【小論文・SNS】インターネットと人権の関係は密接で喫緊の課題

学び

SNSは便利だが…

みなさん、こんにちは。

小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回は人権についての問題を深掘りします。

一口に人権といっても内容は多岐にわたります。

どんなテーマがあるのか少し考えてみましょう。

① インターネット社会と侵害
② 外国人との共生
③ 高齢者の生活
④ 男女同権の現在
⑤ 障害者の自立

幾らでも出てきます。

ここにあげたどのテーマが問題になっても不思議はないくらい、人権の問題は複雑なのです。

大切な問題ばかりなので、それぞれの内容を何回かに分けて考えてみましょう。

今回はインターネット社会における人権の問題を探ります。

このテーマぐらい、現代を代表するものはないですね。

皆さんはどんなことをイメージしますか。

急速な情報化社会の到来で、今やネットを使わないで日々を過ごすことは不可能です。

パソコン、スマホ、タブレット端末の普及は私たちの生活を根底から変えました。

コロナ禍におけるネット授業やテレビ会議システムを使ったテレワーク、あるいは就職活動。

SNSや動画共有サイトの躍進には目を見張るものがあります。

インターネットという社会的インフラがなかったら、これらの活動はいっさいできません。

こうしたインフラ資産のあるなしによって格差がますます進むのではないかとさえ言われているのです。

社会の方がむしろこうしたものの利便性にすり寄っていると言ってもいいかもしれません。

ルールとマナー

今やSNSを使っていない人はほとんどいません。

スマホはもはや必須アイテムです。

社会のあらゆる動きが、このデバイスを中心に動いています。

いろいろなアプリが開発され、新型コロナの蔓延にあわせて、さらに裾野を広げました。

休業補償金の受付までスマホで完了してしまうのです。

と同時にソーシャル・ネットワーク・サービスも飛躍的に伸びました。

瞬時に情報が相手に届きます。

映像も音も広く伝わるのです。

ところが厄介なことが1つあります。

匿名性に裏打ちされていることです。

200degrees / Pixabay

誰が書いたのかなかなか特定できません。

インターネット上でのプライバシーの公開、侵害に始まり、名誉を著しく傷つける書き込みなどが可能なのです。

これが原因で自殺に追いやられるというケースも発生しています。

悪意に満ちた中傷を大量に送りつけることで、精神的に追い詰められる人が後を絶たないのです。

つい最近も女子プロレスの選手がSNSにより心に痛手を負って亡くなりました。

ポイントはまさに匿名性にあります。

これがこの問題のキーワードです。

差別的な発言や中傷を書き込んだりして、いじめに似た情景をつくりだします。

厄介なのは大人たちが知らない非公式のサイトや無料アプリがたくさんあることです。

その全てに目を光らせることはできません。

未成年者が特にそうしたサイトにからむ事件に巻き込まれやすいのです。

プロバイダ責任制限法という法律があり、書き込みの削除や書き込みをした者の情報開示を求めることができるとしています。

しかしスピードが勝負の世の中です。

せっかくある法律も後手後手に回ってしまったのでは、十分な効果が得られません。

手口が巧妙化

ネットの世界には複雑な技術がからんでいます。

素人には到底手に負えない手口がたくさんあるのです。

1番厄介なのは「なりすまし」です。

特定の人間であるかのように個人のアカウントをつくり上げてしまうのです。

さらにはプロバイダを識別できないようにする方法もあります。

Photo by Dick Thomas Johnson

この手口を使われると、どうにもなりません。

インターネットは国内の通信だけに限った技術ではないのです。

どこの国からでも書き込みができるため、特定しにくい技術を使うことができます。

それだけに、本気で相手を攻撃しようとしたら、どんなことでもできると考えた方がいいでしょう。

毎年、ハッカー集団による企業や公共団体への攻撃が報道されています。

国家単位で軍事機密情報を盗むなどということも行われているのです。

個人がパスワードを使いまわしていたりすれば、解読は簡単です。

何重に複雑なパスワードをかけていても盗まれてしまう時代です。

アメリカの元CIA局員、エドワード・スノーデンの著書を読むと、その機密保持システムの内実がみえてきます。

怖ろしいというレベルの話ではありません。

寒気がしてきます。

それくらい、インターネットの世界には魑魅魍魎が住んでいるのです。

少し話を私たちの日常生活に戻しましょう。

SNSの怖さは「いじめ」に絡む点です。

学校でも注意していますが、残念なことに十分ではありません。

悪質な書き込みをされ、クラスに溶け込めなくなったことで、不登校になったり、最悪の場合、自死に至ることもあります。

匿名性を上手に使えば、SNSではそれが可能になるのです。

セクハラ、外国人、障害者

これがだんだんエスカレートしていくと、次の段階に入ります。

いわゆるハラスメントです。

セクハラ、パワハラ、同和、外国人、障害者などをねらった悪質な書き込みが出てきます。

書いてる人は匿名の壁に守られています。

それだけに厄介なのです。

複雑な手口を使って書き込まれると、その入り口を探すのは容易ではありません。

警察も常時、サイバーシステムを稼働させています。

絶えずチェックを繰り返しながら、犯人を特定するという作業をしているワケです。

差別的な発言などにたいしても法律が生まれています。

川崎市のヘイトスピーチ禁止条例などがそれです。

この法律はヘイトスピーチだけでなく、インターネット上の人権侵害についても有効です。

市内の国外出身者に対する不当な差別的な言動があった場合も公表に踏み切るとしています。

だからといって、それで全てが守れるということにはなりません。

確かに便利な時代になりました。

インターネットの技術を使えば、多くのことが可能です。

人と対面せずにネットショッピングなどもできます。

コロナ禍の現在、大変に有効なシステムです。

しかしその技術が同時に人を殺すための武器にもなるのです。

アメリカの大統領が呟くわずかな言葉が、人種問題に再び火をつけてしまいました。

米ツイッター社は5月29日、初めてトランプ大統領によるツイートの上に警告をかぶせ、クリックしないと表示されないようにしたのです。

暴力を賛美する内容を禁止する利用規定に違反したからだと言うのがその理由です。

ツイートを削除したり非表示にしたりしたわけではありません。

表示されている警告文をクリックすれば内容を見ることはできます。

しかし他の利用者はこのツイートに返信もリツイートもできないし、「いいね」を押すこともできません。

つまりそれだけ影響力が非常に強いということを逆に示したことになるワケです。

SNSの持つ力を端的に表すこうした措置についても自分の意見をきちんと持ってください。

人権とインターネットとの関係は実に密接です。

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それだけに解決しなくてはならない問題が山積しています。

考える時間をとることをお勧めします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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