【小論文】あなたの考えを述べなさいで絶対に守るべきポイントはコレ

学び

オリジナリティ

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回は試験の設問について考えましょう。

小論文の出題でよく見かけるのが、次のような表題です。

「課題文を読み、あなたの考えを800字以内で書きなさい」というものです。

このような設問が出たら、あなたはどうしますか。

誰でも自分のオリジナリティを前面に出して、いい文章を書き合格したいと考えるに違いありません。

心に思うことはみんな一緒です。

①他の受験生と同じことを書かない。
②内容がかぶらないようにする。
③自分らしい内容の文を正面からぶつける。

おそらくこれが共通の発想だと思います。

しかし少し待ってください。

それほど内容の充実した論文を簡単にまとめられるものでしょうか。

課題文に対する知識が、あなたに十分ありますか。

政治、経済、文化、教育、福祉、環境、エネルギー、核、医療など、テーマは山ほどあります。

長い間、勉強してきたから大丈夫だという自信のある人もいるでしょう。

しかし多くの受験生は、はじめて課題文を読み、その内容を完全に理解しないまま、時間に追い立てられて問題用紙のマス目を埋めていくのです。

オリジナリティどころの話ではありません。

合格レベルの答案を最初から、完璧に書き上げる受験生もなかには確かにいます。

もしいたとしても、それは少数派です。

毎年、答案を採点していると、よくここまでしっかりした文章が書けるものだという答案を見かけます。

言葉の使い方も正確で、語彙もあり、内容もよくまとまっている。

採点者の誰もが高得点を与える答案です。

どんぐりの背比べ

しかし残念ながら、そのレベルに達したものは何枚もありません。

論点がまとまらず、どこに結論をもっていこうとしたのか、はっきりしないケースの方が多いのです

はっきりいいましょう。

合否はその集団の中から、さらにこまかく評価した結果として示されるのです。

完璧な解答をめざす必要などはありません。

大多数の答案はどんぐりの背比べ状態なのです。

そこから少しでも抜け出る方法を考える方が現実的です。

よく設問を読んでみてください。

次のような文言が必ず設問に入っているはずです。

「次の文章を読んで」「筆者の主張を踏まえ」「本文に即して」などです。

つまり課題文の内容をきちんと把握したという前提に立って、論文を書けと言っているのです。

国語の読解力そのものの試験といってもさしつかえありません。

言い換えれば、小論文は国語の読解力を試す試験なのです。

実際、国語の試験のかわりに小論文を課す大学もあります。

ところが多くの受験生は、文章力をチェックする試験なのだと勘違いしています。

そうではありません。

あくまでも課題文の内容をどの程度理解できたかを調べる試験です。

試験によっては、「筆者の考えに関連付けて~」とか、「本文の内容と照らし合わせて~」のようなものもあります。

ここまでくると、ほとんど段落分けと内容のまとめに注力しなければならないということに気づくでしょう。

解答欄に記述するあなたの考えが「本文の主張」に答える形になっていないと、筆者を無視した「ただの自己主張」となるわけです。

小論文で問われているもの

小論文の試験で問われているのはあなたの思想の素晴らしさではありません。

あなたの「国語力」なのです。

筆者の主張に賛成であろうと反対であろうと中立であろうと、本文の内容を踏まえた解答で論理的に筋が通っていればそれが正解なのです。

そのためには、まず筆者の主張を理解した上で解答しなければなりません。

「あなたの考え」と言ってもまず本文理解ができた上ではじめて成り立つということを、肝に銘じてください。。

ここで必要なのが、課題文の読み取りです。

何度も言っている通り、キーワードの理解です。

必要なのはあくまでも減点されない解答なのです。

採点者を驚かせるような奇策をとる必要はありません。

むしろアラのない文章を書くことを勧めます。

オーソドックスな論理を正面からぶつけていく方法です。

ヘンに目立つような文章を書く必要はありません。

geralt / Pixabay

採点者を驚かせて、高得点を稼ごうなどという気は毛頭おこさないことです。

毎年、小論文の採点をしていると、ある程度読んだだけで、どのランクの範疇に入るのかがわかるようになります。

課題文に対する理解がどの程度あるのか。

論理的な思考力、文章力、構成力などを順番にみていきます。

長くやっていると、これらの要素が相互に強い力でリンクされていることがよくわかります。

いくら難しい語彙を知っていたとしても、それらが有機的に繋がらなければ意味を持ちません。

筆者の意見を主軸に

採点をするにあたって最初にまず何をするのかといえば、書き手の論理がきちんと通っているかという点です。

筆者の意見に疑問を呈するのも、反対の立場を取るのも自由です。

どのような書き方をしてもかまいません。

ただし、筆者の主張がきちんと把握されているかどうかは、必ずチェックします。

それが曖昧だと国語力が欠如しているとみなされます。

次になぜ疑問を持ち反対をしているのか。

あるいはなぜ筆者の論に対して賛成なのか。

ここが明確に抑えられていないと、なんのための小論文がわかりません。

全く根拠が書かれていない文章は、非常に評価が低くなります。

ここで自分の読解の内容を説明する重要なセクションなのです。

自分を無理に卑下したりしてはいけません。

何も詳しいことは知らないがと言い訳をしながら書かれた文章を、あなたは読みたいと思いますか。

そんなことはないはずです。

採点者の気分をSDGsに反論する文章を書く必要はありません。

むしろ足りない部分を補うくらいの気持ちでまとめていった方が、無難です。

SEVENHEADS / Pixabay

しかしこう書けば採点者が喜ぶだろうといった迎合は意味がありません。

あなたが今までに学んできたことと、課題文を読んで感じたことの接点を、そのまま素直にまとめていけばいいのではないでしょうか。

大切なのは論理性です。

誰が読んでも、この根拠だったら、この結論になるといったまとめ方が王道です。

それはタテマエで、本音はここにあるといったような書き方も避けること。

あくまでも入試のメカニズムの中に位置付けられた試験だということを忘れないでください。

一般論を怖れてはいけません。

むしろ、どのようにしてそこへ辿り着いたのかという道筋の方が貴重なのです。

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もう1度、読み返し、ポイントを整理してみることをお勧めします。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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