【小論文の基礎】問題解決マインドをためらわず前面に出して突っ走る

学び

ある投書

今日の新聞に高校の先生のこんな投書が載っていました。

プラスチックごみの問題です。

フランスでは量り売りの食材や、調味料は持参した容器に入れて持ち帰るのがごくあたりまえだとか。

課題文にそんな話があったそうです。

日本の場合はどうでしょう。

企業はコストの上昇や収益減を覚悟しても、容器や包装のプラスチック化をやめるでしょうか。

「1人1人の心がけ」だけではもう無理なところまできています。

社会的責任を果たすため、多くの企業が今までの営業姿勢をかえてもおかしくはありません。

しかし問題は生徒たちがこの考えを小論文に書くのかということです。

投書によれば添削をしていると、非常におとなしい内容の文章が多いというのです。

他者を批判することに対する根深い抵抗が見受けられるとか。

学校は問題の核心を突いて論争を起こすことを戒めてきたのではないか。

その結果、批判精神が科学的な思考を妨げていると感じられてならないとしめくくっています。

いい文章が書ける生徒でも、いざ問題解決のための方法論をまとめる段階になって迷ってしまいます。

ありそうな話です。

ここまで厳しく言い切ってしまっていいものかと真面目な生徒は悩むのでしょう。

今の高校生は他者との関係をつねにチェックして生きているようなところがあります

それが日本の社会の構造だといってしまえば、それまでのことなのかもしれません。

似たようなことが社会のあらゆる場面を通じて言えるのではないでしょうか。

もう少し強く言い切ってしまってもいいと思っても、その途中でやめてしまう。

そのことにより文の趣旨が中途半端なものになりやすいのです。

小論文は短い時間であらゆることに対する解決策を求めているわけではありません。

少しでもそのテーマに肉迫していく態度が評価されるのです。

ある喫緊の問題に対して、たとえ仮説でもいいから自分で論を立て、それを論理的にまとめあげていくということが大切なのです。

realworkhard / Pixabay

その訓練が大学での勉強をさらに豊かなものにします。

それができないということは、いずれどこかで破綻するということです。

書けない生徒

小論文がまとめきれないということは極端なことをいえば、卒業論文が書けないことを意味します。

あるいはテーマそのものを決定できないということにもなりかねません。

問題解決への強い意識があるかないかで、その後の勉強の成果が大きく異なってくるのです。

国立大学の後期に小論文が多いというのもそこに意味があります。

大学は単純に教科の試験ではわからない、本当の実力を見抜きたいのです。

考えてみれば、人生の大半は簡単に解決のつかないことばかりです。

それをきちんと把握し、自分の問題として捉え、さらに目の前で展開してみせる力が必要です。

そこから何がポイントなのかをわかりやすく分析していくのです。

geralt / Pixabay

しかしいくら考えてみても、すぐに解決への糸口がみつかるワケではありません。

常に力強く書ききるということも難しいでしょう。

入試ではそこまで要求はしていません。

ほんのわずかでもその入り口に立ち、そこから中を覗き、どこに力を入れればどのようになるのかを考えてもらいたいのです。

福島沖の原発事故を考えてみましょう。

地表面の土砂を集めたものの、巨大な袋に入れたまま今日までなんの進展もありません。

現在もそのまま野積みにされているのです。

どうしたらいいのか。

いずれ処分しなければならないのです。

しかしその方法は全くみえていません。

すぐに解決する策はないかと聞かれても、大量の放射能をあびた土砂の処分は難問中の難問です。

海洋投棄などということが単純にできないとすれば、その後の方法として何がありうるのか。

プロセスが大切

入試の小論文というのはつまりこれと同じです。

格差社会にせよ、少子高齢化にせよ、解決への道は容易ではありません。

しかしそれを考えるのです。

自分の頭で、知恵を絞って考えるのです。

そのプロセスが評価につながると思ってください。

知っていることをいくら書いても、たいして意味はありません。

確かに書かないよりはずっとましです。

しかし調べればわかるようなことをダラダラと記述しても評価にはつながりません。

この方法にはそれぞれこういうプラスとマイナスがある。

しかしどちらかといえば、こちらの視点でみていけば、これが現在の時点で解決への最良の道ではないかといったような書き方です。

そういう問題解決マインドの示し方が大切なのです。

あなたにできそうですか。

つねに課題文があったら要約をし問題提案から始めようというのは以前も書きました。

基本は何が問題の核心なのかを掴むことです。

ここがぐらつくと、後の文章が全くみえなくなります。

さらにその提案を受けて理由の説明を丁寧にします。

どうしてこういう提案をしたのか。

その根拠をわかりやすく説明するのです。

1番大切なところです。

この部分が小論文の要です。

きちんと理由を説明してください。

もちろん、完璧に答えられないこともあります。

さきほどのプラスチックごみについても、予測のつかない展開があるかもしれません。

現代は予想のつかない変化の激しい時代です。

2030年までに再生可能な包装に切り替えるとしたEUの例などを見ても、科学技術とのコラボは必至です。

喫緊のテーマ

地球温暖化、少子高齢化、格差社会など今日の日本は山のように複雑な問題を抱えています。

どれ1つとしてすぐに解決できるようなテーマはありません。

例にあげたプラスチックごみの問題も複雑です。

プラスチックフリーという言葉を耳にしたことがあるでしょうか。

ファミリーレストランなどでもストローを紙製にするという流れが定着しつつあります。

さらにスーパーなどのレジ袋有料化や買い物袋持参の運動など、あらゆるシーンで見受けられるようになりました

しかし海洋ゴミは腐らず、漂流しているままです。

魚が誤飲し、その結果大量死を迎えるという現実もあります。

いつまでも今のようなレベルではなかなか解決には至らないのです。

たった1つの問題でさえ、こうなのです。

現在の環境問題はもっと多様で深刻です。

それらに対して、何が可能なのかを考えていかなければなりません。

時には国家や企業に対して厳しい姿勢で臨むことも必要になるかもしれません。

その時は毅然とした態度をとらないと、文章は成立しないでしょう。

そういう段階にきていると思います。

はっきりと自分の立場を明らかにする論文を書ける人は、大学で学びの質を広げられると思います。

問題解決マインドを常に持ち続けてください。

スポンサーリンク

新聞や雑誌をよく読み、社会に対する関心を広げること。

これ以外に言葉を豊かにする方法はないのです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

日本においてもここ数年の温度変化は激変しています。

タイトルとURLをコピーしました