【小論文・合否】採点者全員が必ず見ている答案のNGポイントはココ

学び

ほとんど同じレベル

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師すい喬です。

小論文の添削指導を20年以上しています。

入試の採点も長くやってきました。

毎年小論文を読む季節になると少し憂鬱です。

自分の判断が受験生の合否に直結するからです。

もちろん、内申書の評価や面接点なども大切です。

しかし書かせる問題の配点比重は重いのです。

mohamed_hassan / Pixabay

あなたは実際に答案を読んだ時、採点者がどんな印象を持つと思いますか。

最初に何枚か、まずざっと目を通しますね。

その年の答案の雰囲気を掴むためです。

それからまる1日。

採点作業に没頭するのです。

読む枚数は毎年違います。

倍率の高い年は大変です。

疲れる仕事です。

複数の先生が答案の評価をして点数をそれぞれ書き加えていきます。

優れた小論文はどの採点者が読んでもほぼ変わりません。

文体、内容、構成力全てにわたって実にていねいによく書けています。

仮に答案の枚数が100枚とすると、その中に5~10枚あればいいところです。

その下のランクがやはり5~10枚くらいでしょうか。

もう1つがその反対でひどいものです。

途中で文章が切れていて意味をなさない。

表現力が明らかに劣っている。

簡単にいえば小論文の体をなしていない答案です。

これが5~10枚くらいでしょうか。

特に制限字数に達していないもの、やや劣るものを含めると20枚近くに達する時もあります。

ここまではどの採点者がみてもほとんど変わりがありません。

合否ライン

その年の合否のラインをたとえば、3.5にしようとしたとします。

問題は残りの半分以上の答案を仕分けすることなのです。

通常の採点基準でいえば、特にすぐれたものを「4~5」。

よくないものを「1~2」としましょう。

両方で30~40%が切れたとします。

合格を全体で35~50%程度出さなくてはならないとすると、残り25~35枚くらいの合格ラインに達した答案を探し出さなくてはなりません。

ポイントは残りの「3」の評価の内側をどう仕分けるのかということです。

本来ならば「2」のレベルになる答案も仕方なく下駄をはかせて、とりあえず「3」にします。

60枚ぐらいから40枚程度をまず選ばなくてはなりません。

そこから少しずつ合格答案をみつけていくのです。

Photo by MIKI Yoshihito. (#mikiyoshihito)

倍率がもっとある時はこの枚数が全てにわたって減らされていきます。

これが難問なのです。

まさにどんぐりの背比べです。

採点はあくまでもその年の相対評価です。

少しでも合格の可能性のある答案を上に移動させて調整するしかありません。

課題文などの難易度にもよるため、毎年微妙に基準が変化していきます。

1番多いパターンが良くもないし、悪くもないという答案です。

いわゆるごく普通の文章です。

どこにもひっかかるところがなく、これといって目立ちません。

だからといって、全く読めないのかと言われれば、そんなこともありません。

きっと少しは勉強してきたのでしょう。

ごく当たり前の論理がそのまま述べられています。

こういう答案が1番苦手です。

限られた時間の中で採点をするのです。

ものすごい緊張感です。

リスク背負う覚悟も必要になります。

時間とマンパワー

長い文章をじっくりと書かせて、受験生の資質を見るという中国の科挙のような試験なら可能かもしれません。

大学入試においても、説明せよというだけで、特に字数を示さない国立大学などもあります。

ほぼ全問が説明せよというタイプの大学入試をするには、それだけのマンパワーと時間が必要なことはいうまでもありません。

しかし現実はそれほど悠長ではないのです。

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全てマークシート式の入試もある現実がそれを示しています。

今日の大衆化した高等教育では、かつてのエリート養成のようなシステムをとってはいられないのです。

小論文もそれは同じこと。

うまく書くための方法論を短期日で学び、それを実践した人が勝つという図式は当然あるでしょう。

それではどんぐりの背比べから抜け出すための方法とは何か。

採点者はどうしても言葉に引きずられます。

たくさん読んでいると内容が似ているのに気づくのです。

おそらく参考書や添削などを通じて、文の書き方のヒントを学んできたに違いありません。

課題文の内容をうまく散りばめて、無難にまとめているものが多く見受けられます。

内容で差がつかなくなってくるのです。

「3」から「3.5」まで昇格させるには、何が必要なのか。

それはズバリ表現です。

文章が整っていると、どうしてもそちらの答案の評価を高くしたくなるのです。

これは採点者の心理なのでしょうか。

「なので」を使わない

生き残るためには、こういう方法があります。

以前から何度も小論文関係の記事で説明している通りです。

絶対に使ってはいけない表現をまずカットするのです。

癖になっていますから、受験生は無意識に使ってしまいがちです。

その表現をカットしてください。

「思う」「感じる」「考える」が筆頭ですね。

なくても十分に意味が通ります。

「思う」を連発されるとどうしても評価を下げたくなります。

ないと文章がスッキリします。

特に断定表現でズバリと切り込まれると、採点者は弱いですね。

もう1つ。

最近特に気になるのが「なので」の連発です。

喋り言葉では使ってもかまいません。

会話を下につなげる時によく使いますね。

しかし書き言葉ではやめましょう。

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「だから」「なぜかというと」「なぜなら」「ゆえに」「そもそも」「そこで」などと下に繋げていく言葉はいくつもあります。

なるべく自然な書き言葉の表現を使いましょう。

喋り言葉はNGです。

接続詞、副詞の使い方はさらに難しいです。

「やはり」「非常に」「とにかく」などもうるさい感じがしますね。

自分だけで納得している感じが前面に出て来ます。

採点者は評価をつけた後に必ず再読します。

その時に「なので」などという表現が多用されているのに気づくと、イヤな気分になるのです。

書き言葉が十分身についていないことを証明している文章だと認識します。

メール文が日本語をダメにしたと言われて久しいです。

まさにそのパターンになってしまった例の典型です。

表現をうまくまとめることができれば、それだけで合格ラインにギリギリ滑り込むことができます。

今回は採点現場の裏側を少しだけご披露しました。

めげずに頑張ってください。

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過去問を徹底的にやることです。

必ず自分の文体の癖を知って修正してください。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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