【小論文の必殺ワザ】要約問題で確実に得点をしてから最後の設問に挑む

学び

参考書の選び方

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回は小論文の問題を解く時の必殺ワザをお教えします。

試みにいくつか過去問を見てください。

書店の店頭にはたくさんの参考書が並んでいますね。

友人が勧めてくれたからといって、あなたにあっているとは限りません。

基本的な考え方は靴や洋服と同じです。

サイズが同じなら、それでいいのかという話です。

必ず好みがあります。

筆者との相性もあります。

どうやって選ぶのか。

1番大切なのは直感です。

これなら自分でもやれそうだという感触を大切にしましょう。

最近の試験は、だいたい課題文やグラフがあって、その後に設問がいくつか並んでいるパターンのものが多いです。

気がつきましたか。

問いが難しければ難しいほど、要約問題が必ず、その前に設置されています。

なぜでしょうか。

いきなり、解答用紙に長い文章を埋めるのは大変だということを問題作成者も知っているからです。

つまり要約問題は、課題文の内容をあらかじめ整理してから、先に進みなさいというガイドの役割を果たしていると考えてください。

キーポイントをチェックするための里程標なのです。

配点はそれほど高く設定してありません。

しかしここで点数を落としているようでは、合格はおぼつかないのです。

要約で確実に得点をとるということを忘れないでください。

要約問題のキモ

そのためにはあらかじめ知っておく注意点があります。

何も知らずに挑んで失敗するのは、基礎的な約束事を理解していないケースです。

それでは何がポイントなのか。

箇条書きにします。

絶対にこれだけは守ってください。

➀要約に自分の意見は入れない
②要約に段落分けはいらない
③字数は規定の9割以上埋める
④要約に時間をかけすぎない

要約が書けるということは、国語力があることの証明です。

ここで点を落としているようでは、とても合格は望めません。

例文を1つあげましょう。

池田晶子氏のエッセイです。

富山大学人文学部にかつて出題された問題です。

彼女の本を読んだことがありますか。

哲学者です。

若くして亡くなりました。

難解な言葉で人生を考えるのではなく、あくまでも自分が日々使う言葉にこだわろうとしました。

それが多くの読者を得た理由なのです。

「本当の自分はどこいるのか」というテーマは、とても難しい内容に満ちています。

しかし誰もが考えるキーフレーズですね。

課題文

社会的なアイデンティティが役割演技に「すぎない」とは、誰もが漠然と感じるところだろう。

しかし、それをたんなる役割演技「である」と割りきることができないのも、その役割を演じているところの自分の何であるか、本質において掴み切れていないからに違いない。

「自分」には本質などない、役割を演じている自分が自分なのだという言い方も、一方では成立するだろう。

そのような人には、その役割をおいてなおべつの役割を探しにゆくような空虚感は存在しないのだから、その意味ですでに幸福な人だと言えるのかもしれない。

けれども、多くの人は、社会的なアイデンティティを「本当の自分である」と認めることができず、本当の自分をなお探している。

社会の中にそれは見つからないなら、内省することでそれは見つかるのだろうか。

各種のセラピーやカウンセリングなどが推奨している「自分探し」はこのような文脈にあるようである。

対人関係や性格形成などに関して自信をもてない人々に、「自分であること」「ありのままの自分であること」に自信をもてるように導くという。

しかし、自信を持てない人が自信をもてないのは、それに自信を持つべきまさにその自分の何であるかがわからないからではなかろうか。

何かある性格を自分であると認めるためにも、自分とは何であるかが先に知られていなければならないはずだ。

どこか外へ探しに行くにも、内向きにそれを探すにも、探しているものの何であるかをまず問わなければならないことにおいて、同じなのである。

「自分探し」とはそれ自体が陥穽である。

探している自分はここにいる。

この当たり前すぎる事実に拍子抜けするように気づいたとき、人はやみくもに探すのをやめ、着実に考え始めるはずなのだ。

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この文書には2つの設問があります。

問1 最後の文章「自分探し」とはそれ自体が陥穽であるとはどういう意味か。

全体の文章を要約しつつ、100字で答えなさい。

問2 あなたはこれまでに「自分探し」を意識したことはありますか。論者の主張を踏まえながら、「自分探し」について800字で論じなさい。

陥穽という意味

明らかに問1は問2を引き出すためのヒントです。

別の言葉でいえば、読解と要約を一緒にした内容なのです。

ここで十分に考えを深め、一直線に問2に進むべきでしょう。

「陥穽」というのは落とし穴のことです。

ということは「自分探し」のマイナス面を強調して使っていることになります。

自分探しの何がいけないといっているのでしょうか。

その部分をきちんと読み取る必要がありますね。

通常なら、「自分探し」をすることを勧める論調の多い中で、あえて、マイナスがこれだけありますよということを示しているのはどこですか。

「自分とは今ここにいる自分でしかない」という現実を直視しないで、自分探しをしても、それは本来の自分を見失う行為でしかないと筆者は主張しているのです。

この内容こそが要約そのものなのです。

100字しかありませんから、必要な言葉でうまくまとめてください。

ここからでは「自分探し」をどう考えればいいのか。

賛否どちらの立場からでも書けます。

johnhain / Pixabay

筆者は自分探しにあまり賛成していません。

しかし自分探しは大切だという視点からの文章も十分に可能性はあります。

問2はいよいよ、大舞台です。

できれば、個人的な経験などをうまく入れましょう。

そのときに何を感じたのか。

現実逃避にならないように自分探しをする方法には、どのようなものがあるのか。

あるいは最初から無理なのか。

自分探しをしなれば、新しい自分に出会えないのか。

積極的に皮を剥く作業を続けるべきなのか。

どちらの立場がすぐれているということはありません。

自分の書きやすい方向から、文章をまとめていってください。

必ずいい文章になると思います。

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きちんと800字で書く練習をしてみましょう。

今回も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。

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