【将来展望】チャットGPTの登場で小論文の学習法にも変化の予感が

学び

チャットGPT

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

今年に入ってこの生成AIが人々の話題にのぼらない日はありません。

新聞、雑誌、ネット、どの媒体にもチャットGPTという言葉が踊っています。

登場した初期のころは知らないことによる怖れが圧倒的に強かったものの、ここへきてどう扱えばいいのかという記事が増えてきました。

利用方法さえ知っていれば、なんとかなるという楽観論も出てきているのです。

その際、どう活用すればいいのか。

一般的にいわれているのは、長文を期待するのは無理だということです。

原稿用紙でいえば、1枚半が限度です。

どうしても長い文章を作りたければ、違った角度からの問いを続けて発し、それを再構築するしかありません。

地球の気候温暖化というテーマで800字書けという問題の場合なら、2~3の問いを発し、それをまとめて完成するのが最善の方法です。

論文の文体は「である」調が基本です。

黙っていれば「です、ます」調よりくだけた文が出てくることもあります。

どうすればいいのか。

「である」調でという指示の仕方を間違えなければ、失敗することはありません。

ただし、出来上がった文章のほとんどの文末が「である」になってしまうケースも多いようです。

これでは文章としてのリズムが完全に崩れてしまいますね。

当然のことながら、徹底した推敲が必要になります。

論点を指示し、どの立場から書けと要求しても、その通りにならないことが多いです。

その場合は、別の角度から、再度問いを発して、内容を整理する必要があるのです。

これは簡単なことではありません。

ある程度、設問に対する鳥瞰図を最初に用意しておく必要があります。

最新のデータを

ここでは気候温暖化に関する小論文を考えてみましょう。

SDGsの中でも喫緊の問題です。

この場合、課題文にグラフやチャートが図示されているケースが多いです。

新しい資料であればあるほど、内容を読み取り、現在の状況が分析可能になります。

しかし入試の場合はタイムラグもあり、データの扱いが難しい側面も否定できません。

最近人気のある総合型(旧AO)の小論文の場合、試験会場で小論文をまとめるということの他に、自宅で文章を書き提出するといったケースもあります。

こうしたケースではチャットGPTをうまく利用することも考えられます。

うまくいけば最新の情報を盛り込むことができるかもしれません。

政府や公的機関名を指示すれば、それに応じたチャートが手に入ります。

地球温暖化の状況は日々刻々と変化しています。

特にロシアのウクライナ侵攻によって、エネルギーの問題は以前と状況が大きく様変わりしつつあります。

戦闘行為などによって、直接的な温室効果ガス排出が増加しています。

エネルギーの供給不安から、世界中で化石燃料への回帰の動きも出ているのです。

森林や畑の火災、避難民の移動による二酸化炭素排出量増大という、予想もつかなかった問題が展開しています。

こうした現実の資料を付け足していけば、それだけ小論文の内容にも説得力が出てきます。

そうはいっても、世界の流れは脱炭素に向かうしか道はありません。

どの国も二酸化炭素削減に舵を切っていく中で、1番の懸念が化石燃料の供給減少によるエネルギー価格の上昇です。

国による格差の拡大も懸念されます。

ロシアとの関係という変数も加わり、思惑は複雑に錯綜しているのです。

電気自動車をはじめとしたエネルギーへの転換に、時間の余裕はありません。

困難な状況の中で脱炭素への推進力に変えられるかどうか。

政策強化を訴えても、企業のモチベーションにブレーキがかかる可能性もあります。

カーボンプライシング

脱炭素を進めるにあたって、何がキーワードになるのか。

その1つが気候変動問題の主因である炭素に価格を付ける仕組みです。

カーボンプライシングの発想がそれです。

炭素を排出する企業などに、排出量に見合う金銭的負担を求めることが可能になります。

この論点を少しでも知っていれば、チャットGPTに出力をさせてみることもできます。

今までにない新しい視点からの文章が、組み立てられるかもしれません。

ただし曖昧な内容で調べさせれば、当たり前のように茫漠とした結論しか得られません。

これではなんのために、生成系AIを使っているかわからないのです。

結論としてのポイントは、どこまであなたが、その構造を知っているかにかかっています。

チャットGPTの作り出した文章をただコピーしても、評価が高くなることはありません。

一定の視点はそこに登場するものの、それはごく平均的なものに過ぎないからです。

逆にいえば、本当に価値のある文章は、文章をまとめる個人の中にしかないという現実です

知見といってもいいかもしれません。

予想も予兆も、1つの視点から生まれるものでそれ以外ではありません。

テーマに対する識見の深さが必要です。

これを生み出すのは、長い時間をかけて築きあげた1人1人の知力です。

日々、新聞、雑誌、ネットなどに触れ、1つ1つのテーマを自分のものにしていくことです。

それを嫌って、ひたすらこの生成系AIを使っても、結論は目に見えています。

しかしせっかくあるのですから、うまく利用しない手はありません。

基本は最初の段階で問いかけてみることです。

課題文があったとしましょう。

その中に何度も出てくる表現が、キーワードです。

いくつか並べて、問いかけてみましょう。

要約に期待

小論文初心者の場合、キーワードを探すことが困難だというケースもあります。

国語力が十分についていないと、ただ読んでも何がポイントなのか見えてこないのです。

そこで予習段階で、使ってみる方法も考えられます。

チャットGPTは文章を理解していれば、必要な要素のみを抽出することも可能です。

一方、長い文章を読むのが苦手な人は、要約を依頼してみてください。

割合、短い文章にまとめてくれます。

当然、そこにはいくつものキーワードが含まれるのです。

それを3~4つ、さらに問いただしてみましょう。

それだけで、何がテーマの中心なのかということが見えてきます。

その回答に基づいて、再び問うこともできます。

細分化された詳しい内容が、そこに示されるに違いありません。

あらゆる情報を収集してから、自分に何が書けるのかを検証することは無駄ではありません。

チャットGPTの登場で、今後小論文は微妙に形を変えていく予感がします。

もちろん、その場でスマホを利用して書くということではありません。

予習や復習の段階で、工夫をすればかなり効率的に使えるのではないでしょうか。

いずれ、小論文の形が変容していくことも考えられます。

1つの曲がり角であることは間違いありません。

受験生の側からいえば、勉強する時の武器の1つであることは間違いないのです。

うまく使えば、かなりの効果が得られます。

時代は新しいアイテムを手に入れました。

これを利用しない手はありません。

今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

【チャットGPT】進化系AIを利用したレポートをどう評価すればいいのか
チャットGPTの話題が毎日新聞に掲載されています。それだけ衝撃的なソフトなのです。生成系AIの特徴は、日々進化するところにあります。それをアカデミズムの世界でどのように使用すればいいのか。これは想像以上の難問です。
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