【小論文】思考回路を社会問題とリンクさせれば合格【新聞・ネット】

学び

社会とリンク

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回は社会と小論文の関係について考えます。

最近の小論文はテーマが非常に複雑です。

感想文のようなものはめったに出題されなくなりました。

一見、書きやすそうなテーマでも、始めてみると苦しくなってしまうのです。

その最大の理由は社会の内実そのものが輻輳化しているからです。

問題の層が分厚く、解決への方法がすぐにみえるような形をしていません。

実に複雑に絡み合っているのです。

それをどう解きほぐせばいいのかという道筋もなかなかみえてこないのです。

無理にその作業を始めてはみたものの、さてどこへ結論が向かうのか、さっぱりわからなくなってしまいます。

これが1番苦しいところです。

自分の体験をまとめてみようと思っても、そのテーマにぴったりのものはなかなかみつからないものです。

実社会でさまざまな体験をしていれば、それなりの書き方もあるでしょう。

しかし中学生や高校生の場合、テーマにそった内容がすぐにまとめられるというワケではありません。

そういう時はどうすればいいのか。

基本は社会の現実に目を向けることです。

自分が知らないことや経験したことがないのに、無理に力づくで書こうとすると必ず破綻します。

ニュースで課題文のテーマに似た内容を読んだことがあれば、それを利用するのです。

家では新聞をとっていないからわからないというのは理由になりません。

ネットでもかなりの量のニュースが流れています。

フェイクには要注意

中にはもちろんフェイクニュースのようなものがあるかもしれません。

しかし見分ける目があれば万全です。

信頼に足るものを手に入れることができるはずです。

多くの人に広く知られている事実なら、議論をするのはもっと容易になります。

小論文の根拠や切り口はニュースに頼るという方法が最も安全です。

こういう情報が新聞にあり、世界的にも認知されているとあれば、そこからテーマを積み上げていけばいいのです。

具体例を知らない場合、体験をしたことがない場合はこの方法が最も安全な道です。

どうしても塾で多くの時間を費やし、わずかなスキマにゲームをしているという人にとって、実感のある文章を書くのは大変なことです。

しかしそれでも評価される文を仕上げなければなりません。

試みに少し時間を割いて、新聞記事を読んでみましょう。

ポイントがすぐにわかる書き方をしてあることがわかるはずです。

記者の主観や憶測を交えた内容はありません。

それでは記事にならないのです。

ReadyElements / Pixabay

この書き方を小論文に応用してみましょう。

以前に聞いたことがあるはずです。

きちんとした記事には必ず5W1Hが入っています。

誰がどこでいつ何をなぜ、どのようにしたのか。

この5つの視点があるだけで、論点がわかりやすくなります。

この観点を必ず小論文の中に入れ込むことを考えてください。

自分の体験をダラダラと書きそうになったら、そこにどの程度の必然性があるのかをすぐに反省しなくてはダメです。

だいたいの場合、字数稼ぎのケースが圧倒的です。

1番、まずいやり方です。

地球温暖化

例えば地球温暖化について書くとしたら、あなたはどの視点からまとめますか。

日本の夏は非常に蒸し暑いです。

最近では35度を超える日も当たり前になりました。

あなたもエアコンを使うでしょう。

そんなことは常識だというかもしれません。

マスコミでも上手に冷房を使えと声かけをしています。

しかしその電力をどのように確保すればいいのか。

脱炭素社会への道筋もまだはっきりとは見えていません。

火力、水力以外の自然エネルギーで発電を全てまかなうことができれば問題はありません。

しかしそれは現実的に不可能です。

次にすぐ思い浮かぶのは原子力でしょう。

その可能性についてはどう考えますか。

あなたは福島第2原発の事故から得た教訓をどのように論文に反映させますか。

そこまで危険な思いをしても原発は廃棄できないのか。

あるいは原発こそが生き残る最後の手段であるのか。

あなたの立場が明確でないと、この後に文章が続かないはずです。

それでは自然エネルギーの太陽光、風力発電などについての可能性をどう考えればいいのか。

脱炭素化へ一気に進めるでしょうか。

新聞にはかなり現状が明確に掲載されています。

たった1つのテーマがどこまで文章を複雑にするのかが容易に理解できますか。

多くのパラメーターに分けて書くと、当然内容はバラバラになります。

1つのテーマだけに焦点をあてて、それ以外の内容は絞るという方法をとらざるを得ません。

取捨選択の力

問題の要素がたくさんあるテーマの場合、その取捨選択が最大の命です。

社会とリンクさせるというのは、言うのは簡単ですが、きちんとできないとかえって内容が煩雑になります。

あなたの素直な気持ちを書きたいのは理解できます。

経験をまとめて自分らしさを表現したいのもよくわかります。

しかしその方法については十分に刈り込む必要があるのです。

単純に自分の思いだけを文章にしても、あまり意味がありません。

もっと現実は複雑です。

そういう時に、社会問題への視点をどの程度持っているのかが試されるのです。

全く感覚だけで書いていると、方法論が見えなくなってきます。

800字程度のわずかな字数しかありません。

結論にあたる部分で、解決策への糸口を書かなくてはなりません。

どう書きますか。

採点者は見ています。

最後にこの受験生がどのように文章を終わらせるのか。

どんなことがあっても解決策への糸口を書いてください。

今、目の前の社会で起こっている解決への方法には何があるのか。

その可能性の大きさはどの程度なのか。

ニュースを読んでいないと、全く意味のない感想を呟くだけで終わってしまいます。

ここが最も大切なのです。

知識をただ並べても意味がありません。

最後はどこまでいっても自分の問題として引き受けること。

地球の資源を枯渇させずに、持続可能なものとしてどう活用すればいいのか。

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それを書き込んでください。

けっして簡単ではありません。

じっくりとテーマと正対する必要があります。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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