課題文が読み取れない時
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
今までに小論文をテーマにしたブログをかなりの数発信してきました。
今回は実際に試験に臨んだ時のことを考えてみましょう。
学科試験と違って、小論文は勉強しにくい要素をたくさん持っています。
一言でいえば、予想がしにくいのです。
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基本的に何が出題されるかわかりません。
もちろん、過去問をみれば数年間の傾向がみてとることもできます。
しかしだからといって、それがそのままの形で出題されるかどうかは、まったくわかりません。
例年と違うタイプの試験が突然出現するということもあるのです。
通常は課題文があり、それを要約しながら、最後に自分の考えを示せというようなタイプの問題が多いです。
つまり小問に分かれているのです。
内容を整理しやすいように、文章を読み込むという作業をあらかじめしてもらうワケです。
問題の意図にそって読んでいけば、最後の意見文まで進めるようになっています。
安心してテーマに挑んでいけばいいでしょう。
しかしときに、全く課題文が読み取れないというケースもあります。
あまりにも内容が難しくて、理解できないこともあるでしょう。
自分が考えたこともないテーマが突然出ることもあります。
こういう時に窮地から脱出する技術を知っておかなければいけません。
とにかく平均以上の文章を書かなければ、合格はおぼつかないのです。
なにがなんでもこの穴から抜けでなければなりません。
実際にどういう方法があるのか。
過去のケースで考えてみましょう。
キーワードをつかまえる
第1の方法はなんといっても「キーワード」を正確に捉えることです。
ここで失敗すると、ダメージになります。
とにかくたくさん何度も出てくる表現をマークしましょう。
それが筆者の言いたいことの根幹に絡む言葉です。
その背後に思想があるのです。
もちろん、キーワードは1つとは限りません。
いくつもでてくるケースがあります。
必ず何度も出てきます。
マークしたものをチェックしてください。
その文章の話題の中心は、マークした幾つかの表現の中にあります。
あなたが知っている言葉ですか。
全くみたこともきいたこともない言葉ですか。
ここが最初の分かれ道です。
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少しでも知っている内容だったら、そこからポイントを探します。
そのキーワードがどうしたといいたのかを読み取るのです。
そのままではダメだ。
次のように変革すべきだとあれば、かなり理解が進みます。
つまり筆者は現状を肯定していません。
今のままではマイナスの要因が多いと主張しているのです。
それをプラスにするにはどうしたらいいのか。
そのための方法論を論じているのです。
筆者はどうしろと言っていますか。
それに対して、あなたの意見がありますか。
最初にここをきちんとさせましょう。
二項対立に着目
小論文の課題文にはよく2つの内容を見比べて、対立軸を示すタイプの問題も出ます。
「東洋」と「西洋」、「表」と「裏」、「光」と「影」。
その他にも「個人」と「世間」、「個性」と「集団」、「人間」と「自然」、「新聞」と「ネット」。
いくらでも出てきます。
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これらの表現の裏側には、たくさんの考え方があり、小論文には向いたテーマなのです。
どう書けばいいのかといえば、対立軸を明確にすることです。
自分がどちらの立場にたてば書きやすいのかを明らかにしましょう。
ここにもあなたの中で、プラスの要素とマイナスの要素があるはずです。
それをはっきり書くだけで、文章の輪郭がくっきりと浮き彫りになります。
小論文では特に内容がはっきりしていた方が有利です。
どちらの意見を重視しているのかわからないようでは、文章がアイマイなままになりがちなのです。
筆者がどの立場にたっているのかを明確に示しつつ、あなたの考えを示しましょう。
一般的には反対の立場をとったほうが、くっきりと影が見えます。
どうしても筆者に賛成すると、後からただついていったような印象しか残りません。
自分の知っていることで、なんとか反論の余地をつくれないか。
キーワードに線をひきながら、短い時間で全体の構成を探るべきです。
筆者がはっきりと自分の意見を書いていない場合もあります。
その時はもう1度、論理の筋道を書き直すくらいのつもりで、リライトし、そこから反論を加えましょう。
断定形で攻める
小論文は論理が命です。
個人の感覚にまかせて文章を書くと、失敗するケースが多いのです。
確かに経験は書きやすいです。
自分が1番よく内容を知っています。
それだけについ感情のまま、書きすぎてしまい、失敗をするのです。
できれば、反論を前面に出して言い切る練習をしてみましょう。
これは簡単ではありません。
ある程度の知識を必要とします。
課題文の繰り返しは評価されません。
小論文はあくまでもあなたの意見を論理的に積み重ねる場です。
反論がすぐにできない時もありますね。
その場合はこの内容を精査して進めていくと、次のような問題点がでてくると書くのです。
その指摘が正確であれば、この受験生はよく内容を理解しているということになります。
基本は断定表現が最も強いのです。
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そこまで言い切ってしまっていいかというレベルでもかまいません。
しかし筆者に対する敬意を失った表現などは、論外です。
自分がいかにも専門家めいた立場にいるような書き方の文章もダメです。
どうしても書けない時は、少し内容をずらしましょう。
あなたが知っている得意な論点を中に散りばめるのです。
1200字程度から上になってくると、全部を自分の考えで埋めるのはかなり苦しいです。
その場合は課題文のある点に着目して、そこを詳しく示すことです。
その際は自分が勉強してきた内容を説明することも可能です。
単純に表面だけをなぞるのではなく、その問題の深層に何があるのかを表現するのです。
採点者はたくさんの文章をまとめて読みます。
それだけに、鋭い視点で断定されたものに、より惹かれるのです。
これは人間の心理です。
最後に結論部分に力を入れて、たっぷりと光をあてましょう。
照明を最大にして、きちんと文章の形を整えるのです。
何度も練習をしてみてください。
窮鼠、猫を噛むの譬えもあります。
最後の最後まで力を抜かずに噛んでみることです。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。