複数の課題文
みなさん、こんにちは。
小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。
今回はいくつも課題文がある問題の解答方法について考えてみましょう。
最近の傾向として複数の課題文が出るというケースはあまり多くありません。
長文がドカンと出題されるというケースの方が多いです。
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しかし全く出ないのかと言われると、そんなことはないと言うしかありません。
たまにはあります。
それでは課題文がいくつもある問題が出された時、どうしたらいいのでしょうか。
長文が3つもあると、それだけで茫然としてしまいます。
難関大学では時々ある情景です。
制限時間も2時間、あるいは3時間というのもあります。
もうこうなると、体力勝負です。
基本はいくつ課題文があろうと、まずじっくり読んで理解するというところから始めるしかありません。
しかし複雑な長文が3つもあると、それだけで驚いてしまいます。
国語の試験がないかわりに、小論文を課す大学などではこういうケースが多いようです。
国立大学の2次試験でも時々似たようなことがあります。
小論文試験を侮るととんでもないしっぺ返しを受けることになるのです。
基本はなんでしょうか。
あたりまえのことですが、設問条件をクリアすることです。
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入試というのは限られた時間と条件の中での争いです。
きちんと相手の要求を理解するというのが大切なのは言うまでもないでしょう。
しかしこれが案外見落とされがちです。
なぜか。
やはり慌てているからでしょうね。
どこまでも平常心で
長文が印刷されている試験問題を見た途端、平常心がどこかに吹き飛んでしまうのです。
何が必要とされているのか、問題の要求を冷静に受け止めてください。
よくあるのが、最初に要約を制限字数以内で示せというものです。
3題の課題があれば、きちんと3つ書かなくてはいけません。
これだけでもかなりのエネルギーを使います。
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要約を簡単に考えてはいけません。
ここで国語力の差が出るのです。
難解な文章であれば、語彙力も必要になります。
論理の枠組みもきちんと理解しなければなりません。
段落のつながりを冷静に読み取るのです。
よくあるパターンとして、次のようなケースがあります。
それぞれの文章の共通点と相違点を示せというものです。
これは問題を理解するための布石として大切なので、あらかじめやってもらおうという意図から生まれたものです。
つまりヒントをまず与えて理解させようというものです。
十分に利用しなければいけません。
ましてや得点になるのです。
ここで得点を稼いでおきましょう。
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この後にくるのがそれぞれの文章が述べていることについて考えるところを述べよという設問です。
つまり前の段階である程度、理解させておいてから次の内容に入るワケです。
この時に何をしたらいいのか。
3つの課題文の場合
2つの場合は明らかに論点の違う文章が出ます。
図式通りです。
対立するタイプの課題文が配置されることが多いです。
もし前の文章を補完する形式のものが出題されたら、長文が2つ続いていると考えてください。
では3つの場合はどうするのか。
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まずそれぞれの文章をよく読み、対立するテーマの軸をはっきりと区別することです。
その際、役に立つのが対義語、対義表現です。
内と外、表と裏、幸福と不幸、明るさと暗さ。
原因と結果、主観と内面、理念と実例、一般と特殊など。
出てくる表現をマークしながら、言葉の関係を明らかにしてください。
共通点の多い文と明らかに少ない文に別れていくはずです。
3つあったらどれとどれがもっとも対立的で、その間にもう1つの文が入るという位置関係を探してください。
1番距離の開いたものどうしの間に、最後の1つを挟むのです。
横に並べて単に列挙しただけでは、どうしてもその後の文章を組み立てるのが難しくなります。
必ず2対1に分けること。
これが基本中の基本です。
単に横並びにするのだけは絶対にしないこと。
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比較検討が全くできません。
対立関係をつねに利用することでしか、論点を明確にはできないのです。
しかしどうしても難しい時は対立点を任意につくってみましょう。
違いを創り出すというのも1つの方法です。
どこかにキーワードを設定し基準をつくることで、そこから見えてくる情景が以前と違うものになるということもあります。
その視点を利用して、3つの課題文の意図を分析するという方法も成立します。
いずれにしてもそれほどに簡単な問題が出るワケはありません。
覚悟してかからないと、なかなかに手ごわいことは言うまでもないのです。
切り口を見る
採点者は受験生の切り口を見ます。
どのように仮説をたてて、そこから3つの課題を切り分けたのか。
その方法を見たいのです。
これは大学に入ってから、あらゆる場面で必要になる能力です。
自分で問題を発見し、それを解析するという作業こそが「学ぶ」ということだからです。
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今までのように答えを暗記して、それで良しとするという態度では、新たな学問の世界に入っていくことはできません。
創り出すことこそが、新しい方法なのです。
このタイプの問題の難しさは、いろいろな分け方ができるというところです。
つまり正解はありません。
どの組み合わせでも解答は可能です。
それだけに何通りもの答えが考えられるワケです。
採点者にとってはかなり神経の疲れる作業です。
と同時に、受験生の能力を発見できる場面にもなります。
課題文と矛盾をしない結論を導き出す努力をしましょう。
それが最終的なアドバイスです。
どうですか。
かなり厄介ですね。
だからわざと複数の課題文を出すのです。
そして問題点を切り分ける能力をチェックするのです。
小論文は本当に難しい試験です。
では結論はどうしたらいいのか。
できるだけ一般化、抽象化してください。
3つも課題文が出るような問題の場合、単純な解決方法はまずないと考えるのが普通です。
採点者もそこにはあまり重点をおきません。
なんといっても切り口の新鮮さです。
そのためには複数の課題文をきちんと区分けしてください。
それができれば、成功です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。