【高校入試小論文対策】作文と小論文の大きな違いは目線の差だけです

小論文

初めての小論文

みなさん、こんにちは。

元都立高校国語科教師、小論文添削歴20年のすい喬です。

今まではもっぱら大学受験用の小論文対策について論じてきました。

内容がよかったのか、たくさんの受験生が読んでくれています。

ありがたいことです。

今までに1万枚以上の答案を読んできました。

添削もしてきました。

どこがよくてどこがダメなのか、少し読むとわかります。

経験というのは怖いものだなと自分でも感心します。

近年は中学3年生の高校受験小論文にも関わるようになりました。

今までは大学受験に向けての小論文対策ばかり書いてきました。

今回からは高校生向けの記事をしばらくまとめていきます。

続けて読んでみてください。

きっとお役に立つと信じています。

都立高校の場合、一般入試に先だって推薦入試が行われます。

その際に必ず出題されるのが小論文なのです。

学校によっては推薦に基づく入試作文と呼んでいるところもあります。

しかしここでの「作文」はいわゆる小学校で遠足の後に書かせるタイプのものではありません。

明らかに小論文と呼べるものです。

楽しい思い出を綴るという種類のものではありませんので勘違いしないでください。

推薦入試はこの他に内申書の点数と面接点の合計で行われます。

学校によってその比率が違いますので、自分の受験したい高校の試験内容をきちんと把握しておいてください。

いずれにしても、一般入試にみられるような学力試験はありません。

さて2学期の成績が確定した段階で、小論文の添削をして欲しいという要望が一気に増えます。

過去問を用意し、書いてはみたものの、どのようなレベルにあるのか自分では判定ができないからです。

これが小論文の1番厄介なところです。

高校受験の問題は大学入試のものと比べれば難易度は低いです。

しかしだからといって侮ってはいけません。

時代を反映したかなり鋭い難問も出題されています。

出題者の先生方が苦労して問題を練り上げた様子が容易に見て取れます。

50分、500~600字が平均

入試小論文は学校によって制限時間や字数にもバラツキがあります。

問題数も1問だけのところもあります。

あるいは2問というところも結構多いです。

1問目で内容の整理をさせるため、要旨についてのまとめをさせます。

2問目で自分の考えを書かせるというタイプの問題です。

学校によっては文系と理系の問題をそれぞれ1問ずつ出題するというところもあります。

難易度は大雑把にいってしまえば、都立高校の偏差値に準じているといった方がわかりやすいかもしれません。

進路指導重点校などを中心にかなり広範囲の難しい問題が出ます。

これから数回に分けて、内容をじっくりと見ていきましょう。

しかし今回はその前に、作文と小論文はどう違うのかという大きな枠組みについて書かせてください。

なぜこんなことを書くのかといえば、中学校ではほとんど論文を書くという経験をしたことがないからです。

理科や社会などで、あるテーマについてのまとめをするということがあったでしょう。

しかしその基本になるデータはどこかに提示されていたものです。

けっして自分で独自に考え出したというものではないはずです。

推論の結果、どうようなことが考えられるのかということを書いた経験があるかもしれません。

しかしそれはそこで終わりだったのではないでしょうか。

3D_Maennchen / Pixabay

作文はたくさん書いてきた。

しかし小論文は初めてという人が大半だと思われます。

作文と小論文はどこが違うのか。

手っ取り早く教えて欲しい。

そういう希望がたくさんあるのは言うまでもありません。

作文と小論文の違い

1番の大きな違いは「誰の目線で文章を書くのか」ということです。

小学校の時に多くの人が書いた文章の最初には「先生あのね」がありませんでしたか。

そんなの書いたことがないという人もいるかもしれませんね。

しかしなぜか「先生あのね」から書き始めると、スラスラと身の周りにあったことが書けるのです。

これは一種のマジックワードです。

この言葉の先には、自分が見たことやしたことが次々と出てきて、それについてどう感じたかが綴られます。

楽しかった、悲しかったと続いていくのです。

いくらでも書けます。

動物園に行った日のこと、誕生日のこと。

AbsolutVision / Pixabay

その要素は何かといえば、すべて自分の目の高さからの事実です。

難しくいえば「主観的」な文章です。

自分がどのように思ったのか、感情をストレートに書けばいいのですから、他者のことを考える必要はありません。

ある意味で楽です。

一方、小論文は「客観的」な文章です。

誰が読んでも、この論理で進んでいくと、必ず結論としてこの内容が導かれるということになります。

小論文には基本的に自分の感情は入れません。

むしろそうしたものを排除しつつ、なるべく外部の人の目を意識して内容を組み立てていきます。

つまり小論文のうまい人というのは、いつも第三者的な冷静な視点をキープできる人といえるのです。

当然、言葉の使い方も違ってきます。

文体と口調が全く違う

小論文は「~である調」の一択です。

他にはありません。

よく「である調」で書けというと、すべての文末が「である」になってしまう人がいます。

もちろん、これはNGです。

詳しくいえば、「だ、である」調です。

「~だ」「~に違いない」「~ではないか」「~である」などバリエーションはいくつもあります。

一方で作文は「である調」と「です・ます調」のどちらでもいいのです。

その時の内容に応じて決めてください。

一般的に「です・ます調」は柔らかい印象を読者に与えます。

しかし文末が長くなりがちで、バリエーションも少ないのです。

字数制限のある時はどうしても内容が不足しがちです。

基本的にどちらでもいいのですが、文体は統一して書かなくてはいけません。

これだけは絶対に守らないと、読み終わった時の印象が非常に散漫なものになります。

文章の上手な人の中には、わざと混在させるテクニックを使う人もいます。

しかしそれはかなり修練を積んだケースだと思ってください。

単純に勉強を頑張りますという表現は作文です。

ここには主観があり自分の希望があります。

しかし方法論は何も示されていません。

小論文にはいつもどのようにして、どのようになるという道筋が冷静に論理的に示されていなければなりません。

ある意味、かなり抽象的な表現を必要とします。

中学校で習った国語の文章の中にも小説でもエッセイでもない、少し難しい言葉を使ったものがありましたね。

あのパターンです。

苦手な人が多いはずです。

realworkhard / Pixabay

このタイプの文章を読むにはかなりの国語力が必要だからです。

高度な語彙力がいります。

言葉の数ですね。

いろいろな言葉を知らなくては、読めませんし、もちろん書けません。

だから試験でその人の実力をチェックするには都合がいいのです。

同時に論理の構成力も見られます。

それではどうやって小論文を書くための力を養っていけばいいのでしょうか。

次回はそのための方法を具体的に考えてみましょう。

続けて読んでください。

必ず実力がつきます。

最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。

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