【小論文・多様性と調和】ピクトグラムの持つメリットについて考える

学び

ピクトグラム

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回はピクトグラムと呼ばれる絵文字について考えましょう。

1964年の東京オリンピックに登場したもののとして、よく語られるのが、スポーツ用のピクトグラムです。

単色の絵図が競技の内容を誰にでもわかるように描かれているのです。

入試の小論文にも、このテーマが今までに何度か登場しています。

今回はどのような問いがなされてきたのかということを、過去問からみていきましょう。

2020年の東京オリンピックにおいても、ピクトグラムは多用されました。

それに関わるかたちで出題されたケースがいくつかあります。

設問をみながら、ともに考察してみます。

問いは以下の通りです。

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スポーツピクトグラムは、それぞれの競技を正確に表すと同時に、コミュニケーションツールとして情報を伝える大切な役割があります。

また、開催期間のみならず、後年にわたって人々の記憶の中にその大会を印象づけるものです。

東京2020パラリンピックスポーツピクトグラムは、1964年の東京オリンピックで生まれたスポーツピクトグラムの考え方を継承しています。

それだけでなく、さらに発展させ、躍動するアスリートの動きを魅力的に引き出すデザインとなっているのです。

パラリンピックの新たなレガシーとして未来に継承されていくでしょう。

グラフィックデザイナーを中心に編成された開発チームが、全22競技23種類のパラリンピックスポーツピクトグラムを制作しました。

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上記の資料を読み、

①「多様性と調和」を実現する上でピクトグラムの果たす役割についてあなたの考えを書きなさい。

②「多様性と調和」を大切にした学校生活とはどのようなものか、具体的な体験や例を挙げて書きなさい、というものです。

制限字数は➀が100字、②が500字以内です。

歴史

ピクトグラム(pictogram)はグラフィック・シンボルの典型です。

絵文字あるいは絵ことばと訳されています。

1964年の東京オリンピックの際、積極的に使われました。

絵ことばの最大の特徴は誰にでもすぐにわかることです。

つまり言語の壁を一瞬で取り払うことができます。

国際的な伝達効果という点では、もっともすぐれた効果を表します。

これは個人的な体験ですが、都心のビルに入った時、ひざまずいて祈りを捧げるピクトグラム見かけたことがあります。

イスラム教徒の人が祈る場所を示しているものでした。

矢印の先が祈祷所であったに違いありません。

国際都市、東京の一面を垣間見たような気がしました。

ピクトグラムの起源は道路標識でした。

1909年にヨーロッパでは道路標識をピクトグラムで表すことが行われました。

でこぼこあり、踏切ありなどの4種類の絵文字が、国際道路標識として用いられたのです。

日本でも、1964年の東京オリンピックを機に標識化が進みました。

来日する外国人を考慮しての措置です。

ヨーロッパで先行していたデザインを採用し、一部日本で手を加えた絵文字標識化が進みました。

全てが東京オリンピックがきっかけだったのです。

それくらい、このイベントは日本が劇的に変化する契機だったと思われます。

現在はあらゆるジャンルでピクトグラムが利用されています。

スポーツだけに限りません。

国際交流のあらゆる機会に使用されていることは、誰もが見知っているところです。

東京大会以降、1972年のミュンヘン・オリンピック以降も有効性が確かめられました。

今日、ピクトグラムは生活の隅々にまで行き渡っているのです。

多様性と調和

今回の問題のキーワードは「多様性」と「調和」です。

ピクトグラムを実現するうえで、その果たす役割について考える場合、どのように考えればいいのか。

この表現とどう繋げていけばいいのか。

かなりの難問ですね。

ただし制限字数はわずかに100字です。

ポイントになる言葉を繋げるだけで十分でしょう。

試みに500字程度でもまとめてみてください。

最初に多様性ということを考えてみます。

誰でもが思いつくのは、グローバル化された国際社会というイメージではないでしょうか。

あらゆる民族、言語、文化が共生する社会を目指すということになれば、互いのコミュニケーションを円滑にすることが最優先課題です。

そのために共通の言語を学ぶというのも、1つの方法です。

しかし実際にそれを遂行するには多くの時間と労力を必要とします。

それよりも時間を重視するとすれば、共通の絵言葉に頼るのは必然でしょう。

コミュニケーションと多様性という表現を使うことで、この問題はすぐにクリア可能だと考えられます。

ピクトグラムが生まれた理由がまさにそこにあるからです。

➀色によって何を訴えたいのか、直観的に判断することができる。(例、女性は赤、男性は青など)

②シンプルな絵柄が多く、多少距離が離れていても判断できる。

③互いに言葉がわからない人でも意味が通じる。

この3点をあげれば十分でしょう。

問題は次の「調和」という言葉です。

どう繋げればいいのか。

基本的に多様なものが1つになろうとする作業が、調和への一歩だと考えていけばいいのではないでしょうか。

ある1つの目標に達するために、多くの人が集い協力するというイメージで捉えたらわかりやすいはずです。

学校生活との紐づけ

問2の設問は「多様性と調和」を大切にした学校生活とはどのようなものかということです。

これは直接、ピクトグラムとは関係がないのかもしれません。

おそらく最初の質問に続いて、次の設問にしたという印象が強いです。

ポイントは具体的な体験や例をあげなさいという点です。

高校入試のケースでは、必ずこのタイプの設問があります。

どのような学校生活を送りたいのかを、見てとりたいという希望が学校側にあるからでしょう。

おそらく、イメージしているのは多様な背景を持った同級生や先輩、後輩たちとどう過ごすのかということです。

そのために自分は何をすればいいのか。

Wokandapix / Pixabay

何ができるのかという視点です。

素直に過去の体験を書けばいいのではないでしょうか。

ただし、字数には十分気をつけること。

大切なのは過去にした失敗に言及した方が、内容が強く効果的になることです。

それをどのように克服して、友人たちと調和のある関係を築き上げたのかという論点です。

字数制限があるので、十分に注意してください。

それがうまくいけば、内容的には合格点がとれると思います。

ピクトグラムに対する問題は前半だけなので、設問2は全く独自の書き方をしていいと考えられます。

ただし、いい気になって体験を書くのはNGです。

つねに「多様性」と「調和」のバランスに気を使ってください。

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今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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