AI全盛の時代
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回はAI全盛時代の人間の生きざまについて考えます。
ここ数年の進歩はあまりにも急速ですね。
人間はなんでもAIに頼るようになりました。
ぼくたちの生活は根本から覆されつつあります。
つい先日のロボットマラソンのニュースには本当に驚きました。
それまで人間が作り出してきた記録を塗り替えてしまったのです。
中国で開発されたヒト型ロボットがハーフマラソンを50分26秒で走りきりました。
ちなみにそれまでの記録は男子の世界記録が57分20秒だったのです。
北京市内を走り回ったロボットの姿を、多くの人が見たにちがいありません。
ここまで来たのかというのが正直なところです。
このロボットを開発したのは中国のスマートフォン大手の傘下にあるチームでした。
その直後に日本では荷物を積んで平衡を保ちながら歩く、ロボットも紹介されました。
全てAIの技術です。

数年前にオープンAIが「chatGPT」を発表した頃とは、あらゆるフェーズが変化しています。
この先どうなるのか、誰にも予測はつきません。
つい先日の新聞にはもっと衝撃的な記事が掲載されていました。
それによれば公開を取りやめたAIがあるというのです。
危険すぎるAIとして注目されているのは、アメリカの企業アンソロピックが開発した「クロード・ミュトス」です。
サイバー攻撃で「穴」となるソフトウェアやシステムのバグを見つける能力を持っています。
このシステムを最高度にしようしたところ、専門家が長年見つけられなかった弱点を簡単に見破ったというのです。
もしこれが攻撃側の手に渡った場合にどうなるかという懸念が表明されています。
「サイバーセキュリティー」を守るなどという悠長な話をしている余裕はありません。
そこで一般公開を取りやめたというワケです。
アメリカでは政府と金融各社が会合を開き、方針を話し合っているそうです。
しかし一度、生み出されたものは、必ずさまざまなルートを通じて流失するものなのです。
事実上、誰もとめることはできません。
その時、どうすればいいのか。
待てない人々
AIの急速な発展とともに、人々の生活も大きく変化しつつあります。
以前ならわからないことはグーグルで調べればよかったのです。
しかし今は、ほとんどAIが答えてくれます。
世界の人たちが投げかけた問いを、一瞬で処理し自己増殖していきます。
ある意味、アメーバーのような成長です。
際限がないだけに、その先がどこへいきつくのかもわかりません。
とにかくひたすら前へ進んでいくのです。
問えば、答えが出ます。
しかし、わたしたちの脳に定着した知識の体系としてはインプットされません。
一瞬の無知をよりぼやけたものにするだけです。
フォーカスされないのです。

過充電にさらされ、疲れ切った人間は、次の情報にすがります。
その繰り返しが永遠に起こります。
かつてはじっくりと体系的に学ぶ作業を通して、自分の血や肉にしていくことができました。
しかし今はそれが許されません。
あまりにもコスパとタイパが悪すぎるからです。
短時間で、一定の質を担保しなくてはならないとしたら、AIの利用に走りだすのは当然の結果です。
誰も今はもう待てません。
誰もが全力で突っ走る以外にないのです。
軍事への道も
今年に入っての衝撃はアメリカ軍がベネズエラのマドゥロ大統領を強制的に国外に移送したことです。
他国の政権を強引に武力で脅かしてしまったのです。
その時に使われた作戦が「クロード」と呼ばれるAIモデルを使用したものだといわれています。
具体的な役割は全く不明のままですが、アメリカ軍はこのモデルを衛星画像や情報分析に使用してきたようです。
目標となる人物が現在どこにいて、何をしているのかまで詳細に認識できるのだとか。
「クロード」を開発したあるAI分析の会社は現在、アメリカ政府と交渉中だということです。
自社の開発したシステムが、大量監視や自律武器に使用されないということが確約できない限り、技術を外に出さないとしています。
しかし、そんなことが可能なのでしょうか。
企業は利潤を追求しなければ、生き残れません。
その一方で、政府当局はAIモデルを法的に許可されるというシナリオにそって、使用したがっているのです。

ひとたび、システムが開発されれば、その技術を取り込んで、無人兵器もロボットも当然独り歩きをしていきます。
実際、ロシア・ウクライナ戦争においても無人ドローンの開発は進む一方なのです。
どこで終わりを迎えるかという図式が全くみえません。
やがて戦闘の作戦そのものにもAIが深くかかわることは必至です。
だれにも止めることはできないでしょう。
日常の変化
一方で、事務作業をする人が減っているという話が今日の新聞にも載っていました。
給料も下がっているそうです。
それに対してブルーカラーの賃金は上がる一方なのだとか。
待てない人々が待ち望んだAIが、結果として急速に人々から仕事を奪っています。
会計に関する事務作業などは、かなりの率で減りました。
税務関係の仕事もAIが肩代わりしていると聞きます。
スマホが作り出した新空間では、もう待つ場所そのものが意味を持ちません。
それぞれの通信技術をもってすれば、地球上のあらゆる場所が待ち合わせ可能な場所になったのです。
いちいち、特定の店に座って、人を待つ必要はもうありません。
もちろん、忠犬ハチ公も銀の鈴も無意味です。
誰も待たず、誰も待ちたくない時代に突入してしまいました。
かつてのように、誰かの返信を何日もかけて待つなどということは、今や夢物語に過ぎません。
全てはライン、メール、SNSなどに託しておけばいいのです。
それだけ人はあることに熱い思いを馳せるということがなくなったのでしょう。
思いついた瞬間に、すべてが完結しているのです。

当然、意識の変化は以前とは全く違ったものになったはずです。
合理性だけを追求する人にとって、こころのゆとりをどこで得るのかというのは大きな問題です。
スマホは劇的に人々の暮らしをかえました。
しかし過剰な情報に疲れている現実は重いものです。
そこから抜け出したいと考える人の群れも、多いのはまちがいありません。
複雑な時代になりました。
こころの平安を求めてさまよう巡礼の旅が始まろうとしているかのようにも見えてしまいます。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
