【登校拒否・増加】親子のコミュニケーションに潜む複雑な事情とは

学び

夫婦の会話

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

今朝の新聞に出社拒否の父親を持つ娘の相談が載っていました。

家族は両親と相談者の娘さんの3人。

穏やかなお父さんは声を荒げたりすることも全くないそうです。

しかし気分が落ち込むと勤めに出られなくなり、今までに何度か転職をしているとか。

娘さんは父親の苦しい胸の内を察するあまり、小学生時代、母親が父宛てのお弁当をこっそり食べることもしたのです。

20才を過ぎた現在、小さい頃に感じた不安に再び襲われ、どうしたらいいのか悩んでいるというものでした。

回答者、姜尚中氏の答えは夫婦の話し合いに特化しています。

2人だけの老後をどのように送っていきたいのかを常に語り合っていれば、娘が心配する要素はなくなるというのです。

コミュニケーションが最後の切り札だという意見でした。

MabelAmber / Pixabay

なるほどと思いながら、つい先日見たテレビの番組のことを思い出しました。

心理学者、諸富祥彦が鬱について話していたのです。

それによれば日本人の5人に1人は鬱病になる可能性があるそうです。

彼の研究室にはプロのカウンセラーがたくさん訪れ、様々なアドバイスを受けて帰るといいます。

なかでも一番面白かったのは、オタクと呼ばれる人々は鬱になる可能性が大変少ないという話でした。

オタクというのは面白い言葉ですね。

すぐ頭に浮かぶのは「鉄道オタク」です。

他にも山のようにあります。

男性では「飛行機オタク」「歴史オタク」。

女性なら「アイドルオタク」が最も多く、「映画オタク」「動物オタク」でしょうか。

もちろんあまりに受身的な趣味ではダメで、さらに通常の社会生活を続けているという背景も大切なのだそうです。

鉄道などは実に細かく分類されていて、「呑み鉄」「撮り鉄」「乗り鉄」などになります。

「スイーツ」オタクなどというのは羨ましいような響きもありますけどね。

いやはや、なんともというのが率直な感想です。

映画や音楽

映画を見たり、音楽を聴くだけというのではなく、その感想をなんらかの形で記録するとか、あるいはネット上に発信するなどというのがいいらしいですね。

つまりアクティブなオタクです。

このケースは鬱になりません。

もちろん何かを収集するというのも、一つの型としては考えられます。

しかしその際も似た趣味の人と同好の会を立ち上げるといった能動的な活動が必要だといいます。

いずれにしても常に自分の時間の中に濃厚な趣味の要素があることが大切です。

それがあれば、つねに自覚的に自らの生が意味あるものとして捉えられます。

似た趣味の人間と出会いコミュニケーションを重ねるという可能性も切り開けるのです。

家に引きこもるだけのオタクをここで連想してはいけません。

それは全く別のジャンルに入ってしまうのです。

あくまでも社会に出ていくタイプの人々に「鬱」は程遠いのです。

鬱病になりたくなかったら、積極的に趣味を開拓することです。

社会へ自己を投企していくための方法論の1つとして活用すべきなのではないでしょうか。

オタクという響きからくるマイナスのイメージを、ここで十分に払拭できるはずです。

しかしそんなに元気で前向きな人なら、元々なんの心配もないよと言われれば、それまでです。

本来の「鬱」というのはなんにもしたくない。

繭のような小さな殻の中に閉じこもった状態を言うのです。

登校拒否

最近のニュースで気になるのは、なんといっても登校拒否の生徒数が多いことです。

文部科学省が公表した2019年度の、小中学校を30日以上欠席した児童生徒は18万人あまり。

約10万人が90日以上欠席しています。

この数字をどう思いますか。

1クラスに1~2人は登校拒否の生徒が必ずいるというのがぼくの実感です。

主な原因は「無気力、不安」です。

「友人関係」「親子関係」がその後にと続きます

しかしこれはあくまでも統計のまとめ方によるのでしょう。

