【表現のヒント】デッサンが確かで余白のある文章を簡潔にまとめる

学び

簡潔な表現

みなさん、こんにちは。

小論文添削指導歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回は表現の仕方について、ヒントを書きます。

小論文は800~1200字前後で書くのが普通です。

生徒の文章を読んでいると、妙にまわりくどい文が多いのです。

論理性を前面に出そうとする気持ちはとてもよくわかります。

少しでも穴のない欠陥の少ない文章を書きたいということなのでしょう。

しかし言い方は悪いですが、少しお腹にもたれるのです。

脂分の多い料理に似ています。

こってりしすぎているという印象でしょうか。

日本食を思い出してください。

栄養価の面でいったら、こんにゃくという食材は大きな意味を持ちません。

しかし消化の側面からいえば、これくらい有効な食品はないのです。

それと同様にお豆腐を考えてみてください。

栄養価がふんだんにあります。

畑の肉と言われる大豆が原料です。

豊富なタンパク質に裏打ちされています。

しかし全体に対する重みはどうでしょうか。

実に軽やかな食品ですね。

さらにいえば、相手の形にあわせて自在に調理することもできます。

自らの自己主張を限りなく抑えているものの、けっして存在感がないワケではありません。

むしろ食材としての重要性はバッチリです。

この2つを見習ってください。

まさにこんにゃくとお豆腐の存在こそが上手な文章の極意なのです。

簡潔にしながら、表現の脂身を抜く。

これが実践できれば、どのような内容の文章でもうまくまとめることができます。

リズム

言葉にはリズムが大切です。

間といってもいいかもしれません。

ブレスの感覚が自然に感じ取れるもの。

そうした文章が最もいいのです。

読んでいるうちに情景が目に浮かぶ。

論点がはっきり見える。

そのような文を書くことを常に心にとめてください。

どうしたらそういう文章が書けるようになるのか。

基本はすぐれた他者の表現を読むことです。

できればそのリズムを身体の中に取り込む。

暗記するくらいに文章の間が自分のものになれば、必ず読みやすいものになります。

geralt / Pixabay

そのためには無駄な表現を絶対に使ってはいけません。

これをしたらNGだというパターンはいくつも記事に書きました。

しかしそれでも出来上がってくる論文にはあまりセンスが感じられません。

なぜなのでしょう。

本当に大切なリズムが自分の身体の中に入っていないのです。

そのたびに思い出して実践するのとはワケが違います。

自然にできなくてはダメなのです。

勝手に手が動くところまでいかないといけません。

勿論、推敲をしなくていいとは言ってないです。

しかしできれば、文章をなおさずに自然に完成できるようになりたいものです

日本画

みなさんは日本画をみたことがありますか。

油絵とは全く違いますね。

何が1番目につくのか。

それは余白です。

日本画はすべての余白を絵具で埋めるという思想を根本的に持っていません。

何も塗らずにそのまま放置してもかまわないのです。

遠近法をつかわない描き方も可能です。

論理性だけで突き詰める絵のテクニックとは明らかに違うのです。

日本語で書く論文もこれとまったく同じです。

小論文は基本的に論理で押し通す文です。

絵でいえば、油絵に近いものを連想してください。

しかしそれだけでは読んでいる人が疲れてしまいます。

特に日本人にはそうした傾向が強いようです。

論理性を飛ばしてしまえというのではありません。

全てバランスの問題なのです。

わずか800~1200字の中に自分の主張を入れるのが小論文です。

いい加減な文章で成立するワケがありません。

「思う」「感じる」「考える」を使うなという指示も以前、トピックスとして取り上げました。

「である調」一択も述べました。

これらの戦略を大いに使ってください。

さらにムダな形容詞、副詞を多用しないことです。

書きすぎればくどくなるだけです。

脂身を少なくしながら、余白を生かす。

抽象的ですが、まさにこれが文章を書く時のヒミツなのです。

遊びが必要

今回は非常に難しいテクニックについて書いています。

だれにでもできることではありません。

ある程度までいったら、ここに書いたことを是非試みてください。

必ず余裕のある、リズム感に富んだ文章になるはずです。

いい評論やエッセイをたくさん読んでください。

できたら書き写してみる。

新聞のコラムなどはそれを写して書く冊子まで出版されています。

教科書に載っている作品は1級の資料です。

さらに新聞の記事も参考になります。

熟読してください。

他人の良質な表現を読まなけば、絶対に文章は上達しません。

これだけははっきり言っておきます。

自動車のハンドルを思い出してみてください。

ブレーキも同様です。

ハンドルを切ったからといって、車がすぐに曲がるワケではありません。

わずかな遊びの部分がないと、ブレーキをかけた瞬間、車は急停止をしようとして、かえって危険なのです。

文章も全く同じです。

geralt / Pixabay

ゆとりとリズムが読みやすい文を生むのです。

そこまでいくのは大変です。

いろいろな知識を身につけないと、いつも直球勝負ばかりになってしまいます。

スローボールも時には必要です。

変化球もあった方がより効果的なのです。

自分の文体をつくりあげること。

同じ表現を何度も繰り返してはいけません。

いつも新鮮な切り口を用意することです。

言うのは簡単です。

しかしやってみると、これくらい難しい作業はありません。

とにかく書き始めてください。

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つねに振り返り反省をし、次に伸ばす。

この繰り返しです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

小論文の書き方極意!思う感じる考えるを封印しよう
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