授業では扱わない
みなさん、こんにちは。
小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回は小論文への第1ステップについて語ります。
文章を書くのはとにかく難事業です。
まずそのことをきちんと把握しておいてください。
しかしこれほどに勉強しがいのあることはありません。
書き終わった時の気分は山の頂上にたどり着いた時のあの喜びと同じです。
やったという感じでしょうかね。
下界を眺めた時の気分の良さは筆舌に尽くしがたいものです。
しかしいつまでもそこにとどまってはいられません。
時間が来たら下山しなければならないのです。
その繰り返しですね。
小論文もこれと全く同じです。
書かなければならないテーマはいくらでもあります。
大雑把に言ってしまえば、自分と世界に関わることの全てです。
その中でも人間とは何かが最大のポイントでしょうか。
国家、民族、宗教、社会、言葉、教育、環境、人権、時間、アイデンティティ。
いくらでも出てきます。
この重点ポイントをいくつか重ねると、小論文のタイトルが決まるというワケです。
しかし日本の学校ではあまり論文を書く授業をしていません。
確かに「国語表現」の授業が高校にはあります。
しかし厳密に言うと、論文だけに特化したものではありません。
もっと表現行為全体を網羅したものです。
口語での音声表現や日常的な文章作成までを含みます。
論理的な文章
論理的な思考や表現力を養うという意味での授業は実質的に行っていないのです。
なぜかといえば、大変に難しいからです。
先生も文化や社会の構造きちんと把握していなければ、講座を開けません。
高い識見が要求されるからです。
評価をする能力も必要です。
もちろん、事情は生徒も同じ。
ある程度まで国語力を身につけた段階からでなければ始められません。
しかし現実はそう簡単にはいかないのです。
さあ、書いてみましょうといっても、どうやって書き出したらいいのかわからないというケースが圧倒的です。
今までやったことがないので、基礎から教えてくださいということになりますね。
わかりやすい文章をまとめていけばいいと言っても、なにがわかりやすいのかもよくわかっていないのです。
今まで書くチャンスがなかったのかもしれません。
作文は隋分とやってきたはずなのです。
最近は提出物を出さないと、成績が下がってしまうということを生徒はよく知っています。
だからとにかく書いて提出します。
感想文も作文もそうです。
読書感想文などにいたっては、ただ決められた枚数だけを埋めることしか考えていないものも多いのです。
これでは小論文を書きなさいといわれても、お手上げです。
しかしそんなことを言われても仕方がありません。
とにかく登ってみましょう。
最初は低い山から。
それでも頂上に上るといい気持ちです。
この繰り返しです。
スキルアップ
少しずつ、スキルがあがります。
けっして無駄にはなりません。
大切だということはわかった。
ただしすぐにやる気が出てこないという人も多いでしょうね。
人間は追い詰められないとやらないものです。
目標が見えなければ、勉強しようという気持ちにはなりません。
特に小論文なんて面倒臭そうだし、後に回したいと思うのが普通です。
第1に基本的な書き方のルールを何も知らない。
これが億劫になる最大の理由ですね。
しかしなんとかそこを乗り越えてください。
表現することは基本的に楽しいことなのです。
その時の気分が少しでもわかれば、最初の関門を越えることができます。
このサイトにも過去問をたくさん載せてあります。
それを参考にするのもいいでしょう。
問題集の中から拾い出して1つだけやってみるという方法もあります。
たった1問だけでいいのです。
まずチャレンジしてみてください。
そこが突破口になると思います。
文章を書くのはスポーツのトレーニングに似ています。
あるいは楽器の演奏と同じです。
毎日やることが大切なのです。
少しずつ言葉の量が変化していきます。
語彙もかわります。
表現力もつきます。
ムダな形容詞や副詞を書かなくなります。
1文が短くなるのです。
その繰り返しがわかりやすい段落構成を自然に生んでいきます。
小見出しとメモ
頭の中に小見出しがたくさん浮かぶのです。
それに応じて内容がきちんと段落で切れていきます。
小論文はつねに自分の問題として考えることが大切です。
そんなことは自分とは無縁だという態度では、読んでいる人も面白くありません。
必ず読者が身を乗り出してきてくれる文章なのかどうか。
それがとても大切です。
そのためには何を書けばいいのか。
どうまとめればいいのか。
常に気になりますよね。
具体的な例をどう出すのかというのも大変に難しいです。
かなりのセンスが必要です。
ただダラダラと書き連ねた文を読まされたら、どう思いますか。
すごく迷惑ですよね。
そのためにはメモが必要です。
全体の流れを最初にイメージするのです。
よくあるのが具体的な体験談です。
字数をすごく使います。
なんのためにこの話を書いているのか。
その冷静な判断力がものすごく必要になります。
頭の中にどこか冷えた部分を作っておきましょう。
自分の書いた文章を冷静に観察するのです。
書き足りないところ、その反対にくどいところ、説明不足な箇所。
繰り返してやる練習が大切です。
何度も山を登っているうちに、天候の予測やルートの見方もわかってきますよね。
あれとまったく同じです。
スキルがついてくれば、自然に書けるようになります。
メモを取りながら、ポイントがおさられるようになるからです。
そのレベルにまで到達してください。
内容の深まりは自然についてきます。
安心してください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。