【小論文・頻出】失敗から学んだことを自分の経験と重ねてまとめるワザ

小論文

失敗と成長

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回は入試小論文によく出題されるテーマについて考えます。

キーワードは「失敗」と「成長」です。

誰もが予定通りすべてのことを成し遂げているワケではありません。

必ずつまづきがあるものです。

しかしそれをどう乗り越えたのか。

そこから何を学んだのかというのは、大きなテーマです。

むしろ逆境を跳ね返して大きく成長するときにつかんだ真実こそが、その人をさらに飛躍させるのです。

逆にいえば、自分の経験の中から、その失敗と成長の過程をきちんと認識している人は、大変強いですね。

文章にそれをまとめて発表できるくらいの語彙があれば、国語力は十分と考えられます。

都立高校の推薦入試にはいくつかのパターンがあります。

いわゆる小論文と呼ばれる難易度の高いものと、日常的な作文と小論文を混ぜたレベルのものです。

課題文を読解するだけでかなりの時間を割いてしまうような、問題もあります。

特に難関校と呼ばれる学校には、その傾向が強いですね。

社会問題や時事、科学的な知識も要求されます。

しかし大多数の高校では、そこまでの内容を要求してはいません。

日常的な経験と認識を融合させたタイプの設問の方が、圧倒的に多いのです。

今回の「失敗に学ぶ」というテーマは、頻出問題の1つです。

必ず自分で練習してみてください。

最初に課題文を示します。

内容は少しも難しいものではありません。

しかし読み終わった後に自分の認識を含んだ文章を書く、という作業があることを忘れないでください。

課題文

この3年ほど、日本人のノーベル賞がニュースになっているが、思わぬ失敗がアイデアのヒントになったという話が多いのがおもしろい。

たいていは、計画にそって仕事をすすめていくのだが、けっこう思いどおりにはならぬことが起こる。

計画からすれば失敗のはずだが、それが意外な展開をするから新しいものが生まれる。

長く生きてきて、人生は思いどおりにはいかぬものの、思いどおりにならぬから人生のドラマがあると思う。

思いどおりの成功より、思いがけぬ失敗。

それはむだのようでも、そのむだを貯金としてゆとりが生まれる。

むだをなくすのではなく、失敗のむだを生かせるのがゆとり。

(注) この3年 2000年~2002年

出典は森毅『元気がなくてもええやんか』です。

思いがけぬ失敗

この課題文は、令和2年、都立南平高校で出題されたものです。

筆者が思いがけぬ失敗から学ぶことの意味についてまとめた文章です。

最初にここで求められていることは何かを把握しましょう。

設問は以下の通りです。

この例のように、今までの経験の中で、あなたが「失敗から学んでその後うまくいったこと」または「失敗から学んだと思えること」はどんなことですか。

具体的に挙げ、その経験を学校生活にどのように生かしていくかを600字以内で書きなさいというものです。

必ず文中に含まれる内容は「失敗から学んでその後うまくいったこと」です。

この内容に言及していない文章は、評価が一気に下がります。

合格は一気に遠のくと考えていいでしょう。

それだけを頭の隅に入れておいてください。

あなたならどこから書きますか。

最初に自分にとっての失敗を想起することから始めます。

それがポイントです。

そこから何をどのように学びましたか。

その結果として、うまくいったことはなんでしょうか。

文章をまとめるために、メモをとってください。

難しいのは「失敗」をどのレベルのものと考えるかです。

学校内での失敗だけが焦点ではありません。

人間関係を想像しただけでも無限大ですね。

家族、友人、親戚などと裾野は広いです。

中学生の場合、まだ社会に出ていないので、内容は当然限られてくると思われます。

その中で、なにがこの小論文の内容にピッタリくるのかを検討してください。

やはり学校内での失敗が最もしっくりくるかもしれません。

学習の場面なら、対教師との関係、友人との関係が最も書きやすいはずです。

その他、クラブ、委員会、生徒会、運動会、音楽会などの行事活動もイメージがしやすいですね

そこでの失敗を思い出しましょう。

例えば、クラスで音楽会の練習がうまくいかなかったというケースを考えてみます。

例文

音楽コンクールの時の話である。

リーダーになってクラスを引っ張っていく役目を仰せつかった。

しかし、思うように誰もついてきてくれない。

一生懸命やればやるほど、空回りをした。

何がいけないのか。

自分なりにとても悩んだのである。

食事の時、父親がポツリと言った。

なぜかその一言だけが耳に残った。

「1番後からついていけばいい」

それ以後、自分の考えを最初に話してしまうことよりも、クラスの人の意見を聞くことに全力を傾けるようにした。

つまり聞く力を養っていったのだ。

言いたいことがあっても、まず相手の話をよく聞くことにした。

そうしている間に、皆が次第に信頼を寄せてくれるようになった。

練習にも参加してくれる人が増えていったのである。

クラスの雰囲気もとてもよくなった。

しかし残念なことに優勝は逃してしまった。

それでよかったと今は考えている。

「聞く力」の大切さはこれからの人生にきっと役に立つ。

リーダーシップをとるために、いつも先陣を切ればいいというものではない。

それほど単純なものではないのである。

人の心は千差万別だ。

その中で、チームの団結を生むための力の源は、やはりリーダーの持つ骨太の神経だろう

それを養うために、これからも人の意見を「聞く」こと注力したいと考えているのである。

———————————–

あくまでも、これは1つの例です。

設問の主旨である「失敗から学んだこと」というテーマには合致しているはずです。

どのような内容でもかまいません。

解答は無限にあります。

大切なのは、キーワードを完全に理解して文章を書くことです。

頻出問題なので、自分でも練習をしてみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

タイトルとURLをコピーしました