「落窪物語」雨が降った日、少将は会いに来てくれたのか「いじめられた姫」

『落窪物語』の中でも特に有名な箇所です。いよいよ三日目がやってきたというのに、あいにくの大雨。少将は姫のところへ出かけるのをためらいます。この後、どのような展開が待っているのでしょうか。

「撰集抄・範円上人の出家」妻の病死に衝撃を受け捨てがたい世を離れた話

高僧が出家するまでの話をまとめたものです。妻の病死が彼の人生を大きくかえました。他の女性に移っていた愛情がもとで、妻を訪ねることもなくなっていたのです。自らの行動を反省した故の出家でした。

蜻蛉日記「十七日、雨のどことなくふるに」夢判断ははたして現実になったのか

夫のやってこない不安な日常をどのように過ごせばいいのか。さまざまな夢をみたという人の話をきくにつけ、その内容が子供の出世に結び付くという淡い期待を持つ。道綱の母の書いた日記『蜻蛉日記』の中の一章です。

「上田秋成・雨月物語」夢応の鯉魚は殺生という人間の罪業を描いたという説

雨月物語は特異なストーリーに満ちています。いつの間にか不思議な世界に引きずり込まれてストーリーが展開していきます。この「夢応の鯉魚」もその中の1つです。ぜひ作家のメッセージを味わってください。

学才への自負が透けて見える紫式部の日記「一という字も読めません」

紫式部日記は彼女が中宮彰子のそばに出仕したときの様子を描いたものです。日常の風景が実にみごとに示されています。それと同時に彼女の心の中がよく見えます。

「無名抄」和泉式部と赤染衛門の歌はどっちが優れているのかという段

鴨長明の書いた『無名抄』の中から有名な段を抜きました。当時の歌人として有名だった赤染衛門と和泉式部はどちらの歌の方がよかったのかという話です。紫式部の批評なども出てきます。

「奥の細道」福井から敦賀へ「隠者・等栽の風流な暮らし方に共感」

松尾芭蕉の『奥の細道』を読みます。いよいよ最後の章に近くなりました。福井から敦賀へ抜ける道です。途中で旧知の人の家に泊めてもらいます。その時の様子をお読みください。

『ハヤブサ消防団』と『彼は早稲田で死んだ』の2冊を読んで考えたこと

暑い夏の日々を過ごすには、読書が一番いいような気がします。それにしても今年は暑いです。地球は干上がってしまうのではないでしょうか。今回の読書はやや特殊なものだったかもしれません。ご一読ください。

「養老孟司・バカの壁」わかるというのはそれほど単純な話ではない

日本人の精神構造を考えてみた時、養老孟司氏の『バカの壁」は大変示唆に富んでいます。日本人はたいていのことはわかると考えがちです。本当に理解するということの奥まで思考するということがありません。一神教の国の人々とは本質的な違いがあります。

「蜻蛉日記」藤原氏本流の夫との結婚生活で味わったとまどいと苦悩の21年間

蜻蛉日記には複雑な女性の心がみごとに描かれています。自分の夫が昇進するのもそれほど嬉しくはありません。仕事が忙しくなり、かまってもらえなくなるのがイヤなのです。そのため、ちょっとした歌の中に、その気持ちが強くあらわれました。

「能をつかんとする人・徒然草」1つの道を愚直に突き進むことの難しさ

兼好法師の『徒然草』には今も通用する真理がたくさん含まれています。そのうちの一つがこの芸能に関するものです。芸の道に精進するということの厳しさを実感させられます。飽きずにコツコツと長くやり続けることの大切さが示されています。

「落窪物語」継子いじめというテーマは人間の本性に根差したものなのか

落窪物語といえば、中世から読み継がれている継子いじめの話しです。人間は本質的にいじめという行為をやめられないものなのかもしれません。どこかで非難しつつ、やはり好奇心をそそらずにはいられないのでしょう。

「続古事談・長方卿の両京の定め」福原遷都の無謀さを清盛に説いた男がいた

福原遷都みなさん、こんにちは。元都立高校国語科教師、すい喬です。今回は平清盛が周囲の反対を押し切って、強引に福原へ都を遷そうとした話を取り上げます。『続古事談』は説話集です。編者はわかっていません。成立は鎌倉時代前期と言われています。源顕兼の著した『...

「羅生門・芥川龍之介」高校用教科書「現代の国語」がこだわる定番小説の教育力

改訂版「現代の国語」には今年からかなり小説が載りました。従来は文科省が承認していなかったのです。定番小説を所収し、高校生達に文学を知ることの意味を学ばせたいとする意向なのでしょうか。あるいはほかに意図するところがあるのか。

「細雪・谷崎潤一郎」桜の放つ悠久への夢を非情の時が消し去ってゆく

谷崎潤一郎の『細雪』はよく源氏物語との類似性が指摘されます。長い小説の中に、人の持つ無常の悲しみが色濃くにじんでいるからです。大人のための小説といっていいのではないでしょうか。ぜひ四姉妹の生きざまを追いかけてみてください。

「浮舟と薫の再開・山路の露」宇治十帖の主人公・薫の後日談が気になる

浮舟と薫の再開は宇治十帖を読んだ人にとっては気になりますね。その後二人はどうしたのか。そのまま別れてしまうか。あるいはどこかで出会うのか。それを解決しようとしたのが『山路の露』という本です。薫の後日談なのです。