紀貫之

【黒鳥のもと・土佐日記】長い船旅の間には歌人の横顔が色濃く【紀貫之】

紀貫之の『土佐日記』にはさまざまな段落があります。今回はよく知られた「黒鳥のもと」をとりあげましょう。55日間の旅の間にはいろいろなことがありました。天気のいい日は比較的楽に船が進んでいったのです。しかし海賊は怖かったと思われますね。

【和歌の効用・俊頼髄脳】紀貫之が馬に乗り蟻通明神の御前を通った時に

和歌の効用について書かれた『俊頼髄脳』の一節を読みます。歌論書として優れた内容を多く孕んでいる本です。紀貫之がたまたま蟻通明神の御前を馬で通った時、何が起こったのか。そこから歌の持つ効用を考えようという評論です。

【やまとうた・和歌】言の葉の源として人々の心を和ませる不思議

905年に成立したといわれる古今和歌集には2つの序文がついています。真名序と仮名序です。土佐日記の作者、紀貫之が書いたと言われる仮名序は特に有名です。言葉が歌になる時、人々の心がおおらかにのびのびしたものになることを示しているのです。

【土佐日記・紀貫之】仮名で書きたい一心から女だと名乗った男の日記

古今集を編纂した紀貫之の日記を読みましょう。当時の男性貴族はみな漢字で日記をつけました。しかし彼はなんとしても柔らかな仮名を使ってみたかったのです。そこで自分が女性だという仮託のもとに、全てひらがなで日記を著しました。ユニークですね。

【鶯宿梅・大鏡】みやびを求めるあまり暴走した若き日の失敗談

『大鏡』の中でも有名な鶯宿梅の一節です。昔は清涼殿の脇に梅の木を植えました。ところが枯れてしまったので、適当な木を探したのです。それがなんと紀貫之の娘の家にありました。天皇の命令とあらば、反対はできません。彼女はさてどうしたのでしょうか

【歌詠みの系譜】古本説話集9話に紫式部と伊勢大輔の魂の交感を見た

古本説話集第9話に紫式部と伊勢大輔との間に行われた魂の交感の様子が出てきます。歌を詠むということは歌人にとって命と引き換えにするだけの厳しい作業でした。その重責を短時間で見事にやってのけた話の中に、歌人の系譜が見えてきます。みごとな話です。