【小論文の王道】問題解決に限りなく接近しバリューを引き出す

小論文

問題をつかまえる

みなさん、こんにちは。

小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。

今回はテーマとして提出された難題をどう解決して結論へ導くのかについて考えます。

ここが究極の山です。

提出されたテーマの中で何がポイントなのかを探るのはとても難しい作業です。

それができれば半分以上は解答案ができたようなもんです。

その作業をどうしたら効率的にできるのか。

今日はそのプロセスを一緒に考察しましょう。

毎回、ここがポイントで国語力が必要ですという書き方をしてきました。

さまざまな新聞や、関連図書、評論を読みアンテナを高くしなさい、感度をあげなさいと言ってきました。

しかし今日の内容が1番難しいのです。

簡単にできればなんの苦労もありません。

たとえば科学技術について論じてみましょう。

今年も似たような問題がたくさん出題されるでしょうね。

喫緊の難題です。

コロナ禍を考えればすぐにわかります。

新しい感染症の蔓延がこれほどに世界の構図を変えるとは思ってもみませんでした。

高度にグローバル化された社会はウィルスの蔓延にひとたまりもなかったのです。

これがまさに現実そのものです。

いくらワクチンを探しても話はそう単純ではありません。

科学の発達と裏表になって、今後も似たようなことが起こるでしょう。

アフターコロナはまだですが、いずれ1つの山を越え、次のプロセスへと至るはずです。

しかしそこで安心していられるほど甘くはありません。

すぐに次の災害が起こるに違いないのです。

科学の発展

今日、科学は途方もない発展を遂げました。

宇宙ステーションへ飛んで行ったロケットはそこでドッキングします。

ハッチを開けて、乗組員どうしが抱擁をかわしあうこともできるのです。

冷静に考えてみましょう。

長い距離を正確に運行し、さらにドッキングを果たすという技術は素人には想像もできないことです。

しかしそれが完璧にこなせる技術力を人間は身につけました。

これは途方もないことです。

通信システムも全く問題ありません。

地上で話している時よりも、むしろクリアに音が聞こえるのです。

この技術は当然軍事への転換も可能ですね。

大陸間弾道弾の目標攻撃能力は以前とは比べものになりません。

それを迎撃するミサイルのシステムも同様です。

なんのためにロケットを飛ばし、ミサイルを開発するのか。

考えてみればそこに核弾頭を積むためだということはすぐにわかります。

敵に対して少しでも早く有効な攻撃をしかけるためです。

しかしその結果どうなるのか。

世界は間違いなく破滅への道をたどるでしょう。

悲しいことですが、厳然たる事実です。

つまりどうしても使えない技術を人間は営々と研究し続けているのです。

その1部分が時に宇宙開発などの名目で、目の前に繰り広げられているのです。

核のゴミはどこへ

福島第2原発の後処理をみてみれば、その意味がよく理解できるでしょう。

現在、核のゴミを捨てる場所がないのです。

汚れた水はさらに薄めて海へ流すことになりました。

廃棄物質はどうするのか。

今もあちこちの町がおしつけあっています。

最後は国から支払われる膨大な補償金の額に負け、どこかの土地に眠ることになるのでしょう。

それほどに核物質の処理は厄介です。

このような処理作業を日々行っているのです。

海底ケーブルの光ファイバー網は世界を完全に繋げてしまいました。

あらゆる科学が軍事とそれ以外の目的に振り分けられて進んでいるのです。

科学技術はあらゆる自然現象を変化させてしまう力を持つようになったのです。

石油化学は地球の歴史とともにつくられてきた化石燃料を猛烈なスビードで汲み上げています。

パイプラインさえ据えれば液体である原油は低きへ流れます。

輸送も容易です。

さらに無機化学の発達は鉄に匹敵するほど頑丈な物質まで作り出しました。

プラスチックが果たしている役割は想像をはるかに超えています。

工業技術の発達とともに、腐らない物質は便利に使われてきました。

しかし今、それが最大のネックにもなっています。

可塑性に富んだ便利な製品が、逆に人間を苦しめているワケです。

マイクロチップに変形したプラスチックは海を汚染し続けています。

この先どうなるか、全く見当がつきません。

プラスチック容器を紙コップにかえる世界の流れは歓迎すべきものです。

しかしだからといって、それでプラスチックの問題が解決するほど、世界の構造は単純ではありません。

問題解決への接近

ここまで科学の発達について書きました。

あなたはここまででどのような問題をつかまえましたか。

どうしたらいいのか。

最終的に方法論を示さなければいけません。

バリューを出さなければいけないのです。

そうでなければ、評価は低くなります。

書けそうですか。

科学と人間の関係は難問中の難問です。

わかりやすくいえば、解決策が容易に見いだせないのです。

問題を出す側も、そのあたりの事情はよく知っています。

むしろ楽観論を述べるような答案があれば、最初から捨ててしまうかもしれません。

採点には値しないという判断に立つと思われます。

ではどう書いたらいいのか。

素直にわからないとするのも1つの方法です。

ただしそれだけではダメ。

人間は過去から現在に至るまで、さまざまな難題と戦ってきました。

しかし希望だけはいつの時代も捨てませんでした。

科学の発達を止めるのはポストモダンの時代に入っても無理でしょう。

むしろ、AIの時代を迎え、人間を超える知能がその未来を創造する可能性さえあります。

そうした中で、人間にできることは何でしょうか。

科学の息の根を完全に止めることではありません。

人間との共生を最後まで諦めずに少しでも可能性があれば、それに賭けるというフロンティアの魂を忘れないことです。

その基本線さえ捨てなければ、必ずこの難局を切り拓けると信じます。

核拡散を防止する条約、プラスチックフリーの可能性追求、国際平和への飽くなき連携模索。

自分の行動に自信を失った時が1番危険な時です。

それだけは捨ててはならない。

書き方は幾らでもあります。

しかし突き詰めていけば、書ける内容は自ずと見えてくるでしょう。

ベストではないがベターでありうる答案を追い求めてください。

そそこへ辿り着くために、さらに勉強を続けて欲しいと考えます。

バリューを引き出せるか。

まさに正念場です。

最後までお読みくださりありがとうございました。

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