短文の魔力
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師すい喬です。
小論文指導を20年以上にわたって実践してきました。
最近は推薦入試が花盛りなので、論理的な文章を書く場面が増えました。
作文は書けても、小論文は初めてという人も多いのです。
最初の授業でのレッスンはいつも決まっています。
いくつか箇条書きにすることが多いですね。
まとめてみましょう。
①長い文章はNG
②主語と述語の関係を正確に
③正確な接続詞を使う
④話し言葉はNG
⑤書き方の型を覚える
これだけです。
この内容で、本当に小論文が書けるのかという疑問が当然あります。
もちろん、それぞれの内容を深堀りしていけば、さらに細かく分かれていきます。
しかし原則はここにあるだけなのです。
最初の項目は何でしたか。
そうです。
長い文章はダメという簡単な話です。
そんなこと言われても困りますよね。
しかしこれが絶対の王道なのです。
これを守るだけで、あなたの文章は突然生き返ります。
なぜ短文がいいのか
人間の頭はそれほど複雑にできていません。
読んでいるそばから忘れてしまうのです。
特に文脈が複雑だと、何をいっているのかわからなくなります。
途中で投げだしてしまいたくなるのです。
短ければなんとか読めます。
「AはBである」と書いてあれば、ああ、そうなんだと次に文章を読む気がしてくるのです。
理解できますか。
繰り返しが多かったり、どれが主語かわからないような文だったり。
採点者を苦しめてはいけません。
特にいい加減な接続詞で繋いだ文章ほど読みにくいものはありません。
小論文は論理の積み重ねが大切です。
1つの1つの内容が次の論点をうみます。
その筋道を追えるかどうかで、評価が決まるのです。
つまりきちんと跡を追いかけられる文章になっているのかどうかが、1番大切なポイントです。
美文である必要は全くありません。
事実が淡々と積み重なっている構図が最重要なのです。
そのために複雑な文章が必要でしょうか。
答えはNoです。
単純であればあるほどいいのです。
型にそって文章を重ねていく方法を覚えてください。
このサイトにはたくさんの例があります。
その時々にあわせて読んでみてください。
接続詞を吟味する
文章のヘタな人はどういう文を書くのか。
採点者は最初の数行を読めばすぐにわかります。
最大の欠点は主語と述語の関係が曖昧なことです。
これは致命的ですね。
どれが主語なのか、よくわからないケースがほとんどです。
ひどい場合は述語がどれなのかもわかりません。
肯定しているのか、否定しているのかも判然としないのです。
こういう文を書く人は、長文型の人に多いです。
1つの文が3行も4行もあります。
つまり80字をとうに超えて、120~160字もあります。
こうなると、もう論外です。
しかも「そして」「しかし」といった接続詞を連発します。
「そして」は「継続」「結果」「添加」の3つの役割をもっています。
文章が続かなくなると、これを頭に置く人がいます。
本人はいい気持なのでしょうが、読まされている方はたまりません。
この表現が好きな人は要注意です。
もう1つは「しかし」でしょうね。
これは典型的な「逆説」の接続詞です。
それまでの内容を逆転する時に使います。
ところが先を読んでも、ちっとも内容が反転しません。
ここでもう採点者は疲れてしまうのです。
何が悪いのか。
文章が長いからです。
論理を完全に追いきれていません。
話し言葉は論外
小論文は少し背を伸ばして書けとよく言われます。
ちょっとすまして、大人の言葉で書くのです。
無理に難しい言葉を使えとは言っていません。
大人の使うていねいな表現がありますね。
いわゆる書き言葉です。
知らない人は今から勉強してください。
国語力がなければ、これからの人生でつらいことが増えます。
本でも新聞でも、何でもいいです。
活字を読みながら、自分の語彙を増やしてください。
その繰り返しの中から、本当の言葉が結晶となって生み出されていきます。
ポイントは少しも難しくありません。
書き言葉に慣れるということです。
話し言葉との違いがわからないということだけは、避けなければいけません。
4月になって、いろいろと考えなくてはならないことが増えると思います。
ここからが正念場です。
自分の未来をどのように広げていくのか。
そのために今何をすべきなのかを、真剣に考えてみてください。
書く力は一生のスキルになります。
けっして無駄にはなりません。
たくさん書けば、必ず上手になります。
難しい言葉を使う必要はありません。
あなたに必要な内容をしっかり把握し、文章の上手な人になってください。
そのための記事をこれからも書き続けていきます。
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。