【小論文】論理的な文章は内容がきちんと理解でき結論まで一直線です

学び

論理的であるとは

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回は論理的であるということの意味を深掘りします。

簡単に書きましたが、論理的であるという事実は非常に重いです。

自分ではこの論理で十分に相手を説得できると、考えたとしましょう。

しかしだからといって、必ずあなたと同じ結論が導かれるかどうかはわかりません。

理にかなうという表現がありますね。

この考えは理屈に合っているということです。

これならば、必ず理解してもらえるはずだと考える道筋のことです。

この文章を読めば、皆が同じ結論になると考えたとしましょう。

しかし論理というのは、それほど容易に理解できるものでしょうか。

なぜあなたの意見が正しくてわかりやすいと、勝手に考えてしまうのか。

そこが最大の問題なのです。

改めて言いましょう。

これならば誰にもわかるはずだと1人で納得していたとしたら、それは大変危険なことです。

「わからない」ということはとても大切です。

どこが理解できないのか、なにがわからないのか。

それを分析し、検討して、誰が読んでも理解できる内容にしなくてはいけないからです。

そのためのきっかけが「わからない」という最初の発言です。

読み手の立場になって再読する作業を実際にやってみると、大変なことがよくわかります。

他者の目でもう1度世界を反芻するということを意味するのです。

理解してもらえないとすれば、そこには何らかの理由があります。

相手に知識がないというのであれば、それを説明すればいいでしょう。

しかしきちんと読み込み、理解したとしても、わからないということはあるのです。

「わからない」の深層

この場合は、あなたの書いた仮説が誤っている可能性もあります。

立論に無理があって、先に進まないということもあります。

あなたはその内容を全く別の言葉ですぐに言い換えられますか。

全く同じ内容をより理解しやすい言葉に置き換え提示してみることです。

それだけで、世界の形がかわるかもしれません。

立論が誤っていなければ、それで十分に通用する可能性もあります。

反対にダメだとしたら、最初の問題提起の形をただちにかえなくてはなりません。

説得力のある文章にかえなければならないのです。

具体的にはどのような文に説得力があると言えるのでしょうか。

これは実に厄介な問題です。

理解の根本には当然、価値観があります。

試みに「人間の幸福とは何か」という問題を扱ってみます。

読み手が何を大切に考えているのかによって、文章の理解度は大きく変わりますね。

ある人は生きがいだと答えるかもしれません。

ある人は自由に使えるお金をたくさん持つことだと答えるでしょう。

愛する人と家族に囲まれて暮らす日々こそが、人間の幸福だという意見もありえます。

それではこの幾つかの項目をアレンジして、自分にとっての幸福観を作り上げていけばいいのでしょうか。

それほど話は単純ではありません。

こういう価値観をもってこう書けば、相手には十分な説得力をもって受け入れられるという構図ではないのです。

自分の考えが全てだという書き方は確かに楽ではあります。

しかしこれはやはりNGだというしかありません。

価値観はみな違う

問題は人生の幸福は生きがいだと考えている人に、幸福は自由になるお金の多寡で決まるという意見を押し付けられるのかということです。

押し付けるというと語弊があるかもしれません。

ここでは説得すると言い換えましょう。

おそらく拒否反応を示すでしょうね。

内容をこまかく切り、正確な分析を加えていく以外にはないのです。

「生きがい」と「金銭」の価値は完全に平行線をたどるものなのか。

あるいは180度、反対のものなのか。

他の要素がもっとからんでくるのか。

そこが最も厄介な問題です。

あなたはこの2つのテーマだけで、論理を支える内容を組み立てられますか。

実際にやってみればわかります。

幸福には、もっと多くのファクターがあるのです。

それらを上手に網羅できなければ、小論文は結局失敗してしまいます。

人の幸福はそれほど単純なものではないはずです。

人間には利他の精神があります。

他者のために自分が生きるという考え方です。

さらには美の追求もあるでしょう。

あらゆる芸術や起業の根本には、自己実現という要素が絡みます。

少し考えただけでも、いかに多くの要因に彩られているかが、理解できるでしょう。

文章を理解してもらうためには、常に異なる価値観を持つ読み手をイメージする必要があります。

その人の論理に対してどのように書けば理解してもらえるのか。

それを考えることが、いい小論文を書く秘訣なのです。

結論まで一直線

ここまで理解できましたか。

1つの価値観だけで、ものごとを考えてはいけません。

とくに複雑な内容のテーマになればなるほど、まとめていくのは難しいのです。

ここでもう1つ、原子力発電の是非を考えてみましょう。

福島原子力発電所の事故からかなりの年月が経ちました。

原子力発電の是非について、現在の世論はどう動いていますか。

人々の意識はつねに変化しています。

もちろん、安全が担保できない限り、絶対に反対という立場もあります。

しかし二酸化炭素を排出しないという意味では、最も環境にやさしい発電方法だとう人もいます。

今日、大多数の人はどちらの立場にたっているのでしょうか。

それを考えなくてはいけません。

どの視点から判断するのかということが、小論文の書き方の基本です。

あくまでもそこで提出する論理を突き詰めていったときに出てくる結論が大切なのです。

逆にいえば、それ以外は切り捨ててしまう覚悟が必要です。

ヨーロッパで原子力発電はどのように考えられているのか。

ロシアのウクライナ侵攻によって、あれほど二酸化炭素の問題がクローズアップされたのに、現状は石炭の採掘量もうなぎのぼりです。

日本では原発の稼働時間を60年に伸ばしました。

あなたはこのテーマについて書く時、どの視点を最も大切にしますか。

それをきちんと理解してもらい、一定の結論に無理がないというところまで書き込むのは容易なことではありません。

小論文の難しさはここにあるのです。

一読したら意味が理解でき、あなたの示した結論に無理がないというレベルまで、徹底的に書き込まなければなりません。

それにはひたすら練習するしかないのです。

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理解してもらえたでしょうか。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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