何を書けばいいのか
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回は試験場で「何を書いていいかわからない」受験生のために、小論文の極意をお教えします。
いよいよ入試が間近という人も多いでしょうね。
今まで、文章を書く練習をたくさんしてきましたか。
ここへきて焦っている人もいる人もいるかもしれません。
試験当日になればなんとかなるだろうと、甘く考えていたのではないですか。
自分は作文を今までにもたくさん書いてきた。
小論文もそれほど難しいことはないに違いない。
そう、高をくくっていたということはないですか。
実際の試験問題をチェックしてみてください。
最近は難しい内容の問題が多いですね。
グラフを使った設問もよくみかけます。
現実は勉強を始めてはみたものの、「何を書いたらいいのかわからない」という受験生ががとても多いのです。
だからといって、頭に思いついたことを無暗に書きなぐっても、得点にはなりません。
小論文の試験にはきちんとしたルールがあるのです。
約束された構成の方法にしたがってまとめていかないと、論文にはなりません。
小、中学校で書かされた感想文とは、まったく違う種類のものなのです。
そのことを意識していない受験生がいかに多いことか。
小論文のキモは論理性です。
採点者は書き手の論理にしたがって読みます。
最後の結論に至るまで、一貫していれば、それなりの得点がつくのです。
いくら感受性の豊かな文章であろうとも、内容や論理が途中でねじれていたら、高い評価を受けることはありません。
この差が小論文のすべてです。
課題文がある場合は、筆者の論点に対してYesでもNoでもかまいません。
1番大切なのは、なぜ賛成したのか。
あるいはなぜ反対の立場にまわったのかということです。
ポイントはその論拠です。
理由なのです。
600~800字をどう埋めるか
大きく分けると小論文の構成は次の3つになります。
➀問題提起
どのような問題がここでの主題になり得るのか。
それに対して、自分はどのような方向性をもって小論文を書こうとしているのか。
その道筋を最初に示します。
場合によっては、筆者の論点を簡単に要約する場合もあります。
②意見とその理由
なぜ自分がその意見を持つようになったのかという理由を示します。
ここが最も重要な場になるのです。
「なぜならその理由は2つあります」などという書き方をするケースが多いです。
ここで自分の体験や見聞、あるいは賛否を担保する論拠を示すのです。
それまでに学習してきたすべてをぶつける覚悟が必要です。
渾身の力をこめて書いてください。
理由が2つあると最初に述べたら、採点者はそのつもりで読み始めます。
絶対に期待を裏切ってはいけません。
こういう体験をし、このような認識を得たという書き方です。
あるいは今までの学習の中で、このような気づきをした。
その結果、これが自分の意見であり、このような結論にならざるを得ないという論理の枠組みです。
この時、気をつけなくてはならないことは、自分の言いたいことを一方的に書いてしまうタイプの文章です。
小論文は何が主題で、何について問われているのかをきちんと明確にするのが基本です。
自分勝手な論理を絶対にふりまわしてはいけません。
解決策は必須
③解決策と結論
小論文は必ず解決策を要求しています。
あるいは結論といっていいかもしれません。
たんなる知識の羅列なら、本を読んで写せばいいのです。
しかし小論文はその場で、自分の全知能の中から、選ばれた言葉を並べていく作業です。
その際に最も必要なのは解決への糸口でしょう。
どうしたら少しでも状況がよくなるのか。
それをまとめることです。
とはいえ、これは簡単な作業ではありません。
どうしても思いつかない場合もあるでしょう。
解決策というと、あまりにも語調が強すぎるかもしれません。
改善策を考えてみる、ということでしたら可能でしょうか。
今まではこうだった。
その結果として現在の状況はこのようなっている。
それを少しでもいい状態にするには、次のような方法が考えられるのではないか。
小論文は少しでも状況をよくするために書かなければなりません。
新しい視点を示して、未来へ繋ぐのです。
理由は2つありますという書き方
人間は3という数字が好きだという意見をよく聞きます。
確かに3本の矢ではありませんが、納まりがいいですね。
なんとなく落ち着きます。
スピーチの場合は3を推奨します。
しかし小論文は字数が限られています。
3つの理由を書いてしまうと、その説明にかなりの文字数を使うことになります。
避けておくのが賢明です。
その意味で2つの理由をメインにしましょう。
1つだと外してしまう可能性があるからです。
どちらかが評価されれば、必ずポイントを掴んでいるという意思表示にもなります。
書き方は次の通りです。
理由は2つある。
1つ目の理由は~である。
例えば~のような例があり、~だからだ。
2つ目の理由は~だ。
例えば~のようなケースがよく見受けられる。
それは~だからなのである。
以上の理由から、私は~と考える。
ここにエネルギーをうまく注入できれば、かなりの高得点になります。
採点者はなぜ受験生がその結論を出したのかについて、関心を持っています。
採点のキモだからです。
その説明が的を得ていれば、課題文やグラフの読み取りができているとい理解の仕方をします。
高尚な結論などはいりません。
自分が答えられる範囲で、考えた結果をうまく反映させください。
それで十分なのです。
これから受験する人は、ぜひこの書き方を練習してから会場へ向かうこと。
自分の中に1つの型ができているだけで、とても心理的に楽になれるのです。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。