事実だけで書く
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回は事実を積み上げて文章を書く練習について考えます。
小論文で最も大切なのは客観的に文章を積み上げていくことです。
自分自身の気持ちや推測をまじえて書くというのは避けなければなりません。
課題文がある場合もテーマだけの場合でも、文章をまとめる方法は同じです。
確実な事実だけを積み上げて最後の結論にまで持ち込む必要があります。
そのためにはどうしたらいいのか。
当然のことながら、世界の多様性を知ることです。
人間ですから当然曖昧な部分は出てくるに違いありません。
しかしそれが許されないとしたらどうなるのか。
![](https://suikyoblog.com/wp-content/uploads/2019/09/新聞_1568790292-1024x768.jpg)
新聞記事を考えてみてください。
記者の憶測や類推で記事が書けますか。
それを印刷して不特定多数の読者に配信することが許されるのでしょうか。
フェイクニュースを入れて、ゴシップを売り物にする雑誌と新聞が決定的に違うところは、校閲の作業があるかどうかというところです。
内容の事実関係を精査して、少しでもアヤシイところがあれば、記事をボツにするという態度が肝要です。
それでは実際に小論文を書く時に、事実だけで書くことは可能なのでしょうか。
憶測でものを書くことはNGです。
基本的に「らしい」「ようだ」などという表現は使えないでしょうね。
さらに「だろう」も推量表現です。
つまりこのような言葉が多く出てくるということはそれだけで、事実を重ねた文章になっていないことを証明しているのと同様なのです。
絶対に避けなければなりません。
感情的な表現はダメ
さらにいえば感情的な表現も同じです。
「うれしい」「悲しい」「苦しい」「つらい」などというのはその個人の感情です。
それを文中に入れるとどうなるのか。
非常に曖昧な文章になりますね。
どこまでが論理で、どこからが個人の感想なのかもわからなくなってしまいます。
小論文はあくまでも断定で言い切ることが基本です。
ということは言い切れないことは書かないのがセオリーです。
その結果として表現は強くなります。
それでいいのです。
こんなことを言い切ってしまっていいのだろうかという場面が当然出てくるでしょうね。
それでかまいません。
![](https://suikyoblog.com/wp-content/uploads/2019/10/空白_1572426408-1024x385.jpg)
逆に言えば、言い切れないことは書かないことです。
その訓練を常にする気持ちが大切なのです。
添削をしているとよくわかりますが、自信のない表現ばかりが並んでいる文章は歯切れが悪いです。
内容も弱いし、評価も低くなります。
最後まで事実を重ねることだけを考えて、文章をまとめてください。
客観的に説明することがいかに難しく、いかに大切かがわかっていただけたでしょうか。
具体的な練習法
それではそのための練習方法を考えてみましょう。
手っ取り早いのは、あなたが新聞記事を書いてみることです。
どんなものでもいいです。
いわゆる三面記事と呼ばれる事件の記事を捏造してみましょう。
捏造というと言葉は悪いですが、一種の創作です。
書き始めてみると、自分がいかに事実を踏まえていないかがよくわかります。
これは高校の国語表現などの授業でも取り上げられるメソッドの1つです。
新聞の投稿欄への応募とならんで、ぼくもよくやりました。
非常に効果があります。
題材はなんでもかまいません。
殺人事件でも、放火事件でも、自動車事故でもいいです。
ポイントは事実だけで組み立てることです。
それ以外の要素を排除してどの程度書き込めるか。
自分の実力を判断してください。
実際の新聞記事を1度、写して書いてみるというのも効果的な練習法です。
普段何気なく読んでいるだけですが、実際に事実だけで書くことがいかに難しいか、よくわかるはずです。
しかし慣れてくると、どう書き始めても必ず短時間でまとめられるようになります。
![](https://suikyoblog.com/wp-content/uploads/2021/11/abstract-1278069__480.webp)
新聞の文章はある意味、定型化しているからです。
基本は5W1Hです。
これを絶対にはずしてはいけません。
誰が、どこで、何を、いつ、なぜ、どのようにしたのか。
この6つの要素をきちんと文中に入れることです。
その際、個人の感情、感覚、想像などを入れてはいけません。
過大な形容詞もいりません。
つらくなってくると人間は強い表現に頼りたくなります。
それが事実を重ねるという図式からずれる結果を招くのです。
事実を重ねることの意味
なぜ事実を重ねないといけないのでしょうか。
感情に流れると、論文の内容が次第に弱くなってしまうからです。
事実に全てを代弁させるのです。
それが論文の説得力に通じます。
では何が事実の中で最も強い材料になりうるのでしょうん。
数字です。
これ以上に強い材料はありません。
課題文の中にもし効果的な数字があれば、それを利用しましょう。
数字は絶対に裏切りません。
そこから推論をしていくことが可能になるからです。
コロナの陽性者数をなぜマスコミが発表し続けるのか。
それが政策の根幹に関わるからです。
グラフや統計もそれに準じるものと考えてください。。
問題の1部に出題されていたら積極的に利用しましょう。
その他、自分が知っている数字がうまく使えるようだったら、それを文中に挿入するのも1つの手です。
積極的にあらゆる方法を使って壊れない事実関係を積み上げていくのです。
そこからしか断定的な強い表現はできてきません。
課題文が出てきたら、すぐに数字をマークしてください。
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使えそうなものはありますか。
もう1つ。
個人名、著者名など、明らかに他とは種類の違う固有のものを探すことです。
使えそうだったら、そこから論を重ねることも可能です。
自分の知識と重ねれば、より有効な発展の仕方ができるに違いありません。
事実は小説よりも奇なり。
これが全てです。
小論文でも全く同じことがいえます。
慣れるまで少し練習を重ねてください。
ポイントを掴むのがうまくなります。
どうぞ継続してください。
期待しています。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。