【小論文のヒント】課題文をスケルトンにして構造を読み取れば神仕様

学び

課題文型が多い

みなさん、こんにちは。

小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回は文章の構造について考えます。

どんな建築でも躯体は単純なものです。

基本は四角と三角。

この組み合わせで出来ています。

対角線を繋げば、丈夫な建物になるのです。

しかし実は少しの遊びも大切です。

カチンカチンに緩みなく作ってしまうと、かえって地震などの時には弱いのです。

耐震性の柔らかい素材を基礎のところに埋め込む。

これが基本です。

高層建築は階の途中にも揺らぎが入るように設計されています。

硬直した建築物は災害に弱いのです。

小論文もこれと同じ。

真っすぐに突き進むのが勿論基本です。

しかしそこに余裕がなくてはなりません。

これは長い経験を通じて体得していくしかないのです。

この話はいずれゆっくりとさせてもらいます。

その前にまず課題文を読み取りましょう。

現在行われている小論文試験の70%は課題文を読んで文章を書くタイプのものです。

もちろん、文章だけではありません。

グラフや図形の場合もあります。

しかし大半は評論などからとった一定の長さの文章です。

短時間で内容を理解し、それに対する反応を示さなければなりません。

どのようにしたらうまく書けるのか。

構造をスケルトンに

実際に課題文が目の前にあったとしましょう。

基本は評論文です。

時に随筆などが出題されることもあります。

しかし評論が圧倒的に多いのです。

現代文の問題を解くのと同じ要領です。

内容を精査して、まず自分の中にきちんと据えるところから始めなくてはなりません。

その時にするべきことは何か。

全文を可視化することです。

文の構造を透明にして読み取りましょう。

比喩や例話をカットすると文章の骨組は案外単純な構造になっていることが多いのです。

よく建築物などで用いられますね。

骨組みです。

鉄骨の構造です。

どんなに複雑にみえる文章でも必ず分解すれば、基本形がみえてくるものです。

どうしても評論文が課題に出ると引いてしまう受験生もいます。

それでなくても国語の入試問題は難しいテーマのものばかりです。

そこへさらに難解な課題文が加わると、もう完全にギブアップですね。

評論を書いている人は、文章が達者です。

受験生を翻弄することくらい、なんでもありません。

複雑なレトリックを使ってわざと難しい内容へ誘導するくらいは朝飯前なのです。

逆にいえば、そうした構図を読み取り、逆にスケルトン化できれば、小論文に対応することもできるようになります。

そのためにはどんな方法を使えばいいのか。

これから一緒に考えてみましょう。

主要な問題意識はどれか

論理がきちんと固めてある文の攻略は、その組み立てを見抜くことにつきます。

ポイントさえはずさなければ、誰にでもできます。

最初に構造を分解してみましょう。

基本は問題提起があり、それに対する意見が述べられているところです。

その理由の説明が1番のキモなのです。

解決への糸口としてどんなことが書いてありますか。

単純な切り口で書いてあるケースは稀れです。

そこにいたるまでにいくつもの例話があり、経験が述べられています。

あるいはわざと反対の意見を中にいれて、自分の論点がいかにすぐれているかを述べるパターンの文もあります。

通説に近いことわざなどをわざと入れて、それがいかに俗説にすぎないかを断定する場面もでてきます。

評論文にはつねに新しい視点が必要です。

dougandpetegardening / Pixabay

日本人は新しいということに大きな価値を抱きます。

今まで誰も考えなかった視点を読者に要求するのです。

そのために筆者はさまざまなレトリックを使います。

評論家の小林秀雄は受験生泣かせで有名でした。

論理が突然飛ぶのです。

ぼんやり読んでいると、何を論じようとしているのかがよくわからないということがありました。

しかしじっくり読んでみると、1つのことしか言ってません。

特に入試の小論文ではたくさんの内容を示すだけの字数はないのです。

有名な人がこんなことを言っていたなどという引用もよく使われるので要注意です。

例や比喩

よく出てくるのが例話です。

あるいは何かと比較する話なども多いです。

「…に似ている」などという文章も出てきます。

まずこうした表層の部分を全部はがしましょう。

必要なのは躯体です。

本体にある鉄骨だけを見ましょう。

そうすると、「私は○○は××だと考える」という基本の構造が出てきます。

例えば「時間は…である」、「歴史は…である」というごくシンプルな論理です。

「時間は思い出である」、「歴史は記憶である」といった文が飛び出してきたとしましょう。

これは一種のレトリックです。

このままでは意味が理解できません。

それを説明した部分があるはずです。

こういう理由で、「私は~だと考える」という論点が必ずあります。

そこを探してください。

そこを掴まえたら、その論理に対する賛否を自分の言葉でまとめればいいのです。

ただし、感情的な書き方はしないこと。

相手の論理の上に乗って、問題を解き明かすことができれば、それが最高です。

もちろん自分の理屈で語ることもできます。

しかしそれでは弱いです。

できたら課題文の中にある筆者の論理を使って反駁するのがいいのです。

書き手の内側に入って、そこで戦うのです。

そうすることで力を得ることができます。

何度も練習してみてください。

つねに新しい視点を探すより、相手の土俵にのった方がはやいです。

どこが急所かわかってくれば、ずっと勝負が有利になります。

課題文をスケルトンにする方法がわかりましたか。

その部分を早くみつけられた人は、一歩先に出たことになります。

戦いが有利になるのです。

是非、練習をしてください。

必ずできるようになります。

頑張ってトライしているうちに、構造の把握までの時間が短くなります。

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とにかくまずやってみてください。

今回もお付き合いいただきありがとうございました。

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