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みなさん、こんにちは。
小論文添削歴20年の元都立高校教師、すい喬です。
コロナ禍の中です。
どうにもならない鬱々とした気分を振り払いたいですね。
しかしそれもままなりません。
入試も間近です。
今年は地元志向が強いという話を聞きます。
無理して東京へ出てきてもリモート授業ばかりじゃ面白くありませんものね。
希望していた国際系の学部に入っても留学できないかもしれない。
不安が次々と襲ってきます。
それなら資格が取れる学部へ進学したいと考えるのも当然です。
しかしその前に立ちはだかるのが小論文。
受験する学校の過去問をみると、800~1200字、60分のパターンです。
原稿用紙2~3枚、課題文を読んでたった1時間で2枚も3枚も書けるのか。
それもただの作文じゃありません。
きちんと論理的に筋道の通った論文です。
場合によってはYES、Noで自分の意見を明確にしなければならないケースもあります。
どこを切り取れば賛否になるのか。
きっと難しい問題が出るに違いありません。
元々論理的な文章は苦手なのです。
うまく書こうと思えば思うほど、緊張して言葉が出てこなくなります。
どうしたらいいんでしょう。
何かいい方法はないのかしらん。
断言しておきます。
そんなものはありません。
ただし見方を変えることはできます。
採点者の立場で
みなさんはどのように書こうかということで頭がいっぱいだと思います。
しかしそれを読む立場の人がいることを忘れてはいけません。
つまり読み手です。
採点者です。
彼らは毎年たくさんの答案を読みます。
さらに点数をつけるのです。
複数の人間が同じ部屋に集まって、あなたの答案を読む図を想像してみてください。
その場で点数がどんどんつけられていきます。
あなたが採点者だとしたら最初に答案のどこを見ますか。
どういう答案だったら高い評価を与えますか。
それを逆に考えてください。
誰でも最初に見るのはまず文字ですね。
きちんとていねいに書いてあるか。
誤字はないか。
字の濃さはどうか。
この3ポイントは必ず見ます。
経験上、文字の丁寧な人は成績上位者に多いです。
これははっきりと明言できます。
文字を正確に書ける人、誤字のない人はそれだけ国語力のある人です。
さらに答案を読んでもらおうという意識を持っている人は、心に余裕があります。
だから文字が踊ったりしていません。
書きなぐってはダメ
その反対はわかりますね。
読んでもらうという基本を忘れているパターンです。
次に見るのは文字数です。
これははっきりとした減点対象です。
90%までは点数をひきません。
80~90%だと場合によっては少し減点されますね。
50%だと点数がそれだけで半分になります。
ここが1番点数に差のつくところです。
誰が見てもこの差は歴然としています。
つまり制限字数まで書けない生徒は国語力がないということなのです。
決まった時間の中で書けるかどうかが勝負の分かれ目です。
書けなければ終わりだと覚悟してください。
次は誤字、脱字です。
いくつかのミスまでは許容範囲にする場合もあります。
しかし厳密にカウントする学校もあります。
そこまで外形をチェックしてからおもむろに内容に入るのです。
どこを見るのか。
もちろん論理の構成です。
きちんと結論に至るまで1本の道があるかどうかをチェックします。
必ず導入部分から最後まで問題なく進んでいるのかどうかをみるのです。
構成が甘いと、どうしても論理がフラフラしてきます。
結論に達したころは、最初の意見と正反対だったなどということもよくあるのです。
こういうのは完全にNG。
不合格一直線ですね。
問題の指示は最大のヒント
どうせなら採点者が思わず合格答案だと叫びたくなるような文章を書きましょう。
今まで何度も言ってきました。
主語と述語が明確な文章が第1のポイントです。
途中で文脈が乱れるのはダメ。
特に初心者は複文を書く傾向が強いです。
途中に「ので」「が」を入れ込んで文を長くしてしまうのです。
もちろん、書き手はそんなことを全く意識していません。
ただ思った通りの順番で言葉を並べているだけです。
会話ならそれでもなんとかなります。
相手もちゃんと顔色を見ながら判断してくれます。
しかし書き言葉ではそんなにうまくはいきません。
そこにある表現、言葉が全てです。
あなたの考え方がきちんと相手に伝わったのかどうか、冷静に自分で書いた文章を読んだことがありますか。
科学の未来について書けという問題にコペルニクスやガリレオの話を書いただけでは誰も納得しません。
ポイントは問題文の指示にあります。
全部網羅すること。
「自分の体験を踏まえて」、「未来の自分をイメージして」とあったらその通りに書かなくてはいけません。
問題文の指示を外れると、ぐっと評価が下がります。
「具体的に」とあったら、ていねいに実際自分が書けるだけのわかりやすい方法でまとめなければいけません。
採点者は問題文の指示にどこまできちんと答えているかで採点をしています。
設問は最大のヒントなのです。
1つ1つチェックしながら、文章を先へ進めていけば、かなりの高得点がとれるはずです。
自分で文を書くのが苦手だと思う人は、ベッタリと問題文に貼りつくくらいの気概が必要です。
いつも読まれているのだという立場を絶対に忘れてはいけません。
本番で精一杯実力を発揮してください。
応援してますよ。
最後までお読みいただきありがとうございました。