【汚れつちまつた悲しみに・中原中也】失ったものを無我夢中で追いかけて

中原中也の詩を読んだことがありますか。高校の教科書に必ず所収されています。「汚れつちまつた悲しみに」か「1つのメルヘン」のどちらかでしょうか。悲しみが汚れるとはどういうことなのか。少し考えてみてください。

【刺客・荊軻】秦の始皇帝を暗殺するために考えついた秘策とは【史記】

秦の始皇帝を暗殺しようとした荊軻の話です。このシーンはよく映画などにもなります。大変スリリングな場面なのです。生きて帰れるとは思っていませんでした。しかし暗殺を成功させるためには、他にもいくつかの秘策が必要だったのです。

【黒鳥のもと・土佐日記】長い船旅の間には歌人の横顔が色濃く【紀貫之】

紀貫之の『土佐日記』にはさまざまな段落があります。今回はよく知られた「黒鳥のもと」をとりあげましょう。55日間の旅の間にはいろいろなことがありました。天気のいい日は比較的楽に船が進んでいったのです。しかし海賊は怖かったと思われますね。

【藤壺の入内】亡くなった桐壺の更衣に似た先帝の娘を帝は密かに慕った

藤壺の宮と光源氏の関係は複雑です。一言でいえば、実の母によく似た女性ということになります。しかしそれだけではすまず、契りまで結んでしまうのです。その結果、子供が次の帝になるという複雑な出生の秘密を抱え込むということにもなりました。
学び

【孟子・人に忍びざるの心】井戸に落ちた子を助けようとする惻隠の情とは

人間は生まれつき善なのでしょうか、悪なのでしょうか。それだけでも論争になりそうですね。いろいろな考え方があると思います。子供が井戸に落ちたとき、助けようとするのはごく普通の気持ちです。人によく思われようと考えて行動する人はいません。

【阿倍仲麻呂の歌・土佐日記】日本に帰ることができなかった文人の望郷心

阿倍仲麻呂といえば、遣唐使の時代の人です。その人が詠んだ歌をになぜ紀貫之は『土佐日記』ら載せたのか。その秘密がわかれば、この話はなかなか味のある内容になります。当時の船旅のつらさを想像することが大切ですね。

【誰かの靴を履いてみること】息子の学校生活に学ぶ【ブレイディみかこ】

エンパシーという言葉を知っていますか。他人の感情や経験などを理解する能力とあります。忖度などというのとは違い、徹底的に議論をして、その上で相手の立場を想像することが大切なのです。シンパシーとは根本的に違う考え方なのです。
学び

【対話の言葉】対等な関係の表現を模索する過渡期の日本人【平田オリザ】

日本人が現在使っている言葉は、開国以来短い期間で、翻訳されたものが多いのです。それだけに全てが身体になじんだものであるとはいえません。特に対話をする時の語彙は、浮いた印象のものが多いのです。ジェンダーフリーの時代に適した表現は何なのでしょうか。
学び

【恐怖とは何か・岸田秀】自我を崩壊させる不安の塊りが怖さを助長する

恐怖とは何かということを考えようとした評論です。難しいテーマですね。一言でいえば、自我の崩壊がなせる業なのです。自分をキープできなくなった時、人は恐怖感を覚えます。そのメカニズムについて、一緒にみていきましょう。
学び

【文化の違いとは何か・岡真理】文化に優劣はないという思想を深掘りする

文化が違うとはどういうなのでしょう。文化相対主義という考え方について深掘りします。多くの人はすぐに文化の差にさいて論じようとします。しかし仔細にみると、そこに大きな違いはありません。その考え方を文化相対主義と呼ぶのです。
学び

【ピジンという生き方】グローバル社会の中で新しい言葉を作り出す意味

ピジン、クレオル言語を知っていますか。多くの民族が交じり合うと、相互の言葉を練りあわせて新しい言語が生まれるのです。特にハワイなどでは、サトウキビの収穫のため、多くの民族が移民してきました。その結果、ごく簡単なピジン語が生まれたのです。
学び

【虚ろなまなざし】難民の少女をねらう鷲を撮る前にするべきだったこと

道にうずくまる難民の少女をねらう鷲の写真がピューリッツァー賞を受賞しました。しかしそのすぐ後で、なぜ写真をとることに集中し、少女を助けなかったのかという非難が多数寄せられました。結局そのカメラマンは自殺してしまったのです。
学び

【人間を機械にする罠】AIはデータとの相関関係で動くというのが大前提

AIに関する記事が毎日新聞に載ります。チャットGPTなどはその代表です。人間はどこまでAIと戦えるのでしょうか。彼らの進歩は飛躍的なものです。いずれ、人間が機械となって彼らの軍門に下る日が来るのでしょうか。
学び

【メリトクラシーの功罪】資本主義の原動力に潜む危うさは想定以上だった

メリトクラシーという言葉を聞いたことがありますか。難しい表現ですが、最近よく耳にするようになりました。一言でいえば、個人の努力や実績次第で、社会的地位を変えられるというのが基本的な考え方です。現代は弱肉強食の時代だということです。

【晏子・江南の橘、江北の枳となる】人の善悪は環境によるという教え

春秋時代の斉の宰相、晏子の話です。賢い人でした。宮城谷昌光の本『晏子』を読むと、そのことがよくわかります。彼をからかってやろうとした楚王が、逆に1本とられてしまうという話です。キーワードは橘と枳です。ぜひ覚えておいてください。

【此木戸や・去来抄】言葉ひとつに描写と風情のあはれを探る芭蕉門弟の姿

向井去来の俳諧本『去来抄』を読みます。俳聖と呼ばれた松尾芭蕉をあたたかなまなざしで見つめ、その様子を描き出しています。字の読み間違えをして低く評価した句が、実はすばらしいものであったという、心温まる文章です。