【小論文・未婚・晩婚化】社会の仕組みと少子化の余波【影響大】

学び

人口減少の波

みなさん、こんにちは。

小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回は未婚化、晩婚化の傾向について考えてみましょう。

少子化による人口の減少は、労働力の低下という形で日本の経済力にブレーキをかけつつあります。

日本人の出生率についての推移を示したグラフを見た人も多いことと思います。

近年の出生数は現在30代後半、40代前半にあたる第2次ベビーブームと言われた時代のおよそ半分の水準にも達していないのです。

合計特殊出生率という言葉をご存知でしょうか。

人口統計上の指標のことです。

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1人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までの間に産む子供の数の平均をさす数字です。

今の日本はどのような数値なのか。

頭の中に入れておいてください。

2019年の数値は1.36でした。

出産した女性の年齢層をみても、5歳ごとに区切った全てのグルーブで低下しています。

2019年の出生数は約86万5千人。

統計調査開始以来、最低の数値でした。

今の状態のまま推移すると、2055年には生産年齢人口(15~64歳)が半分近くに減ってしまいます。

日本の持っているエネルギーが怖ろしいまでのスピードで落ちていくことは誰の目にも明らかなのです。

この現象は何が原因なのでしょうか。

かつてのように食料がないとか、乳児死亡率が高いというワケではありません。

それなのにここまで新生児の出生数が少なくなった理由はいくつか考えられます。

グラフ読み取り問題

このテーマを使って実際にどのような問題が出たのでしょうか。

いつも解答を書くという立場だけではなく、自分が作問するという別の場所に立った時のケースも考えておいてください

今までとは全く違う風景がみえてくるはずです。

かつて横浜市立大学医学部でグラフの読み取り問題が出ました。

出生数、性別未婚率、初婚年齢の推移、50年後の推計人口のグラフを分析して、考えられる課題とその対策をまとめなさいというものです。

字数はわずか500字でした。

かなりの難問です。

字数は少ないほど、まとめるのに苦労します。

グラフの読み取りには正確さも要求されます。

具体的な問題については、ご自身で検索してみて下さい。

もう少し論点を先に進めましょう。

なぜ未婚率がこれほどに増加しているのでしょうか。

25歳から29歳までの人々のうち2005年以降は男性7割、女性は6割の人が未婚です。

言うまでもなく、以前は女性の未婚率は低かったのです。

それが急速に晩婚化の傾向を示すようになりました。

このようなテーマは自分の周囲を見回してみればすぐ明らかになりますね。

具体的な例が幾つも見えてくるはずです。

そこから考え始めてください。

兄弟姉妹や親戚などの様子をみれば、ある程度の類推ができるものと思われます。

さらにいえば、自分自身です。

現在の自分にとって結婚することの意味は何か。

それを考えれば、この問題の持っている多くの要素が垣間見えてくるのではないでしょうか。

ここは大切なポイントです。

1度自分自身を振り返りながら、テーマの持つ意味を熟考してください。

女性において出産適齢期を迎えていても結婚しない人が増加したのはなぜなのでしょう。

あるいは結婚しても出産を望まないのはなぜか。

根本は個人の自由という内容と大きな関係を持っています。

結婚することの意味

ここで少しだけ考えてみましょう。

結婚することのメリットとデメリットについてです。

最も大きな要因は女性の高学歴化です。

結婚して家庭に入らなくても一生暮らせるようになったという社会的背景に注目します。

キャリアウーマンとしての生活を保つことが可能になりました。

自らの可能性を社会の中で発揮したいという人にとって、結婚は大きなブレーキになります。

まして出産によって産休に入ったり、退社したりすることになれば、そのマイナスは測りしれません。

結婚して家庭に入ることを望まないという選択肢がそこにある限り、未婚化、晩婚化の流れが元に戻ることはないでしょう。

育児休暇を取得することを考えてみてください。

女性と男性がこのシステムをとる場合、どのような差があるでしょうか。

自分のケースを想像してみましょう。

知り合いに訊ねてみるのもいいかもしれません。

女性が育児休業をとる光景は多くみられますが、男性はどうか。

制度は存在しても現実的にそれを実行することは容易ではないのです。

ここがこの問題の大きなカギです。

現在、制度はあっても十分に機能していません。

男性社員がもし本気で育児休業を数カ月から1年間とったとしたら、職場に戻った時社内の圧力を強く感じるはずです。

全くそんな空気はないと言い切れるのかどうか。

結局女性に育児のほとんどを任せなくてはならないということになるのです。

もちろん例外はあります。

しかしそれはあまりにも少ないケースでしかありません。

社会という名の世間はまだそこまで進んでいないのです。

少子化の遠因

子供の出産をためらったり、複数の子供を持つことを諦めるのはごく当然の流れでしょう。

大学を卒業して仕事を始め、自分の方向性を見つけるまでには、それなりの時間がかかります。

そこから結婚にすぐ至るという女性は少ないでしょう。

社会の中で活躍することに生きがいを感じ、仕事に邁進すれば、当然結婚年齢も遅くなります。

未婚化、晩婚化、少子化の原因はここにあるのです。

高齢出産が増えれば、以前のようにたくさん子供を持つこともできません。

体力的にとても不可能です。

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さらに教育費の問題もあります。

ただ産み育てるというのではなく、特性にあわせた子供の教育をしたいという気持ちが強ければ、かなりの費用がかかります。

多くの子供を産むということに対する抵抗力になるのは明らかです。

さらに未婚志向の強い人は、子供を持つことにも最初から消極的です。

いくつもの要因が重なり、ますます少子化が進む一方なのです。

どうすればこの状態化から抜け出せるのか。

子供の医療費、学費などを無償化する流れはこれからも進んでいくでしょう。

さらに社会全体が、子育てをする親に対しても寛容でなくてはなりません。

今以上に産休の考え方が自然なものになり、誰もが安心して子育てのできる環境になる必要があります。

世間という風圧が、ごく自然に消え、男性も育児に関われる社会の構築が必要でしょう。

そのための意識改革を着実に進めなければなりません。

掛け声ばかりで、制度があっても使えないのでは何にもならないのです。

未婚化、晩婚化のテーマは小論文としては書きやすいと思います。

しかし実際に文章を書く時、あまりきれいごとにならないようにすることです。

無理に特別な例を書く必要はありません。

ただし論理の積み重ねは大切です。

心して問題の本質をきちんと把握しておいてください。

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実際の問題が出たら、どの角度からでも書けるようにしておくことが大切です。

勉強を続けてください。

最後までおつきあいいただきありがとうございました。

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