【小論文】1つの段落には1つのメッセージを基本単位として書き込む

学び

段落を意識する

みなさん、こんにちは。

小論文指導歴20年の元高校国語科教師、すい喬です。

小論文を書く時、段落の話がよく出ますね。

しかし実は段落って何? という人も多いのです。

一番の基礎の基礎。

最初に1マス空けて書き出すということさえ、知らない受験生もいます。

信じられますか。

でもこれは嘘じゃありません。

きっと緊張状態がピークなんでしょう。

とにかく原稿用紙の頭からなんにも考えずに書き始める。

そのうちに段落なんてどこかに吹き飛んでいってしまうのです。

これではとても合格なんて、夢のまた夢。

慌てなくていいですから、まず段落意識をきちんと持つことから始めましょう。

常日頃の練習が大切ですよ。

段落を意識することで、文章はとてもわかりやすいものになります。

つまり採点者からみれば、高い評価をつけやすいということになるのです。

大切なポイントを書きます。

1つの段落には1つのメッセージを書くこと。

ribkhan / Pixabay

これが基本です。

メッセージというと、わかりにくいかもしれません。

要するに言いたいことです。

少子高齢化についてあなたの考えを述べよという問題があったとしましょう。

これは現在、喫緊の大きなテーマです。

言いたいことがみつかりましたか。

メッセージが自分自身の中にありますか。

ただ日本は今や少子高齢化社会だといってみても、なんの説得力もありません。

少子高齢化とは何のことか。
どのような問題があるのか。
なぜ少子高齢化は国力を弱めるのか。
自分はどうしていきたいのか。
これから私たちにできることは何か。

小さな目次

今、思いつくままに5つだけメッセージをあげてみました。

どうでしょうか。

これだけで800字くらいはすぐに書けますね。

メッセージはもっとあってもいいです。

1つの段落に200字づつあてはめてたら1000字になります。

どうですか。

ところどころ短くして、800字にまとめることもできます。

小さな目次も見えてくるじゃありませんか。

それぞれの内容に対してていねいに回答をしていけば、それだけで十分に小論文として通用するのです。

段落の中に主張と説得理由をきちんと入れましょう。

どうしても難しい時は「たとえば」で例をあげます。

これは大変に便利な言葉で、文章を伸ばす作用を持っています。

ただしあまり使いすぎないこと。

文が冗漫になりやすいです。

使い方には十分な配慮が必要です。

1つの段落に言いたいことを1つずつ順番に入れていってください。

主張があったらその後データを提供し論拠でまとめます。

この繰り返しを数回すれば、段落ができるというわけです。

少子高齢化社会の問題点がすぐに見えてきましたか。

その結果、日本はどのような社会になりますか。

国力が弱体化していくことの先には何があるのでしょうか。

自分の中にある程度のデータを持っている必要がありますね。

ここだけは簡単には教えられません。

自分で掴むしかないのです。

どうしてもダメな時は自分の周囲を見回してください。

さらに大切なことは、段落ごとに目標時間を設定してください。

1段落何分で書けますか。

この積み重ねが小論文なのです。

練習して時間を計ってみてください。

どこに一番時間がかかりますか。

データの提示ですか。

それとも説得の論拠を示す部分ですか。

主張だけはNG

言いたいことを書くということはわかったものの、どうしても自分のメッセージを先行させてしまう人がいます。

これでは採点者を納得させることができません。

なるほど、その通りだと思わせなければ、高い評価は得られないのです。

どうしてもデータと論拠がいります。

自分の周囲に少子高齢化の問題はありませんか。

家族、親戚のことから掘り起こしてください。

介護で苦しんでいる人はいませんか。

介護保険を利用している人の様子はどうですか。

高齢者施設を訪問したことはないですか。

その時の記憶を思い出してください。

あるいは自分の両親、さらにいえば自分自身の将来像をイメージすれば、もっと内容を飛躍させることができます。

小さなことでいいのです。

自分が寝たきりになった時のことを想像してください。

年金だけで生きて行けなくなった時、あなたはどうしますか。

そういう社会が訪れるという危機感が文章を生き生きとさせるのです。

一般論などいくら書いても意味がありません。

何か感じたことがあれば、それが大きなメッセージの材料になります。

1つの段落にたくさんの内容を書く必要はありません。

その段落の主張をつねに把握しながらまとめてください。

小見出しをつけるくらいの気持ちで書き進めていけば、それほど迷わないで結論に行き着けるはずです。

キーワードの選択

小見出しをつけられるというのは、頭の中が整理されている証拠です。

何がなんだかわからずに書き殴っている人の文章には見出しなんかありません。

ただその時に思ったことを、書いているだけです。

それではいつまでたっても上達しません。

どうしても小見出しがつけられない時はキーワードです。

小さなキーワードを4~5つくらい思い浮かべてください。

それをメッセージの中に入れていくのです。

平均寿命、介護保険、年金、定年、2000万円、健康寿命、生きがい、外国人労働者誘致
寝たきり、団塊の世代 人生100年時代、趣味、福祉予算、幼保無償化。

いくらでも出てくるじゃありませんか。

この中のいくつか自分で書けそうなテーマを、段落の中に入れていけばいいのです。

たくさん書き込む必要はありません。

1つの段落に1つのメッセージという基本を守ってください。

あれもこれも書いていると、完全に方向が見えなくなります。

アウトプットの形を間違えてはいけません。

時間を意識しましょう。

考えながら文章を書くというより、最初に着地点を見据え、そこまでいくにはどの段落にどのキーワードを割り当てていけばいいのかを考えてください。

そうすれば理解しやすい、風通しのいい文になります。

書くのにそれほどの時間はかかりません。

最後に小見出しを抜くことを忘れないでください。

もちろん、頭の中に置いて書いたのなら、なんの問題もありません。

どうしても最初に見出しをつけなければ書けないというのなら、仕方がありません。

原稿用紙の欄外に4つか5つぐらい書いて、その路線をひたすら追いかけてください。

最後に消してしまえば、なにもなかったのと同じになります。

それでもどうしても字数が足りない時だけ、「たとえば~」を使うこと。

それ以外のところではやめた方が無難です。

それこそ、結論がますます見えなくなってしまいます。

十分に注意してください。

この方法は初心者にとって大変に有効です。

段落の意識が全くなかった時の文章と、きちんとイメージして書いたものとは、全く違います。

馴れてくれば、自然とそれができるようになるのです。

1段落3~5分。

これを4つ~6つぐらい続ければ800字まではすぐです。

どんなにスムーズに書けたとしても、30分ぐらいはかかってしまいます。

その前にテーマを考える時間が必要ですからね。

60分くらいはすぐに終わってしまいます。

実際の試験はあっけないもの。

書き終わったら、誤字と「てにをは」の間違いをしっかりチェックしましょう。

その日のために、先生に添削をしてもらいましょう。

それもかなわない時は、大きな声を出して読んでみます。

文脈が乱れていれば、すぐにわかるはずです。

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なんとなく文が気持ち悪いのです。

この感覚が大切です。

さらっと内容が頭の中で理解できるように書くのです。

そのための段落です。

騙されたと思って繰り返しトライしてみてください。

あなたの合格の吉報をお待ちしています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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