AI時代
みなさん、こんにちは。
小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回は小論文の核になる部分について考えます。
最も大切な根本のところです。
一緒に悩んでください。
それは何だと思いますか。
今はAIの時代です。
皆さんが社会に出てから書くさまざまなレポートも、AIが判定する時代に入りました。
ビジネスで使われる稟議書のレベルではありません。
プレゼンテーション用の文章まで、AIが校正してくれる時代なのです。
もちろん、間違った数字などはその場ですぐに修正されます。
助詞、助動詞のミスから、漢字、送り仮名にいたるまでAIに任せてしまえばいいのです。
知識はネットからいくらでも入手できます。
人間は足りないところだけを補えばいいワケです。
今はたくさんの講座がネット上にあります。
英語が理解できれば、外国の大学での授業も同時に受講できる時代なのです。
もちろん日本語での授業もたくさんあります。
問題はやる気と飢餓感でしょう。
それではもう知識を記憶する必要はないのでしょうか。
そんなことはありません。
正解だけを人間はいつも手に入れられるワケではないからです。
AIにしてもそれは同じです。
正解を決めているのは、実はその背後にいる人間なのです。
鳥瞰図
全体を視野に入れ、今自分がどの位置にいるのかを冷静に知るためには、圧倒的な知識が必要です。
そうでないと立地点を見失う可能性があります。
口当たりのいい知識だけを細切れに学ぶだけでは、鳥観図が得られないのです。
そのために学びを深めなくてはなりません。
その際、何が必要なのでしょうか。
ズバリ真理に対する気づきの能力です。
皆さんが小論文の文章を書いたとしましょう。
1つのテーマにそって自分の考えをなんとかまとめました。
後は評価を待つだけです。
これでOKですか
絶対にダメです。
なぜもう1度冷静に第3者の視点から読みなおさないのか。
自分の述べた論理が通用するものになっていますか。
論点に矛盾はありませんか。
内容が途中でアヤフヤになっていませんか
どこか弱点になるところがあるのではないですか。
曖昧な知識を書かなかったですか。
つまりもう1度、読み直すことがいかに大切かということです。
もちろん「てにをは」も大切です。
しかしここで論じているのはそのレベルではありません。
もっと深い論理性についてです。
すぐには身につきません。
長い時間が必要です。
どうすればいいのか
積極的に友人、知人、先生方とリアルな場面で語り合うことでしょうね。
現在、コロナ禍で、それもままならないことはよくわかります。
答えはそんなに簡単にみつかるはずがありません。
どんなテーマでもいいです。
SDGsの中の1つを取り上げて、世界の問題を考えてください。
日本の特殊性でもいいです。
共生社会の在り方はどうでしょうか。
LGBTについてあなたの考えを述べて下さい。
脱炭素社会についてはどうですか。
簡単にYes、Noで結論付けないでくださいね。
ギリギリまで粘りましょう。
殆どのテーマには答えがありません。
出題者も着地点がなくて迷っているのです。
その知の森の中にズンズン分け入っていく勇気をみせてください。
結論はきれいでなくていいのです。
人間に絡む問題はどの立場にたったとしても解決しません。
見事に切り割いたような文章には必ず無理があります。
結論は美しくなくていいのです。
迷いをそのままぶつけてください。
迷路に入り、もがき苦しんでいるところに採点者は受験生の真の力をみてとるのです。
それがわからないような採点者しかいない学校ならば、受験する意味はないのかもしれません。
謙虚に
知識をいくら振りかざして上から目線で書き込んでも、誰も感動しません。
むしろその結論に至る思考がどれほど本物であるのかという気づきの方に共感するのです。
これからの学問はますます難しく細い道を通っていくものになることでしょう。
他者に対する共感力のない人は、いくら知識を増やしても評価されません。
つまり感性が重視されます。
ひらめく力とでもいえばいいのかもしれません。
記憶力が抜群にいいというのも大切なことです。
しかしそれだけではAIに勝てません。
最後に人間が持っている力を試せる場所。
それはどこか。
過去にはなかった新しいものを生み出す能力が必要です。
複雑な図式を読み解く力。
人間だけにしかできないこと。
少し考えてみればわかりますね。
赤ちゃんの世話をAIに任せることができるのかどうか。
最後に残る仕事は人間にしかできないものだけになります。
それは何か。
真剣に考えてください。
鋭い知識を身につけることも確かに必要です。
しかし真理には謙虚であること。
そのために共感する力を養うことです。
気づく能力を身につけてください。
日々の営みの中でしか、小論文は完成しません。
この能力はずっと使え、あなたを確実にかえます。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。