ペットボトル
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回は水の話です。
まさか我が家でこんなにペットボトルを消費するようになるとは思ってもみませんでした。
食事のたびに2リットルのボトルがテーブルの上にデンとのってます。
以前は水を飲むということはあまりありませんでした。
だいたい食事の後にお茶を飲んで終わりでしたかね。
薬などを飲む時には水道の蛇口をひねってました。
確かに塩素の匂いが少しはしたような気はします。
しかしそんなことは気にせずに飲んでました。
ヨーロッパにはじめて行った時、毎日ペットボトルを駅で買いました。
隋分もったいなあと思ったもんです。
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しかしなくてはどうにもなりません。
硬水と呼ばれる水は口当たりがあまりよくありません。
飲用には適さないのです。
150円前後でしたかね。
必ず1本は携帯したものです。
日本に戻ってきて、やれやれ水道の水はただでいいなと思ったのをよく覚えています。
あれから何年の月日が過ぎたのでしょう。
今ではコンビニで水を買う人の姿が珍しいものではなくなりました。
宅配で6本入りの段ボール箱が届く家も多いようです。
暑い日などは、誰も抵抗なくペットボトルの水を飲んでいます。
まさか我が家がそんな風景になるとは想像もしていませんでした。
最初は本当に贅沢だと思い、自分だけは水道水を飲んでいました。
そのうち、おいしいからこっちにしたらと皆が言うようになったのです。
こっちの水は甘いぞという誘いですかね。
最近ではぼくも飲むようになりました。
確かにうまい。
水と安全はタダ
日本は瑞穂の国だと昔から言われてきました。
雨がたくさん降ります。
水だけは豊富でした。
地中深く掘れば必ず地下水脈にたどりつきます。
おばあちゃんの家には井戸がありました。
いつも冷たくておいしかったです。
最近では井戸を掘るという風景も見られませんね。
この国も劇的にかわりました。
たった一杯の水です。
しかし1つの風景の裏側にはたくさんの現実があります。
ウォーターサーバーを置くという構図もあるようですね。
通販のジャパネットも盛んに宣伝しています。
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中国の学校へ行った時、教室の隅にサーバーが置いてあったのをよく覚えています。
中国も水道水は飲めないのでしょう。
タップウォーターという表現を聞いたことがありますか。
蛇口から出てくる水という意味です。
安心して飲める国はそう多くないのです。
アフリカへ行った時もJICA水道というのを見ました。
1月わずかのお金を払えば、安全な水が飲めるというシステムです。
しかしその金額が払えずに、赤痢などに罹って亡くなる子供たちも多いのです。
水を汲んで運ぶというのは想像を絶する重労働です。
SDGsの目標の中にも安全な水という項目があります。
2030年までの達成が目標です。
水は命の元なのです。
マレーシアとシンガポール
ジョホールバルという地名をご存知ですか。
マレーシアの一番端にある都市です。
ここは隣国シンガポールとの接点でもあるのです。
シンガポールくらい不思議な国はありませんね。
淡路島ぐらいの広さの土地しかないのに、世界の経済を動かしているのです。
噂には聞いたことがあるはずです。
ガムを噛んでいても罰せられる国なのです。
街並みはとても美しいです。
インド人、中国人、マレー人などがみな高層マンションに混ざって住んでいます。
これも国の方針なのです。
医療やインターネットに対する考え方も実にユニークで面白いです。
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おそらく世界中でもっともインターネットの普及に力を注いでいる国の1つではないでしょうか。
情報がお金になることを熟知している国でもあります。
しかしその大国にも弱点があるのです。
それが水です。
ほとんどをマレーシアから買っているのです。
ジョホールバル水道と呼ばれているのがそれです。
長さ約57キロメートル、最小幅1100メートルの水道です。
シンガポールはかつてマレーシアの一部でした。
1965年に分離独立したのです。
水の供給契約は両国が分離した際、両政府によって約束されました。
国境をバスで通過する時、海の中に大きなパイプが通っているのを目にします。
これがまさにシンガポールの生命線なのです。
近年、その水道代を大幅に値上げするとマレーシアが通告したことがありました。
これにはシンガポールも黙っていられません。
背後にはさまざまな問題があります。
もちろん政治的な駆け引きの要素も強いのです。
貯水池
シンガポールでは島の半分の地区が貯水池を持っていません。
新たに貯水池を作るスペースも残っていないのです。
政府はいつもマレーシアとの関係を気遣っています。
契約が切れた時、水の供給が断たれるのではないかと心配なのです。
というのも経済の成長でマレーシア自身、水の消費が拡大しているからです。
仕方がないので、シンガポールも海の水を飲み水に変えるための研究を始めました。
しかしプラント建設には莫大な費用がかかります。
だからマレーシアの顔色をいつも見ていなくてはなりません。
マレーシアがシンガポールに水を配給する協定は、1961年に結ばれました。
99年間分の契約です。
これによって現在ジョーホール州はシンガポールに毎日、9億1千万リットルの未処理水を売り、1億3千万リットルの上水を買い戻しています。
いくらでも雨の降る日本とは全く事情が違うのです。
水を隣国から買いながら、シンガポールは命をつないでいます。
これほどに国情というものは違うのです。
つい最近和歌山県でも水道管の大きな事故がありましたね。
紀の川に架かる水管橋の一部が崩れ落ち、市北部約6万世帯(約13万8000人)が断水してしまったのです。
大きな水道管を橋にくっつけるようにしていました。
アーチ部分と水道管をつなぐつり具部分が腐食し、外れているところがあったとのことです。
水がないというのはその現場にいる人にしかわからない苦しみを与えます。
断水した地区のペットボトルは全てなくなり、1週間近く不便な生活を強いられました。
これが水というインフラの現実です。
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同じ県の中でさえ、こうなるのです。
シンガポールがどれほど隣国マレーシアに気を使っているのかがわかりますね。
安全については言うまでもありません。
中国の台頭は今や、日本海から台湾海域、フィリピン、インドネシアまで広域に渡って深刻な影響を与えています。
今後、どうなるのか。
水と安全はタダといっていた時代が懐かしいです。
日々の動向から目を離すことができなくなりました。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。