【反応しない練習・感想】納得してはみたものの実践するのは至難の業だ

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反応しない練習

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

今日は読書感想文です。

あまり書いたことはありません。

実はこの本のことをすっかり忘れていたのです。

新聞の書評欄で読んだ記憶が微かに残っているくらいです。

かなり前に図書館にリクエストしたようです。

それくらい曖昧です。

数日前に連絡があり、昨日目を通しました。

著者は草薙龍瞬というお坊さんです。

2015年初版ですから、もう7~8年前の本です。

最初、一種の自己啓発本かなと思いました。

最近はアドラー心理学の本なども随分たくさん出版されていますからね。

売れているのかいないのか。

そのまま、図書館に返してしまおうと思いました。

なんということもない安っぽい装丁です。

副題に「あらゆる悩みが消えていく、ブッダの超・合理的な考え方」とあります。

なるほど、仏教に名を借りた啓蒙書かなと感じました。

開いてみると、悩みは消すことができる、そしてそれには方法があるというのです。

最近、登校拒否の生徒をたくさん見ているので、彼らの日常を想像しながら読んでみようかというのが、手にとったきっかけですかね。

苦しみを少しでも取り除いてあげられたら。

ぼく自身にとっても有益であればいいと感じました。

具体的な訓練の方法

この本の結論はものすごく単純です。

すべての悩みは心の「反応」から生まれるというのです。

だからムダな反応をしなければいい。

そんなこと言われても、所詮無理な話です。

そのためのいくつかの具体的な方法が示されています。

①余計なことを判断しない。どんなときも自分を否定しない。

②不満やストレスといった「マイナスの感情」で苦しまない。

③他人の視線を気にせずに自分らしく生きる。

④勝ち負けや優劣にこだわってしまう性格をもうやめる。

⑤心から納得のいく人生を、ここから目指す。

この5つです。

人間はなぜ悩むのか。

これは難しい問いですね。

しかし根本は「承認欲求」です。

いい人に見られたい。

ほめられたい。

自分は他人より優れているという優越感を持ち続けたい

そのためにも優等生でいたい。

しかしこれがうまくいかない時は怖いですね。

ダメ人間の烙印を押されてしまいます。

誰もが結局は勝ち負けの世界で勝ちたいのです。

確かに、こう言われてしまったら身も蓋もありません。

人間には見栄もプライドもあります。

それを全否定されたのではたまったものではありません。

しかしどうもそうではないようです。

ブッダによれば、「自分は自分」という線引きをきちんとしないと、あらゆることから自由でいられないよということのようです。

自分を否定しない

今の世の中は「反応せざるをえない状況」に溢れかえっています。

毎日送られてくるメール、ラインの数も半端ではありません。

現代の人間はスマホやPCなどに囲まれています。

ニュースやSNSに反応しなくてはいけません。

瞬時に返さなければならない用事もたくさんあります。

そのたびに反応を繰り返しているワケなのです。

くたびれるのは当たり前ですね。

そのたびに勝ち負けを判断し、コンプレックスを抱いたり、優越感に浸ったり。

さらには怒りも悔しさも噴き上げてきます。

「ムダに反応するな」といわれて、すぐにできるはずがありません。

ここでもう一度原点に戻ります。

どういう時に苦しい感情が噴きあがってくるのか。

自分を否定してしまう時です。

なぜか怒りを感じることもあります。

その源泉は全て「自分」です。

なんとかしなくちゃいけないとあせるのも自分です。

自己評価が低いということが全ての原因でしょう。

コンプレックス、挫折感に多くの人がせめられています。

そういう時に1番いい方法は何か。

筆者は書いています。

①1時間でも2時間でも外を歩く。

②心の自由を取り戻すまで歩いてみる。

③わたしはわたしだとただ肯定を繰り返す。

④判断をとめる。

判断をし続ける人間

頑張らなくてはと思うから、辛くなるんでしょうね。

他人と比べてしまう。

その結果、コンプレックスに悩まされる。

大切なのは「自分は不十分な人間だ」と思うなということです。

あたりまえの話ではありますけどね。

だからといってすぐに自信が芽生えるなどということはありません。

今できることをやるだけでいいのです。

たりあえず、体験を粛々と積むのです。

そのうち、ある程度の成果が出てきます。

進歩は螺旋階段のようなもの。

一直線に進むワケではありません。

努力は人に認めてもらうためにするものではありません。

ただ快いという感情に引きずられて進むのです。

競争は一種の妄想です。

どこまでいっても終わりがない。

承認欲求と同じです。

幾ら手にしても、必ずこぼれ落ちてしまいます。

頼れるのは自分だけというのが、最後にたどりつく場所なのでしょうね。

ムダな反応をするなと言われても、心は動きます。

それが人間なのではないでしょうか。

それでも少しずつ、自分を律して進む。

それ以外に生きていく方法はないような気がします。

読了してみて、やはりそれが結論かなというのが、今の偽らざる心境ですね。

現代の競争社会は激烈です。

多くの人がいい結果を出せないと言って苦しんでいます。

しかし本当にいい結果とは何なのか。

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それをもう1度考えてみる必要もあるのではないでしょうか。

今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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