暮らし

【戯曲の中の対話】演劇で使われる言葉は情報の塊りであるという真実

戯曲の中の対話は、一般的な会話ではありません。劇作家が渾身の力をこめて作り上げた情報の集積なのです。一見、無駄に話しているように見えるセリフも、その背後にたくさんの内容を含みこんでいます。その事実を掴み取ってください。

【箱男再読・安部公房】実写化された映画の存在が起爆剤になる可能性は

箱男という小説を御存知ですか。今から50年ほど前に安倍公房が書いた作品です。それが今年、実写化され封切られることになりました。段ボールの箱の中に入って外を眺めている男は、いったい何を見ようとしているのか。それを考えてみましょう。
落語

【人情噺・鹿政談】鹿の餌料を着服する守役を裁いた奉行の真骨頂とは

講談から落語になった人情噺の1つです。奈良の鹿にまつわる政談ものです。豆腐屋が間違えて鹿を殺してしまうところから噺が始まります。やがて裁きの場面にかわり、鹿の守役が餌代を着服していたことが判明します。そこから一気に話が面白くなるのです。

【小説とは何か・三島由紀夫】現実を震撼させる言霊の在りかは【遠野物語】

小説とは何かということを考え始めると、その難しさがひしひしと迫ってきます。作家、三島由紀夫はどう考えたのでしょう。そのヒントになるエッセイが『文学国語』の教科書に載っていました。『遠野物語』にヒントを得たというのです。
学び

【小論文・文体の獲得】立ち位置を明確にしつつ生命力のある文章を書く

小論文の難しさは文体を獲得することにつきます。自分の立ち位置がはっきりしなければ、少しもアピールする文章にはなりません。採点者は日記や感想文を要求しているわけではないのです。あなたがどういう位置から現実を認識しているのかを知りたいのです。

【捨てない女・多和田葉子】書き損じの原稿用紙は燃やしてもいいの?

作家、多和田葉子の掌編です。本当に短い作品なので、何を表現しようとしているのかが、よくわからないかもしれません。しかしシュールな切り口が、とても爽やかです。捨てるという行為と書くという作業との間にある距離がよく見えてきます。

【源氏物語・須磨】栄達への転機となった光源氏の歴史絵巻【貴種流離】

『源氏物語』は日本が誇る世界に通用する文学です。その12段に「須磨」の巻があります。ここで光源氏は今までにない流離の生活をします。そこからの復活にはかなりの時間がかかりました。しかしここでの成長が、それ以後の出世を約束したのです。
暮らし

【本当は怖い前提の話】さまざまな情報が氾濫した社会を生き抜くには

言葉には大変微妙な関係があります。ある情報を手に入れるために、その前提となる内容の理解が必要なケースもあるのです。しかしその前提になる情報にバイアスがかかると、それだけで正常な判断がしにくくなります。少し考えてみましょう。

【徒然草・54段】必要以上に小細工すると結果は予想より惨めになるのです

徒然草はいつ読んでも心に残る本です。今回はまたもや仁和寺の法師の話です。よほど、このお寺に親近感があったのですね。必要以上に手を入れたりすると、結果は惨めなものになるという話です。愉快なので、ちょっと読んでみてください。
暮らし

【現代の価値観】「私」の消えた欲望には主体がなく始まりも終わりもない

現代という時代はどこに真実があるのか。それがよく見えなくなっています。あらゆる価値が輻輳化し、私の概念さえも揺れています。自分が本来持っている欲望の姿さえ、はっきりと見えなくなっています。それを追いかけると、まるで蜃気楼のように消えるのです。
暮らし

【小論文・人権】マスコミはなぜ事件の容疑者を男や女と呼び捨てにするのか

犯罪に絡んだと判断された時から、男性や女性という呼称は男や女になります。なぜそうした変化があるのか。そこには微妙な人間観が宿っています。ある意味、人権にからんだ問題なのです。その思考構造について、少し考察してみましょう。
学び

【小論文あるある】令和6年度推薦入試に出題された頻出パターンはこれ

令和6年度の都立推薦入試が終わりました。どういう問題が出るのでしょうか。気になりますね。進路指導重点校の問題は、大変に難解です。しかしそれ以外の学校のものは、練習さえすれば、いい結果がついてくると思います。
学び

【京大入試】現代文の問題で読解力を鍛え小論文を書く力を養う【教養とは】

今回は2004年度京都大学の入試問題を考えてみましょう。現代文の課題文は大変にレベルの高いものですが、勉強するには内容の濃い最適なものです。実際は国語の問題ですが、これを小論文の問題に応用して、纏めてみましょう。
暮らし

【孤独の深さ】他者と比べるからこそ疎外感を持つという悲しい人間の宿命

人間の孤独というのは存在の本質に関わる重要なテーマです。なぜ、人間は孤独感を感じるのか。これは難しく、悩ましい問題ですね。それを子供の発達心理から解き明かそうとした研究者がいます。その著書にあたり、一緒に考えてみませんか。

【項羽の最期・史記】自分の運命を見切った男の死にざまは壮絶だった

項羽の最期は『史記』にどのように描かれているのでしょうか。高校の漢文では必ず学ぶところです。平家物語を読んでいるような感覚にも囚われてしまいます。不思議な味わいのあるシーンです。ぜひ、読みこんでみてください。
学び

【懐疑を乗り越える・橋爪大三郎】哲学の永遠のテーマをどう料理するのか

懐疑をどう乗り越えるのかという 橋爪大三郎氏の文章を題材に考えます。 哲学の永遠のテーマ だと言っていいでしょう。どこまでつきつめていっても、その真実の姿が顔をあらわすということはありません。それだけに難しい内容なのです。