【小論文・ビジュアル系】資料問題と同じ比較方式で解決策を探す

学び

違いを見抜く

みなさん、こんにちは。

小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。

今まで統計資料型の問題については、その解法を説明したことがありました。

割合でいうと、それほど多くはありません。

しかし通常の課題文型で評価しきれない特質などを読み取ろうとするケースもあります。

社会科学系や理科系などでは、資料を添付するケースも時々みられます。

あまり難しく考えないでください。

ポイントは違いを見抜くということです。

幾つかの資料の中で、大きな差のある場所。

それが小論文のポイントになるところなのです。

同じ数字よりも違う数字を探す。

これにつきます。

比較したら原因を突き止める。

その結果について、批判があればその点を書きます。

さらに改善すべき点がみつかったら、それを表現する。

この流れを守れば怖れることはありません。

1番先にやるべきことは、まず差をみつけることです。

違いがはっきりとみえない問題もあります。

その時は時間差を意識しましょう。

年代別、世代別、時間差などの要因をあてはめてみると、ポイントが見えてきます。

そこをズバリと突くのです。

それができれば課題もみえ、解決策も探れるでしょう。

この順番は全ての資料型問題に共通です。

具体的な問題にあたってみてください。

資料型だけの問題集も出ています。

いくつか過去に出てきたような学校を受験する場合は要注意です。

練習をしておかなくてはいけません。

ビジュアル系の問題は

今回のテーマはさらにもう1歩先へ進んだビジュアル系問題のケースです。

どんな形式で出るのでしょうか。

絵や写真です。

これにはちょっと驚かされますね。

最初に問題を開いた時、突然絵や写真があったりすると、まずどこから手をつけていいのかわかりません。

ここではっきり言っておきましょう。

統計型のグラフ問題などと同じ考え方で解くのです。

最初にすべきことは「読解」です。

絵や写真を読み解くなんてことができそうですか。

元々、個人の感覚で絵は描かれるものです。

写真だってそうでしょう。

客観的な絵や写真などというものはありません。

あくまでも個人の感性に根ざしたもののはずです。

しかしそれでは入試の問題にはなりません。

そこに何か意図が隠されているはずです。

どうやって探せばいいのか。

最初に問題の指示を注意深く読んでください。

必ずヒントがあるはずです。

何もない状態で問題が提出されることは考えられません。

例えばこんな問題です。

①ここにあるのは現在と50年前の絵です。

②10歳の子供が人間と自動車と飛行機を描いたものです。

③2つの絵を見比べてその造形の差を記述しなさい。

④その上であなたが考えたことを書きなさい。

徹底的に比較する

解き方のヒントがたくさんここにありますね。

どういう方法で解いていけばいいのか書いてあります。

この流れにそって考えていけばいいのです。

1つは科学の発達です。

これは50年間の差といってもいいでしょう。

Pezibear / Pixabay

文明の利器をどのような視点で描いているのかも重点的に見ていきましょう。

自動車と飛行機に対する感受性もこの50年間で大きく変化しているはずです。

それを明確に比較し描写してください。

次に人間です。

どちらがより本来の人間の形に近いでしょうか。

これも大きな問題になります。

そこに描かれた周囲の風景にも違いがあるはずです。

どのような差でしょうか。

それを言葉にすることができますか。

どちらの絵の方がよりリアリティがあるか。

子供の目は正直です。

ある種の憧れをもって描かれた絵には温かみがあります。

反対に文明や科学に対する厳しい目があったとしたら、そこにはむしろ記号性しか感じられないかもしれません。

そのあたりの差を明確に読みとってください。

社会の変化を

ここまできたら、いよいよ仕上げです。

2つの絵をどのような言葉で切ればいいのか。

それを探すのです。

キーワードが見つかれば、それが判断の道具になります。

自動車というものを現代の子供はどういうものとして考えているのか。

50年前はどうだったか。

飛行機はどうか。

外の世界に対して明るい目を開いていた時代の自動車や飛行機には、どこか未来への希望が宿っていたと考えることもできるでしょう。

しかし現在、自動車は極端なことをいえば、移動するための道具でしかありません。

どこの家にもある乗り物の1つです。

かつての若者は仲間が所有する自動車の周囲に集まって、性能に関する話題を披露しあったものです。

オートバイも同様でしょう。

しかし現在そういう風景は皆無です。

都会に住んでいる人は車も持たず免許もとらないという人も多いと聞きます。

rawpixel / Pixabay

飛行機はそれこそ、移動の手段そのものです。

燃費がよくて乗り心地がいい小型の軽いものであればそれで十分なのです。

かつてのようなジャンボジェットの時代ではありません。

情報が瞬時に世界を飛び回る時代を生きていく人間の姿も、50年前と同じに描くことはできないでしょう。

そういう視点から考えてみると、より無機的になっている側面があるかもしれません。

幾つかの例題にあたってみてください。

2017年、慶応大学総合政策学部では「原因と結果の法則」という問題でこのタイトルの本のコミック版を引用しています。

2019年、慶応大学環境情報学部では「カップに紐」「地下鉄通路」「SFCキャンバス内部の写真」29枚を出題しました。

テーマは観察の練習です。

このように出題の幅は非常に広いです。

しかし怖れることはありません。

資料型問題の派生系と考えてください。

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練習問題を解き重ねていくことが大切です。

最後までお読みくださりありがとうございました。

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