通常は「なんとなく不安」な状態から次第にレベルがあがっていきます。

やがて友人関係も作れなくなったり、授業の内容も理解できなくなるというパターンが多いようです。

自分に自信が持てないというのがキッカケでしょうか。

親子関係が不安定ということもあります。

geralt / Pixabay

親同士の意思疎通がうまくいかず、それが子供に影響しているケースも非常に多いです。

シングルマザーやシングルファーザーと子供の関係が漠然とした不安を助長しているパターンもかなりあります。

もちろんこれが原因だと簡単に特定できない例も多いです。

複合的な原因が絡まって外にあらわれると考えるのが普通でしょう。

何の問題もなく育っていた子どもが突然「学校に行きたくない」と泣いて嫌がったらどうしますか。

よくあるケースです。

誰でも慌てますよね。

原因探し

当然原因探しに躍起になってしまいます。

ところがほとんどの場合、学校でのできごとは単なるきっかけにすぎないことが多いのです。

生育歴を細かく見ながら、その原因を探っていくと、家庭内での両親の仲が悪かったりするケースもよくみられます。

子どもは敏感ですからね。

発達障害や神経過敏などの性格が原因のケースもあります。

親はどうしても世間体を最初に考えるものです。

特に家事と育児を妻にまかせきりにしている夫は逃げ腰です。

ここが正念場です。

親が空回りしていると悪化してしまうケースが多いですね。

最近の学校は相談にもきちんと対応してくれます。

カウンセラーなども配置しています。

しかし幾つかの条件をクリアしてもあまりいい方向に進まないことが多いようです。

それよりもむしろ子供とあたたかく楽しい環境を作ってともに過ごすことのほうが大切です。

典型的なタイプに分類してみましょう。

いくつかの要素にまたがっているケースも多いです。

タイプ1 母子分離型
母親の関心や愛情をたびたび確認していないと不安で仕方がない

タイプ2 情緒混乱型
気分の落ち込みや、混乱が強く、頭痛や腹痛などがみられる
真面目で几帳面、神経質な性質
タイプ3 混合型
落ち込んでいるときもあるが、好きなことや楽しいことはする
基本的な生活習慣が十分身についていないため、生活リズムが安定しない
タイプ4 無気力型
何事にも無気力で、登校することに義務感を持っていない
タイプ5 人間関係型
いじめや転校など、人間関係上の問題が原因で不登校になる
学校に行こうとは思うが、問題を解決できずにいる
タイプ6 神経症型
ストレスにより頭痛、腹痛、吐き気、発熱等の身体症状が出る
摂食障害や自傷行為などを伴うケースもある
タイプ7 発達障害型
発達障害や学習障害との関連性が強い
不得意な科目があるため、勉強に強い抵抗感を持っている

どのケースでも親の価値観を押し付けると、うまくいきません。

ポイントはあくまでも子供との関係です。

変化を見逃さずにいれば、大丈夫です。

言葉だけで繕ってみてもダメです。

日々の態度がなにより大切なのです。

自分の存在がきちんと認められていることがわかれば、子供は必ず立ち直ります。

絶対に焦ってはいけません。

そんなことはわかってる。

しかし月日がどんどん過ぎていくんだ。

なんとかしなくちゃ。

あちこちから似たような声が聞こえてきます。

最後は一緒に楽しくいられる空間をつくって話を聞いてあげることにつきるでしょうね。

我慢比べの要素が必要です。

互いに尊重しあう関係を作れなければうまくいきません。

不満が少しでも顔に出ると、すぐ反応があらわれます。

どんなことでもお喋りができる環境があれば、心は落ち着くものです。

夫婦の関係が最重要です。

うまくいっていないのに、偽装しても子供にはすぐにわかってしまいます。

まず親子でコミュニケーションを。

これが基本中の基本なのです。

今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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