【神田伯山TV】真打昇進から講談中村仲蔵まで怒涛の迫力が胸を打つ

落語

伯山の底力

みなさん、こんにちは。

アマチュア落語家でブロガーのすい喬です。

今回は神田伯山TVの話をさせてください

彼のことはご存知ですよね。

今一番脂ののりきった若手講談師です。

たった1人で、つい先日真打に昇進しました。

新型コロナウィルス蔓延がなければ、最後に国立演芸場で披露口上を10日間続けるはずでした。

ところが会場が閉鎖され、ついに29日間で真打昇進披露興行が幕を閉じたのです。

その間に何があったか。

その様子を全部動画にとってYoutubeで配信したのです。

古今未曾有の出来事でした。

よくぞここまでやったというのが率直な感想です。

以前だったら映像を鮮明な解像度で撮るだけで大仕事でした。

それが今は感度のいいカメラやビデオ機材を使えば、くっきりとしたきれいな画像が撮れるのです。

しかしそれをYoutubeで配信するとなると、これはまた別の話です。

次の段階に入ります。

技術はあっても、それを許可するかどうか。

そこが1番のネックです。

ぼくは神田伯山が落語芸術協会に所属していたということがこの動画解禁のポイントだったと思っています。

これが落語協会では多分、無理だったでしょう。

そこに2つの協会の性格の違いがあるように感じます。

特に春風亭昇太が会長になって以来、芸術協会はぐんと明るくなりました。

若手も育っています。

ilyessuti / Pixabay

伯山の前には、柳亭小痴楽がやはり1人真打で昇進しました。

1年後には桂宮治のこれも1人真打昇進が決まっています。

桂歌丸の時代には、手堅さが前面に出ていました。

それがここへきて急展開しているのです。

楽屋の明るさ

伯山TVをまず覗いてみてください。

ググればすぐに出てきます。

ぼくは29日間、毎日見続けました。

これだけ寄席の楽屋が映像として残されたことは今までにありません

新宿、浅草、池袋の各寄席の内部が曝け出されました。

そこに集まる芸人たちの横顔も余すところなく、描かれたと思います。

PIRO4D / Pixabay

真打になった伯山の疲労もそのまま映し出されています。

人間性もあぶり出されました。

そういう意味で、この動画は必見です。

真打披露をする各師匠方の横顔が手にとるようにわかります。

平気でアブナイ話をする噺家たち。

まさかそのまま画像になって残るとは思ってもみなかったでしょう。

披露口上のうまさ、巧みさ、味わいもそれぞれに違います。

本業の落語同様、滋味あふれる話をしてくれた落語家もいます。

とにかく楽屋が賑やかで、時々は高座から静かにしろと怒鳴られるありさまでした。

その楽しさも、ありのままに残してくれています。

弟弟子の出世を喜びつつ、しかし嫉妬の感情をおさえきれない先輩講談師の涙も見せ場でした。

また師匠にあたる人間国宝神田松鯉の生真面目な性格が大変印象的です。

年下の芸人たちにも大変に丁寧で偉ぶったところがない。

高齢のため、途中かなり疲れをみせた時もありましたが、29日間を乗り切りました。

その弟子思いの姿にも、素直に感動しました。

ここまで自分の弟子のためにしてやるということは、なかなかできないことです。

それもこれも講談という芸能が後の世に残っていくため。

自分が教えてもらったことを、必ず次の世代に残してくれという悲願にも似たようなものにみえました。

昇進パーティの楽しさ

全部の動画を見る時間はそうそうとれないに違いありません。

かなりの長さです。

1番見て欲しいのは、なんといっても最初の昇進パーティの様子です。

浅草のホテルで行われた会のために、どれほどの準備が必要だったのか。

番頭役に選ばれた3人の落語家の活躍ぶりがよくわかります。

いつか自分たちが真打になる時は、という気持ちがどこかにあるのでしょう。

この芸人たちの真剣さが見ていて心地よいのです。

そして数多くの後輩たちに、礼金を払う伯山の表情がまたいいですね。

いったいいくらのお金が飛んでいったのか。

口の悪い芸人のことです。

ケチれば、必ずあちこちで言いふらすにちがいありません。

さりとて、数が多いのですから使えばキリがない。

その様子を見るだけでも、芸人の世界の裏側がよく見てとれます。

途方もない金額がそれこそ湯水のように流れていくのです。

当然、ご贔屓や招待客からご祝儀も入るでしょう。

cegoh / Pixabay

しかしそれ以上に出ていくのが、この世界なのです。

口上に出てくれた師匠方には、浅草の老舗、帯源の帯を1本ずつ差し上げる。

それも必ず伯山自身が手渡していました。

さらに披露興行の節目節目で近くの店へ。

打ち上げと称する宴会です。

支払いはもちろん、真打になる本人です。

さらにお寿司とか、お蕎麦とかを楽屋に揃えておきます。

お酒も当然必要ですね。

師匠の中には、楽屋でかなり出来上がってしまった人もいました。

古今亭菊之丞がかつて1人で真打になった時、お金がたりなくなって、最終的に母親が生命保険を解約して払ってくれたという話は有名です。

1000万単位のお金が動く世界です。

とても普通の感覚では太刀打ちできません。

畦倉重四郎と中村仲蔵

どちらも講談です。

伯山TVに入っています。

畦倉重四郎はなんと19回の連続ものです。

希代の悪漢を5夜にわたって語ったものをアップしました。

その時の映像を全て流しています。

まだ神田松之丞と名乗っていた時の最後の連続読みです。

ぼくもまだ全部を見ていません。

とにかく長い。

この話を全てできる講談師は現在何人もいないそうです。

最初からご覧になってください。

チャレンジのしがいがありますよ。

是非トライしてみてください。

もう1本が「中村仲蔵」です。

こちらは落語にもなっています。

先日記事を書きました。

最後にリンクを貼っておきましょう。

新宿、浅草、池袋の初日はすべてこの話で幕をあけました。

1番下の階級から、名代にまで上り詰めたという歌舞伎役者の話です。

ぼくもやりますが、大変に難しい。

そして味わいにみちた人情味あふれる物語です。

浅草演芸場で収録したものです。

お客様の反応もよく、伯山ものっています。

ご覧ください。

神田伯山はマスコミへの露出度も最近、ますます進んでいます。

あちこちで見かけることと思います。

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講談師という絶滅危惧種に対する興味がある方は、とにかくYoutubeへ。

きっと楽しみを発見できるに違いありません。

最後までおつきあいくださり、ありがとうございました。

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