【小論文直前ゼミ】もの・ことの表現を最大50%までカットすべし

学び

もの・ことに振り回されるな

みなさん、こんにちは。

小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回はちょっと面倒な話をします。

誰もが書く表現のパターンを少し深掘りしてみましょう。

ミスというほどの内容ではありません。

みんながやっているのです。

ちっとも気にしていません。

だから厄介なのです。

別にこの書き方をしたからNGだというワケではありません。

それでもあえて言いましょう。

あなたの書いた文章にある「もの」と「こと」を最大50%カットしてください。

半分です。

もちろん、それより少なくてもかまいません。

できるだけギリギリ取り払う。

努力目標です。

そうすると、非常にシャープな文章になります。

読みやすくなるのです。

文章を書くのは難しいです。

生きていますからね。

ぼんやり書いていると必ずやってしまいます。

とにかくこの2つの表現を極力文章からカットするのです。

例文を書いてみましょう。

①言葉は人間が作り出したものである。

②一部の人はそのことを理解している。

どうでしょうか。

これといって内容に不具合はありません。

意味は通じます。

半分カットしよう

しかしあえて50%消去しようと言ったのには理由があります。

残りの半分は当然残しておいてかまいません。

なにもかもカットしろなどと言っているワケでないのです。

あまり神経質になると文章が書けなくなってしまいますからね。

それではどうやって言葉を置き換えるのか。

本当なら無意識のうちに実践してほしいのです。

それは無理だと言われるかもしれません。

しかし何事も習慣です。

ちょっと繰り返していると、自然と別の言葉に置き換わっていきます。

なんとかやってみるかといって、あまり大上段に構えない方がいいです。

もともと「もの」や「こと」は多くの内容を含んでいるだけに曖昧な要素をたくさん含んでいるのです。

ちょっとトライしてみますね。

①の文の「もの」は「道具」「ツール」ではどうでしょうか。

②の文では「こと」の内容があまり明確ではありません。

そこで「こと」を「内容」「事実」にしてはどうでしょうか。

言葉は人間が作り出したツールである。

②一部の人はその内容を理解している。

あるいは「そのこと」を「それを」にしてもいいでしょう。

しかし代名詞を使うより、「その内容」とした方がよりクリアではありませんか。

無理にこだわる必要はありません。

その時、頭に浮かんだ別の表現でいいのです。

つまり「もの」や「こと」に逃げず、もっと内容を直接に言い切れる言葉があればそれを使ってほしいのです。

もちろん、みつからない時は無理をしないでください。

論理性重視

小論文は論理性を重視するだけに曖昧な表現を嫌います。

「もの」や「こと」との親和性はあまり高くないのです。

試みにここまでの文章を検証してみてください。

ほとんどこの2つの表現を使っていないのがわかりますか。

今回はかなり意識して書いています。

ちょっと苦しいです。

無理に自分を追いつめなくても大丈夫です。

この表現と同時に「というもの」「ということ」も時々使いたくなります。

こんなに便利な表現はありませんからね。

これも要注意です。

つい使ってしまったら、1度カットしてみてください。

文章がぐっと論理的になります。

それになんとなくこの表現は偉そうです。

「教育というものは」などという書き方にはある種の権威性が宿ります。

知らないうちに演説口調になっています。

こんなことがわからないのかという印象を相手に与えてしまうのです。

俗にいうマウンティングです。

これはやめた方がいいでしょうね。

あくまでも論理だけで真っすぐ走り抜ける。

その態度を身につけてください。

言葉の曖昧さをみせるとこちらの弱みを握られる怖れがあります。

それだけは避けたいです。

最初は本当に難しいです。

しかし必ずできるようになります。

シャープな文体を

採点者は鋭い刺さるような文が好きです。

逆にいえば、大半の文章はもったりとしたリズムを感じさせないものばかりなのです。

受験生はそんなことまで考えているゆとりがありません。

とにかく字数を埋めることに必死です。

試みに新聞のコラムを読んでみてください。

昔からよく入試に取り上げられる朝日新聞の天声人語。

大きな声で読み上げてみましょう。

新聞のない人はネットに載っています。

ちょっとやってみてください。

別にたいしたことはないよ。

そう思う人は残念ですが国語力が十分身についていません。

実に緻密な文章です。

それを感じさせないところが憎いのです。

編集委員はこのわずかな文章の中に精魂を込めています。

SEVENHEADS / Pixabay

ちょっとした体言止め1つにもタイミングを計っているのです。

やってみればわかりますが、体言止めを効果的に使うのは大変に難しい技なのです。

プロの仕事なんです。

凝縮された言葉とニュアンスが感じられるようになってくれば、かなり上達していますね。

シャープな文体を身につけてください。

そのために「もの」と「こと」をいい加減に使わないという鉄則を守るのです。

嘘のように文章が生き生きとしてきます。

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試してみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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