【小論文の基礎】自分の立ち位置と姿勢の不明確な答案は採点の対象外

小論文

賛否をすぐに決める受験生

みなさん、こんにちは。

小論文添削歴20年の元高校国語科教師、すい喬です。

毎日、小論文の練習を続けていますか。

どんなことがあってもやめてはいけません。

少しずつうまくなります。

焦ってはいけませんよ。

1度に上達しようとするから無理が出るのです。

螺旋階段のように回りながら、うまくなっていくのです。

信じてください。

途中で投げ出さずに自分の文章がきちんと論理的にまとまったものになる日がくるまで、今の勉強を続けてください。

よく小論文の課題文に対して、賛成か反対かをきちんと示せという指導をされることがあります。

これを表面だけ理解してその通りにするととんでもないことになります。

いいですか。

落ち着いてください。

皆さんに問題文の審査員になれと言っているワケではないのです。

「正しいか」「正しくないか」を判断したからといって、設問の趣旨にあっているとは言いがたいのです。

文章の中から筆者の意見にあたる部分を取り出して、それに対する考え方を述べるというのが基本的なスタンスです。

よくあるパターンは、途中まで読んですぐに賛成か反対かを決めてしまうもの。

とくにある一部分の意見がとても自分には納得できないため、そこに噛みつく受験生がいます。

それも感情的にです。

geralt / Pixabay

いくら書きやすい箇所があったとしても、そこにだけ食いつくというのは最低のやり方です。

そういう答案は高く評価されません。

採点されない答案

「あなた自身の考えを書きなさい」という設問の仕方が多いということは先日も書きました。

この問いかけには、たくさんの落とし穴があります。

考えを書けというのはどういうことでしょうか。

あなたが感じたことを思った通りにのびのびと書けという意味ではありません。

筆者の考え方のポイントをきちんと捉え、それに対して、自分の立ち位置がどこにあるのかを示してから賛否を書くのです。

その際になぜ賛成なのか、反対なのかという基本的な自分の姿勢をきちんとまとめなくてはなりません。

簡単にいえば、その原因と結果について書きながら、自分自身の立場を明らかにするということです。

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受験生の答案にはあまり上手ではない文章が多いです。

課題文の中にある一言に異常に反応して、そこだけを論じようとするものが見受けられます。

自分の立ち位置がどこにあるのかなどと考えたこともないようです。

だから読んでいても説得力がありません。

つまりなにを論じたいのかがはっきりしないのです。

そんなことはないはずだと思っている人もいるでしょう。

しかしこれは事実です。

現在はメールやSNSに代表されるように、ごく短い文しか書かない人が多いようです。

そのせいかもしれないのです。

刹那的に感情を出すことはできても、それを論理的にきちんとした文章にすることが大変苦手です。

採点者は最初の数行を読んだだけで、どの程度の国語力があるかをすぐに見抜きます。

小論文は通常の国語の入学試験より、ずっと根っこの方にまで探索の目を広げることのできる試験なのです。

体験を踏まえるとは

これもよく出るパターンです。

あなたの体験や見聞を示しつつ、考えを書きなさいというものです。

しめたと思って、自分の経験を書きなぐる受験生がいます。

これにはお手上げですね。

自分のことを反省するだけの文や、過去の経験を披露する文章などは残念ながら真剣に読まれることはありません。

表現は悪いですが流し読みです。

多くの答案の中からキラリと光る文章を探すという行為は本当に疲れます。

なんとしても評価をつけなくてはならないのです。

採点者達は自分の持っている価値観を試されます。

ここまでは許容できるのか。

この文章ならば、次の文脈へ無理なく展開することが可能か。

ひたすら読み続けていきます。

おかしな論理が続いても、とにかくテーマが一貫しているかどうかを見極めようとするのです。

それなのに自分の体験がこうであったというような思い出をダラダラ書かれたら、どんな気がしますか。

それがテーマに沿って必要なものであれば、当然きちんと読みます。

そうでないものの場合、やはり流し読みにせざるを得ないでしょう。

対象を見据えて自分の立ち位置を示す。

さらに自己の姿勢をより明確にしていく。

これ以外に小論文で成功するパターンはありません。

自分の立場は文章の最初の方で明らかにしてしまった方が、あとの展開が楽です。

それを踏まえていけば、自分の基本的な姿勢を示すこともできます。

「確かに~」で文を始めるという教え方もその流儀の中の1つです。

まず最初に筆者の立場を評価しながら、その問題点をひろっていくというパターンです。

これは馴れると非常にうまく利用できます。

ただしいつもこの方法でできるかといえば、そうではありません。

そこが小論文の厄介なところでもあるのです。

後半がポイント

文章は終わりよければ全て良しです。

逆にいえば、最後のところで自分の意見がなぜそのような結論に至ったのかを明確に示せなければ意味がありません。

geralt / Pixabay

そのための理由付けもきちんとできましたか。

論理のバックアップがなければ、とても小論文を乗り越えることはできないのです。

存分に自分の論点を書き込んでください。

ただ反対するために反対しているといったような答案も多く見受けられます。

どうしても書くことがないと、感情が先走ってしまうのでしょう。

どこまでいっても落ち着いた筆致でぐいぐいと押し込んでいける人は、確かな文章力の持ち主です

自分とは全く反対の意見であっても必ずいいポイントや、参考になる点があるものです。

そこを見落とさないでください。

その視点をきちんと持っていれば採点者にも通じます。

落ち着いて相手の立場を冷静に把握できる能力があると認定されるのです。

どうしても書けなくなったら、その周縁を探りましょう。

ポイントになるヒントがその周りに落ちているはずです。

そこに幾つかのキーワードが潜んでいます。

1つでも2つでも見つけたら、その周囲をまわってください。

それだけでも文章が先にのびるはずです。

いいですか。

小論文は思い出を書く場所ではありません。

反省だけをする場所でもありません。

いつも冷静に、論理力で高い塔を積み上げていくところなのです。

そのことを忘れなければ、少々苦手なテーマが出題されたとしても、書き切れるのではないでしょうか。

頑張ってください。

採点に値する文章を書くこと。

これが今日の結論です。

最後までお読み下さり、ありがとうございました。

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