少子高齢化の場合
みなさん、こんにちは。
小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回は自分の考えをどのようにして小論文の中に入れていくのかについて考えます。
これは難しいです。
簡単に考えないでください。
少子高齢化について例をあげましょう。
出生率がどんどん下がっていることはご承知の通りです。
人口がますます減り、65歳以上の人がついに4分の1を越えました。
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なぜこういう現象が起こるのか、考えたことがありますか。
いくつかの原因が考えられますね。
1番に考えられるのは医学の進歩です。
しかしそれ以上に大切なことは出生率が低下したこと。
3人以上子供のいる家があなたの周囲にどれくらいありますか。
あなたの家はどうですか。
どうして子供を産まなくなったのでしょうか。
こういう問題が出てきたら、どこから考え始めるのか。
それはあなたの周囲を見回すことです。
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今回のタイトルに書きました。
ヒントは「直近」です。
わかりますか。
自分のまわりに同じ問題はないか。
どこに論点の源があるのか。
それはなぜかをフルに頭を回転させて考えるのです。
そうすると、日本が現在おかれている立場がはっきり見えてきます。
自分が座標軸になるワケです。
周囲を観察する
出生率が低下したと書きました。
なぜでしょう。
かつて子供は労働力でした。
しかしそれ以上に保険の役割も果たしていたのです。
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たくさん産めば、その中の1人がもしかすると老後の生活を支えてくれたかもしれないのです。
あるいは皆が協力して、老後の資金を少しづつ出し合ってくれる可能性もありました。
つまり介護、年金の費用を、多くの子供たちが賄ってくれるかもしれなかったのです。
日本でも7~8人兄弟があたりまえという時代がありました。
それが急速にしぼんだ理由はなんでしょうか。
その1つに女性の権利が認められるようになったということがあります。
高学歴化の波が押し寄せてきたのです。
女性の地位は格段に向上しました。
それにあわせて晩婚化、少子化が一気に進みました。
同時に1度退職すると、同じ条件で採用してくれる会社はまだそれほど多くありません。
非正規のパートに出るということになります。
社会的に労働市場の制度が完成していません。
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子育てをしながら働くことの難しさが、少子化の底流にはあります。
では少子高齢化はどんな問題を生むと考えられますか。
第1に労働力の不足です。
経済成長率が目に見えて落ちます。
国のGDPが下がるという悪循環です。
これが今の日本です。
世界の中で優位を誇っていた面影がウソのように消えつつあるのです。
外から日本を見てみれば
外国に出かけて日本を眺めてみれば、そのことがよくわかります。
日本発信のニュースがほとんどないのです。
以前ならば経済を先頭に様々な日本発のニュースが世界を飛び回りました。
しかし今は中国、東南アジア発がほとんど。
それにアメリカのニュースが重なるというレベルでしょう。
日本が話題になるのはアニメや音楽などに代表されるサブカルチャーだけです。
かつての勢いは自動車にも電気メーカーにもありません。
当然税収も減ります。
増税すれば、再びGDPが下がる。
福祉予算をどこからか捻出しなければなりません。
さらにコロナ禍のような100年に1度といった災難で緊急の予算を組めば赤字国債を発行する以外に原資の調達手段がないのです。
地方へ目を向ければ、農業生産人口は減り、過疎が進む一方です。
駅前はシャッター通りと化し、人の姿もまばらになってしまいました。
どこに活力を見出していけばいいのか。
難問ばかりです。
ここまでざっと少子高齢化というたった1つのキーワードから周囲を見回してみました。
あなたが置かれている現実がこの中に含みこまれていましたか。
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あなたに見えた現実はありますか。
問題を直近で見つけるというのはそういうことです。
自分を基準にして、家族の状況、親戚の様子、父親母親の関係を見てください。
具体的な仕事の内容。
経済的な問題。
自分の置かれている現状はどのようなものですか。
あなたは将来に対する展望を具体的に語れますか。
小論文の問題は身近にある
ここに示したようなことは、あなたから遠いところにあるのではありません。
全て目の前に並んでいる現実です。
そこから目を離さないでください。
そんなの誰かに任せておけばなんとかなるよというレベルではもうありません。
かつてのように右肩上がりで経済が成長していった時代ではないのです。
新型コロナウィルスの影響でここ数カ月の経済指標は25%以上も下がりました。
非正規の雇い止めが進んでいます。
さらに飲食、サービス業などを中心に売り上げの落ち込みは惨憺たるものがあります。
これらを全て「少子高齢化」の問題と絡められますか。
そこまで見えているならば、どういう問題が出ても怖くはありません。
とにかく自分を座標軸にして、現実を冷静にみてください。
そうすれば何も怖れることはありません。
どこから何をしていけばいいのか。
それが見えてきます。
結論を具体的に書く必要はありません。
論文です。
どうしても抽象的になるのはやむを得ません。
そのことは採点者もよくわかっています。
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一般化できるだけの能力があるかどうかということも、ここでは大切な要素になります。
今回は1番身近なテーマを考えました。
あなたの家の周囲を詳細に見てください。
そこに全ての問題があるのです。
ポイントは遠い世界に転がっていたという話ではありません。
小論文のテーマは全てあなたの近くにあります。
そこから取材したことの強さを忘れてはいけません。
実感があればあるほど、文章に力がこもります。
それがすぐに採点者に繋がるのです。
まず自分の周囲に取材すること。
それが大切なのです。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。