。
ここが甘いとNG。
不合格です。
つい書きすぎる
なんとか理由をきちんとさせなくてはと思って焦ると、このパートの分量が増えます。
文章全体の最重要部分だからです。
もちろん、それでかまいません。
しかしそこに例示や体験を入れて膨らませようとした途端、とんでもない失敗をします。
それはそうでしょう。
自分が経験したことです。
記憶も鮮明です。
受験生はみな論理だけで文章が組み立てられず焦っています。
なんとか字数をギリギリまで書き込まなければと思うのです。
そこへ恰好の場所があらわれました。
自分の経験を書いてそこで穴を埋めることができる。
これが1番アブナイ危険なワナです。
絶対その落とし穴に落ちてはいけません。
もちろん書くなと言っているのではありません。
書いてもいいです。
しかし文字数をきちんと把握しておくこと。
絶対に全文字数の30%を超えてはダメです。
800字あったら最高で200字程度までにしておくこと。
つまり10行がマックスです。
その内容に頼りすぎてしまうと、全体の論理構成が崩れてしまうからです。
それくらいのことならわかってるよと言って試験場へ行くとどうなるか。
つい書いてしまいます。
つらいからです。
どうしても理路整然とした論理的な文章が出てこないのです。
我慢を覚えよう
小論文の命は論理だけです。
これは将来の学習の支えになるものです。
つまりあなたの伸びしろを学校に入って約束する材料です。
それがどうしても書けないのです。
意見を述べたら、その理由をはっきりと説明しなければなりません。
採点者はここを重点的に見ます。
どうしても理由を論理的に書き込めない時、受験生はつい例示に走ってしまうのです。
するとなぜかスラスラと書けます。
クラブ活動でつらかったこと、楽しかったこと。
文化祭、クラス委員の体験、家族のこと。
色々と浮かんできます。
10行くらいすぐに書けてしまうのです。
最初の苦しみがどこかへ吹き飛んでしまうというのはこのことなのです。
しかしそれをしてはいけません。
例示はあくまでも理由説明の補助的な要素しか持っていないからです。
いくら強調しても、またかで終わりです。
採点者は似たような話を何回も読まされています。
よほど新鮮でない限り飛ばし読みされてしまう可能性すらあります。
最後にもう1度だけ確認しておきましょう。
書きたいことを書けば褒めてくれた時代はもう終わりです。
書きたくても書かないことを心に誓ってください。
書かない内容がきちんと見えている人は合格答案を完成させることができます。
長く添削をしてきた中で、本当にこのパターンには苦しめられました。
本人はいい気持ちなのです。
読まされている方はたまったものではありません。
繰り返します。
書かないことをきちんと最初に整理すること。
これが入試直前の必勝法なのです。
それともう1つ。
絶対に薄い鉛筆で答案を書かないことです。
時々薄くて読めないものがあります。
文字にはその人の生命力が宿ります。
いつも薄い文字しか書けない人はB以上の濃い鉛筆でしっかり書くことをお勧めします。
最後まで全力でぶつかって下さいね。
今回もお読みいただきありがとうございました。