課題文は正論
みなさん、こんにちは。
小論文添削歴20年の元高校国語科教師、すい喬です。
小論文の勉強は進んでますか?
難しいですよね。
信頼できる先生にみてもらっていますか。
添削してもらえたら、本当に幸せですね。
しかし現実的にはなかなかうまくいかないものです。
小論文にはこれといった答えがあるわけではありません。
つまり自己採点ができないのです。
本当に厄介な試験だと思います。
今回はどういう風に結論を導き出していけばいいのかについて考えます。
結論が大事だと言われても、どうしたらいいのかわからないというのが、本当のところでしょう。
本番の試験でどう切り込んでいけばいいのか。
一緒に考えましょう。
とにかく小論文は難問中の難問です。
課題文は基本的に正論の立場から書かれたものが、圧倒的に多いです。
正面切って反対することは、ほとんどできません。
内容はしっかりと精選してあります。
しかしだからといって、筆者の言う通りですという文章を書いても、高い評価は得られないでしょう。
採点者が思わず、これは面白いと判断するには、やはりそこに独自の視点がなければダメです。
しかし、その論点を見つけ出すには長い間の勉強が必要になります。
多くの知識がなければ、簡単に反論することさえできないものです。
そのためのひとつが反論のポイントを探す作業です。
相手の大切な論理の元を掴むのです。
そのための練習を繰り返し積んでいかなければなりません。
投書欄の活用
一番いいのは新聞の投書欄です。
ここにはありとあらゆるテーマがあります。
少子高齢化、真の豊かさ、学問の意味、災害、環境。
どのテーマでもいいですから、その日の投書欄から1つ~2つを選んで親しい友人と語り合ってみましょう。
日本人は元々議論を好みません。
というより不得意なのです。
論理中心で相手と話し合うことが苦手です。
すぐ感情的になってしまう傾向があります。
日本語は元々論理的な構造をしていません。
この試みは最初うまくいかないこともあるでしょう。
しかし繰り返していく中で、どこに重点をおけば相手の論理を覆せるのかということがわかってきます。
これが大いに小論文を書く時に役立つのです。
相手の弱点を探るには、第六感を必要とします。
もちろん、それを支えるものは知識です。
何度か友人とやったら、家族を相手にトライするのもいいかもしれまん。
さらに確かなものにするために、文章化してみることです。
架空の相手をイメージし、その投書とは反対の立場からの論点をチェックしながら文にまとめてみるのです。
すると全く新しい視点が見えてくるのではないでしょうか。
小論文を書く力は、このプロセスの中で確実に生まれてきます。
ディベートというと少し大げさに聞こえてしまうかもしれません。
プチディベート、プチ討論といったレベルから始めるのが一番いいと思います。
ぜひ試みてください。
賛成・反対
1つの例をみてみましょう。
グローバル化が進む昨今、外国人医師を容認する時期にきているのではないか。
たとえばこのような内容の投書があったとします。
これはかなり踏み込んだ意見です。
医学の分野に外国人の参入を認めるという意見は現在のところ、それほどに多くはないと思われます。
どちらの立場から書くにせよ、きちんとした論点の整理が必要でしょう。
いずれにしても、あらゆる角度から問題をあぶり出してください。
医師の立場からすれば過疎地で暮らすことのデメリットは当然あるでしょう。
わずかな年金が頼りの高齢者を診るだけでは、それまでの投資が回収できないという医師の側からの怖れもあります。
家族や家庭のことを考えたら、住居や学校など選択のしやすい都市に住みたいという願望があっても不思議ではありません。
また外国人を雇いたくないという医療関係者の自己保身の側面も否定できません。
日本の高いレベルの医療行為を外国人の医師がミスなしで行えるのかという不安もあります。
あるいは一時は日本に来てくれるとしても、近い将来、賃金のより高い国へ異動してしまう可能性はないのか。
言葉の問題が最大のネックになるという問題も考えられます。
これに対して、現実に国境なき医師団のようなNGOの活動を見ていると、そうした懸念が無意味であるということがよくわかるという意見もあるでしょう。
介護士、看護士などと同様に、積極的に受け入れるべきであるという視点もあります。
グローバル化が叫ばれる今日、低賃金の国から日本人がやりたがらない仕事につくため、多くの人が働きに来ています。
都合のいいところだけに目をつぶって、医療だけはシャットアウトするという姿勢はいかがなものかという論点もあります。
以上、思いついたことをアトランダムにあげてみました。
いかがでしょうか。
どちらの立場からでも、少し深掘りすれば、いくらでも意見は出てきます。
プチディベート
こうした内容について友人と是非討論してみてください。
大きな声を出して、広角泡を飛ばすことはありません。
静かにプチディベートを試みればいいのです。
その繰り返しが、必ず効果を生み出します。
新聞の投書欄を広げ、さらに関係するデータも取り出せれば、それも参考にしてください。
本の要約をして自分の意見に組み込むことも必要です。
そういう幾つもの作業の中で、自分の考えがきちんとした骨格のものになっていきます。
それが実際の試験の時に力を発揮するのです。
全く同じ問題が出るとは限りません。
しかし今日の世界が抱えている問題は十分にディベート可能です。
その間に培った知識が、いざという時、力になります。
是非トライしてください。
毎日の繰り返しが大きな効果を発揮するのです。
友人が見つからなければ、仮想的な友人を自分の中に組み込みましょう。
そうすることで、相手の反応を見ながら反論していく技術を身につけることができます。
論理の構造が確かになるのです。
そんなことが簡単にできるワケはないなどと言っていないで、まず実行あるのみです。
みなさんの努力が報われる日の喜びを想像してください。
その時が必ずくることを信じて頑張ってくださいね。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。