「枕草子28段・にくきもの」観察力の鋭さと独自の感受性が反映された段

枕草子28段には清少納言が嫌いだったものが、取り上げられています。彼女の鋭い視線は、人間の持ついやらしさを見事に掬い上げています。特に複雑な宮中の中で生きていくことり難しさを感じさせるものが多いのです。

「本居宣長・同じ人の説」真面目に学問に取り組めば学説も変化するのは当然

学問の研究というものは真面目にやればやるほど、自分の考えが次々と変化していく事実につきあたるものです。それを正しくないということはできません。自分に正直になればなるほど、学説の変化を知ることになるのです。

「枕草子・大納言殿参り給ひて」定子サロンの雰囲気が色濃くにじむ章段

枕草子にはさまざまな章段があります。今回とりあげるら日記的な段落には、当時の定子サロンの様子が実によくわかります。衰亡していく一族の悲しみがみてとれます。清少納言の観察力の鋭さには舌を巻きますね。

「無名抄・腰の句の末の手文字」名声に甘んじていい気になっていると

鴨長明の歌論書『無名抄』のなかにある面白い話です。和歌の腰の句に「て」の文字を入れると、それだけで歌が台無しになるという話を土台にして、当時の歌人がやり取りをするというストーリーです。ご一読ください。

「5分後に意外な結末」日常の中で起こったドラマがちょっと快感になる日

短い小説というのはよくありますが、すべての話が5分で読める本というのはユニークだと思いました。生徒が好んで借りていくのだと図書の先生が教えてくれたのです。こわごわと中を覗いてみました。

【国語力低迷の危機】読書はタイパが悪すぎる「本なんか読まなくたって」

本を一月に一冊も読まない人の数が60%を超えました。はじめてです。その背景にはネットの普及があります。スマホでゲームをする時間はあっても、本は読まないという現実は何を意味しているのでしょうか。

【をかしげなる猫・更級日記】古典文学に描かれた猫の生きざまはしたたか

『更級日記』は平安時代を代表する日記文学です。その中に出てくる猫の話をここでは紹介しましょう。夢に出てくる話の中に猫が登場します。その面影をしのぶたびに、猫がよりかわいらしくなっていったのです。

【安元の大火・方丈記】都の大半が燃え焼死者数千人を数えた未曽有の災害

都の大半が燃え、焼死者数千人を出した火事が、安元の大火です。鴨長明はその様子を子細に書き留めています。平家が滅亡していく時代の様子を無常観とともに描いています。

【水魚の交わり】劉備玄徳は漢室再興の志を参謀である諸葛孔明に委ねた

水魚の交わりという言葉をご存知でしょうか。本当に親密な仲のことをいいます。劉備玄徳は 漢室再興の 志を参謀である諸葛孔明を得たことで大きく前進させました。三国志は実に楽しい本です。

【唐土の后の兄・閑居友】放浪をやめなかった兄が目指した救済の形とは

中国で聞いた話だそうです。王の后の兄が、みすぼらしい恰好をして、諸国を遍歴しました。何をいっても帰ってきません。そこで后は貧しい恰好をしている人に対して、やさしくしてあげるようにという宣旨を出します。その結果、生活困窮者が助かったというのです。

【宮内卿の君・増鏡】千五百番歌合に呼ばれて名を連ねた栄誉は夢の続きか

歌合というのをご存知ですか。左右に分かれて和歌を詠みあい、優劣を判定する遊戯です。かつて1500首の歌を判定した歌合が後鳥羽院によって開かれたことがありました。それに呼ばれて若手歌人の緊張はいかばかりだったでしょうか。

【足摺岬・とはずがたり】補陀落渡海という水葬の風習がこの地名の由来だった

足摺岬という地名の由来を書き留めた「とはずがたり」の一説を読みます。学校では滅多に取り上げられることはありません。昔の人の仏に対する信仰心の篤さがよくわかります。補陀落渡海という風習とあわせて理解してください。

【苦しかったときの話をしようか・森岡毅】就活のための断トツ本はこれ!

森岡毅さんの本はたくさんの人に読まれています。彼がどれたけの実力をもっているかをよく知っているからでしょう。口にしたことを必ず実現させる。USJをV字回復したこともよく知られていますね。今回は彼の代表作を読みます。

【ようこそ、ヒュナム洞書店へ】ベストセラーを置かない独立店を愛した人々は

『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』は読む価値のある本です。読後感が非常にさわやかなのです。登場人物たちは、みな苦しんでいます。自分がどういう形でこの世に存在すればいいのかが、よくわからないのです。しかしみんな必死です。

【このついで・堤中納言物語】姫君のところへ通う男に心の変化が【子は鎹】

『堤中納言物語』から「このついで」の段を読みます。子供が男女の仲を復活させる大きな役割を果たしたという話なのです。最後に詠んだ歌が、男の心をつなぎ留めました。歌にはそれだけの力があるということなのでしょう。味読したください。  

【更級日記】神秘的な夜の山の美しさと少女の夢見がちな心の風景がみごと

『更級日記』の足柄山を読みましょう。菅原孝標女が父親と一緒に京都に戻ることになりました。 その時の喜びと戸惑いを実に見事に描写しています。彼女の持つ観察力の鋭さが文章の中ににじみ出ています。味わってみてください。