【富士山は不二】神話の似合う最強のパワースポットはこの名峰だ!

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最古の物語にも

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

空気が澄んで、遠くに山々の稜線が見える季節になりました。

富士山も同様です。

初冠雪があったといわれると、もうそんな時期になったかと不思議な気持ちになります。

やはり富士山の姿は格別ですね。

地質学的にいえば、ごくノーマルな山の1つに過ぎないのでしょう。

溶岩が流れだし、そのまま冷えた形をしています。

かつては休火山に区分けされていましたが、今では活火山の扱いになっています。

江戸時代中期の宝永大噴火と呼ばれる最後の爆発以来、300年間は静かなままです。

次の噴火はいつなのか、それもよくわかりません。

古来から富士は神そのものだったのです。

信仰の対象でした。

山岳信仰の起源でしょうね。

それくらいに雄々しい姿をしています。

飛行機から見ても新幹線から見ても、不思議な思いがよぎります。

やはりそれだけ日本人にとっては思い入れの強い山なんでしょう。

富士は不二

富士は不二とも書きます。

その昔は不尽とも書いたと言われています。

なるほど2つとなく尽きることもないという意味なのでしょう。

似たような形の山は日本に幾つもあります。

しかし、あれだけどっしりとした風格を持つ山は他にはありません。

だからこその不二なのです。

実にいい名前ですね。

御殿場あたりまでいって富士山をみると、その大きさに驚かされます。

実にすがすがしい気持ちになるのです。

思わず息を失い、山を見つめてしまうというのが本当のところでしょう。

竹取物語

日本最古の物語である『竹取物語』の中にもこの山は登場します。

天に戻ってしまったかぐや姫を慕うあまり、帝は最も天上に近いと思われた富士の山へ使者を送るのです。

そこで不死の薬を燃やし、煙が天に届くのを見届けさせたのです。

これも富士と不死の掛詞になっています。

この山には死を超越する何かがあるんですね。

麓にはたくさんの湖があり、それが昔は1つであったといいいます。

何度もの噴火が5つに湖を分けたという話に神秘を感じないワケにはいきません。

その山の底を風が吹き抜け、今でもいくつかの洞穴に入ることができます。

かつてとある高校にいた時、毎年1年生を連れて麓の国民休暇村にHR合宿に行ったことがありました。

風穴や氷穴に何度入ったことでしょう。

常に零下数度に保たれるという不思議な場所です。

夏でも肌がひんやりします。

さらに近隣の樹海に入れば、磁気が完全に狂い、方向を全く見失うともいいます。

小説家、松本清張はこの樹海の神秘を見事に小説の中に蘇らせました。

『波の塔』『黒い樹海』などがそれです。

今でも年に数体の遺体が出てくるといいます。

自殺の名所などという異名がつくほどのやはり恐ろしい場所であることにかわりはありません

ぼく自身、かつて何度か樹海を歩きました。

実に不思議な風景の中を歩くのです。

大自然が原生林のままの姿をとどめています。

時間が太古から止まっているかのようです。

もちろん安全なコースだけしか歩きませんが、それでも気持ちがよくありません。

パノラマの美しさ

HR合宿では必ず近くの足和田山に登りました。

1400mほどの山です。

富士山の北に位置し、西湖との間に東西に伸びる山の最高点です。

富士山の展望が見事なうえに、富士山を最短距離から見ることができる山の1つなのです。

パノラマの美しさは格別でしたね。

西湖と樹海を見ながら、しばらくそのパノラマに酔いしれたものです。

後には近隣の湖の周辺をドライブもしたりしました。

富士は今もたくさんの観光客を集めます。

もちろん登山者も多いのです。

北朝鮮に拉致された人々も、富士山を見た時、本当に日本に戻ったという実感を得たといいます。

「富士は日本一の山」という歌の文句は、実に言い得て妙というしかありません。

戦争中は軍部によってうまく使われてしまった過去もあります。

しかし日本を代表する山といえば、まず富士山です。

この前も国際交流の授業がありました。

その時、日本を紹介する時に何が1番最初に出てくるかといえば、やはり富士山でしたね。

トヨタやソニーより、まず富士山が先に出てくるのです。

墓地を買う時なども西向きの他には、富士の見える方角が最も先に高く売れると聞いたことがあります。

これも実に面白い話です。

太宰治の名作『富岳百景』などを読んでいると、月見草が似合うという富士山がいとおしくなってきます。

遠くからこの山がみえるだけで嬉しくなるという日本人の心のありようというのは何なんでしょう。

日本百名山などとよく言われますが、富士はやはり不二なんですね。

銀座という名前も各地にあります。

それと同じように蝦夷富士などと呼ばれる富士山もあちこちにあるのです。

心の故郷ということなのかもしれません。

『万葉集』の中には、富士山を詠んだ歌がいくつも収められています。

その中で最も有名なのがこの歌でしょう。

田子の浦ゆうち出でてみれば真白にぞ富士の高嶺に雪は降りける

山部赤人による短歌です。

知らない人はいませんね。

百人一首にも載せられています。

美術の世界では戦後、横山大観や片岡球子らによって富士がたくさん描かれました

また、現代美術の世界ではこれらの伝統的画題とは全く別のフォルムにして富士を描く傾向も見られます。

やっぱりなんといっても富士山なのです。

そう考えると、日本の象徴なのかもしれません。

日本中の校歌を調べたワケではありませんが、特に関東地方の学校ではたくさん富士の名前が採用されているのではないでしょうか。

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富士山は遠くから眺めているだけで敬虔な気持ちになれる不思議な山です。

それだけで尊い存在ですね。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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