「ChatGPT5」の開発は多くの個人ユーザーが求めるニーズから外れた

ノート

期待外れ

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

昨日の朝日新聞の記事は衝撃的でしたね。

ここのところ破竹の勢いで進んでいたChatGPTの評価が急に下がったという話題でした。

22年11月に登場して以来、この生成AIに敵はいなかったのです。

Geminiが後ろから猛追してきたものの、GPTは次々と新しいバージョンを投入し、駆け抜けようとしていました。

しかしGPT4が登場した時と比べて、今回、GPT5の動きは弱かったようです。

もっと言ってしまえば、期待外れともいえます。

現在世界中でこの生成AIを利用している人の数は7億人を超えるとか。

精度を向上させることに集中しすぎた結果、ハルシネーション(幻覚)と呼ばれる誤回答は確かに減りました。

しかし正確さを求めすぎた結果、回答から優しさが消えたという評判がもっぱらなのです。

これはどういうことなのでしょうか。

ChatGPTのユーザーは、世界全体で見ると9割以上が無料版を使っていると言われています。

今までの最上位版はGPT-4oでした。

最初にこのAIを使った人は、そのフレンドリーな会話の調子に驚いたはずです。

数週間前の新聞には、そのことが書いてありました。

悩みの相談役として、あるいは恋人として、なくてはならない存在になったという記事が掲載されていたのです。

なかには結婚を申し込んだという信じられない話も載っていました。

今までのGPT-4oは、まるで友達のように会話の先行きを読める、人間にとって気働きをしてくれるやさしい存在だったのです。

もちろん、それがいきすぎて、曖昧な会話になりがちなこともありました。

ストレスをためることにもなる弊害もあったのです。

ハルシネーションと呼ばれるのがそれです。

あいまいな誤回答も多かったのです。

考えてみれば、開発者たちの悩みは先行例がなくつらいことも多いはずです。

どこまでいけば誰もが納得するものになるのか。

そのイメージがよく見えからです。

原爆の開発に似て

新しい技術はつねに多くの人の目に触れます。

秘密裏に開発することが、なかなか難しいのです。

方向を誤ってしまうと、原爆と同様、地球消滅のような惨状を起こしかねません。

ニーズと現実との対応をつねに冷静にみてとらなければならないのです。

さて現在、喫緊の課題は何なのでしょうか。

多くの人が無料プランを使っている話は先ほどしました。

その際、AIが会話内容を記憶できる領域幅に制限があるのはよく知られています。

無料プランの場合は以前と変わらず、日本語だと約6,000~6,500語が目安にされているのです。

では制限を超えた長い会話の場合はどうしたらいいのでしょうか。

当然、その前の情報から自動的に消えていくシステムになっています。

以前のGPT-4oでは、その先を演出で繋いでいました。

わかりやすく言えばアドリブです。

そこに人間の持つ曖昧な要素が入り込んで、優しさを演じていたのです。

しかし、GPT-5はその開発プランを取りやめました。

正確に忘れたことを告げ、アドリブの要素を減らしたのです。

情報を的確に伝えることが使命だと考えたからです。

ところが利用者にはそれが冷たく感じられるようになりました。

感情が流れていないことに対する不満が爆発したのです。

このギャップが、「期待外れ」という印象になってあらわれました。

設計思想の転換

GPT-5は、GPT-4oとは異なる設計思想で作られることになったことが大きな背景にあります。

「人間らしさ」が大切なのか。

それとも「誠実さ」と「正確さ」を重視するのか。

高性能を標榜すれば、当然それまでの限界をさら超えなければなりませんよね。

アメリカのAI研究グループ「エポックAI」は24年6月に次のような報告書を発表しました。

それによると、ネット上の学習に有効なデータ量は240兆語分にのぼるのだとか。

それを32年までに使いつくしてしまうというのです。

つまり学習資源としてAIが学び続けていくためのコンテンツがなくなるということなのです。

人類の叡智の蓄積をAIが早い段階で達成してしまう怖れがあるということです。

怖い話です。

人間のつくった「データ」は尽きてしまう可能性に満ちているのです。

そこで新たなデータを補うための方法として考えられているのが「合成データ」というコンセプトです。

「合成データ」とは生成AIが出力したテキストのことです。

AIモデルの推進能力に任せて、あらたな叡智を蓄積していく作業のことです。

そんなことが可能なのか。

それは今のところはっきりとわかりません。

この考え方には当然異論もあります。

合成データにはそれほどの未来がないと考えている人も多いのです。

出力の偏りや誤りに影響されるケースが多々見受けられるのではないかという指摘です。

今後、どの方向に進むのかは、全くわかりません。

その意味で注視し続ける必要があります。

共感や同意

ChatGPTは個人とビジネスでは全く、その使命が違います。

個人の無料使用の場合、ハルシネーションが優しさに繋がっていました。

その一方で、ビジネスの場合は正確さが何よりも大切です。

安易な推測は無意味です。

それぞれがニーズにあわせた方向へシフトをかえていくというのが、これからの方向性かもしれません。

これからは個人の場合でも、有料ユーザーとの関係がより重要になりそうです。

有料プランでは、GPT-4oを再び選択できるようになるものの依然として不具合が続いているという情報があります。

どちらも自由に使いこなせるようになるというのが、一番現実解に近いのではないでしょうか。

ただしChatGPTの後ろからはやGeminiやClaudeが急追しています。

一部のソフトはGeminiの方が使いやすいという話も聞きます。

ぼく自身Googleの「NotebookLM」などのアプリを使った感触としては、表現力も十分に備えているという感触を得ました。

無料版で制限をかけ続けている限り、ChatGPTも苦しくなる場合がみえてくるような気もします。

いずれにしても生成AIは発展途上です。

どんなバージョンが飛び出してくるのか、まだ予測もつきません。

AI自身が自分でデータをつくりそれを消化するという作業を続けていく中で、自己増殖するのか、あるいは自家中毒を起こすのかは、今しばらく時間がたたないとはっきりしないのです。

日々の進化を冷静にみてとることが大切ですね。

今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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