練習を何度も
みなさん、こんにちは。
小論文添削歴20年の元高校国語科教師、すい喬です。
前回は2020年度に出題された都立高校の小論文をご紹介しました。
読んでいただけましたか。
1番下にリンクを貼っておきます。
後で確認してみてください。
確かにかなりの難問もあります。
事前に相当知識を蓄えていないととても解答できないようなものもあります。
しかし安心してください。
![](https://suikyoblog.com/wp-content/uploads/2019/12/undraw_healthy_lifestyle_6tyl-1024x882.png)
ほとんどの高校入試では、ごく基本的なテーマが出題されます。
かなり予備知識がないと書けないような問題は滅多にでません。
だから何もしなくていいということではありませんよ。
基本的にな文章の書き方をきちんとマスターしてください。
その上にたって内容をまとめていけば、十分に合格が可能です。
とにかく小論文なんて書いたことがないという人が大半なのです。
だからちょっと基本を学ぶとグンと差がつきます。
あとは内申書と面接をクリアすれば、一般入試を待たなくても、志望校に合格できるのです。
この試験にチャレンジしない手はありません。
あなたもトライしてください。
その前に2020年度の問題をもう少し検討してみましょう。
何校か取り上げます。
自分でも書けそうか判断してください。
テーマ型の問題
都立高校入試ではテーマ型の問題を出題する学校が多いです。
数行だけ問題があり、制限字数が示されているといったタイプのものです。
神代高校の問題は典型的なテーマ型です。
あなたが人と接する時に心がけていることはなんですか。
その際に具体的経験をふまえた理由も書いてください。
また、高校生活では新たにどんなことを心がけたいと思っていますか。
理由とともに書いてください。
時間は50分。
制限字数は501~600字です。
![](https://suikyoblog.com/wp-content/uploads/2019/10/独自性_1571471951-1024x378.jpg)
最も多いタイプの制限時間と字数だといえます。
問題をみて、みなさんはどう考えますか。
このような試験の場合、与えられた条件をきちんと満たすことがなによりも大切です。
勝手に書き出してはいけません。
与えられた条件を明確に意識しながら、導入から結論にまで至るのです。
ポイントは以下の3つです。
① 人と接する時、心がけていること ② 具体的な経験とその理由 ③ 高校生活で新たに心がけること
書けそうですか。
このテーマを見たら、今回のタイトルを思い出してください。
「なぜ」と「やる気」を見せるのです。
「なぜ」は言葉の通りです。
具体的な経験を示しつつ、なぜそのことを常に心がけているのかを書くのです。
逆にいえば、この部分の説得力がどの程度あるのかということが採点者にアピールするポイントになります。
それが十分に書けたら、次が③のポイントです。
![](https://suikyoblog.com/wp-content/uploads/2019/09/結論_1569717787-1024x682.jpg)
高校生活で心がけようとしたことです。
その内容にあわせて「やる気」を示すのです。
ここは自分のバイタリティを示す大切な部分です。
この2つは絶対に必要です。
導入部で①の内容を簡単にまとめておけば、合格答案になるのは間違いありません。
キーワード探しに全力を
次に東大和南高校の問題を考えます。
2019年5月5日の朝日新聞の記事から抜粋してあります。
内容はあなたの考える「なぜ」ということについて具体的な例をあげて示し、そのことに対する答えを書けというものです。
記事はラジオ番組「全国こども電話相談室」にかかってきた「なぜ」があまりにもすばらしく、回答者はその度に苦労したという話です。
あしたはなぜあるの 反省の色って何色 宇宙人は何を食べるの
子供たちのなぜに答えることで、大人は自分の持っている価値観を根本から問い直されることが何度もあったという論点です。
![](https://suikyoblog.com/wp-content/uploads/2019/10/自分_1572506198-1024x682.jpg)
こういうタイプの問題は課題文を何度も読まなければいけません。
短いですから、すぐに読めます。
そこからキーワードを探すのです。
アンダーラインを引いてどこがポイントなのかを探るのです。
この文章の中に教育者の無着成恭さんの言葉があります。
「そうだ、そういうことが問題だったんだ」とはっとすることがたびたびあったという発言です。
つまり価値観の根本を揺さぶられた経験のことです。
この部分をひろげて「なぜ」を具体的に考える必要があります。
そこでの答えに「やる気」を見せるのです。
今までの視界からさらに広くて深い視野を得たい。
そのための勉強をしたい。
新しい高校生活にチャレンジして、自分の世界観を広げていきたいといったような願いまでを含みこむ力強さをみせるのです。
50分で540~600字の典型的な問題です。
難しくはありません。
ただしありふれた「なぜ」では面白くありませんね。
自分がこれから勉強したい分野に関連づけながら論点を整理するのです。
そうすると問題の趣旨を意識しながら、将来を見据えたいい小論文になります。
出題意図をさぐる
次は若葉総合高校の問題です。
どちらかといえば作文に近いものかもしれません。
このようなタイプの試験もかなりあります。
過去問をみて、毎年似たものが出ている場合には十分に練習をしてください。
課題は進路の目標を決めるために、高校入学後どのように学習を進めていくつもりですかというものです。
本校の人間探求系列、伝統継承系列、芸術表現系列、情報交流系列のいずれか1つと関連させて書きなさいというのが指示です。
当然のことですが、学校に対する研究を深めておかなくてはいけません。
ここに登場する4つの系列について知らなければ、書きようがないからです。
![](https://suikyoblog.com/wp-content/uploads/2019/06/57e0d2424d5aad14ea898675c6203f78083edbe357527948722e7a_640_スキル.jpg)
けっして難しいことではありません。
学校案内を読み、説明会などに出かけて実際に見学をすれば十分に理解できることです。
その体験があるとないとでは、文章のリアリティが全く違います。
どのように何を勉強していくのかをある程度自分で決められるのが総合高校の長所です。
その部分をきちんと把握することがいかに大切かは言うまでもありません。
ここでもなぜ、その系列の学習を進めたいのか。
その学習を通じて将来どのようになりたいのかという意気込みとやる気をみせるのが大切です。
それなしに合格はおぼつかないと考えます。
50分で600字以内という典型的な問題です。
ある程度練習しておけば、合格答案にすることは決して難しいことではありません。
今から頑張って練習を重ねてください。
より具体的であれば、採点者の目にとまりやすいと考えられます。
「なぜ」と「やる気」がキーワードです。
採点者にわかりやすいように示してください。
小論文といっても、本当に千差万別です。
同じものは1つもありません。
とにかく過去問にあたることです。
文章の書き方については次回説明します。
最後までお読みいただきありがとうございました。