最後のまとめ
みなさん、こんにちは。
小論文添削歴20年の元高校国語科教師、すい喬です。
今回でやっと結論部分にたどり着きました。
いよいよ最終段階です。
問題提起から始まってここまで順番にストーリーを作り上げてきました。
「起承結」の最後は内容の展開と結論の要素を両方含んでいます。
第3部の展開の部分で自説を思い切り深堀りしたことと思います。
かなり字数を使ってしまいましたね。
残りはわずかしかありません。
約10%くらいしか残っていないに違いありません。
最後にどうやって結論を強く打ち出し、採点者の印象をよくするのか。
その点についてもう少し考えてみましょう。
簡単に言ってしまえば、YesNoをはっきりさせ、そこで打ち止めにすればいいのです。
余計なことを書く必要はありません。
自分はこれだけのことを頑張ってやっていくなどという目標をわざわざ書き込んだりしないこと。
よくいるんです。
こういうタイプの文章を書く人が…。
志望理由書ならそれも可能ですが、小論文の結論というのは、もっと淡白なものです。
今まで書き込んできた全ての内容が、ここで終わりを告げるのだということがわかれば、それでいいのです。
あまり余計なことを考えずに残りの字数を埋めてしまいましょう。
ただしパンチ力は必要です。
この結論以外にないということを採点者に納得させなければダメです。
何字まで書けばいいのか
最終的に制限字数のどのくらいまで書き込めばいいのでしょう。
基本は100%です。
最後のマス目がちょうど制限いっぱいというのなら、それが理想です。
しかし実際に書き始めてみると、なかなかそう簡単なものではありません。
目標は最低でも85%。
できたら90%以上、100%未満というところです。
なぜ制限字数にこだわるのでしょうか。
実力を測る時の指標だからです。
採点をしていて、最初に見るのは全体の字数です。
半分以下は問題外。
わずかな文字数しか書けないということは、実力がないということの証明になるのです。
80%以上書かれた文章くらいからが本当の採点対象です。
もちろん少ない字数のものも読みますよ。
しかし評価は低いです。
この段階から採点者との戦いが始まると考えてください。
どうしても書けない場合があります。
途中まできたのにストップしてしまった。
なんにもトピックスが思いつかない。
こういう時が1番苦しいです。
だれにでも経験があると思います。
どうしたらいいのでしょう。
そこで諦めたら終わりです。
本当の実力はこういう時に証明されるのです。
文中のたった一言に反応できるかどうか。
そこから世界を広げられるのかどうか。
これが小論文の踏ん張りどころなのです。
キーワードに着目する
どこから書き継いだらいいのか見当もつかない時の脱出法はいくつかあります。
試験場では本当に焦ります。
1番いいのは課題文の中に出てくるキーワードをもう一度組み立てなおすということです。
課題文の筆者はその内容に集中して文章をまとめているはずです。
そういう意味では最大のヒントなのです。
1番目のを使ってしまったとしても、もう1つくらい次の候補があるのではありませんか。
使わない手はありません。
その言葉ををめぐって筆者が何を言っているのか。
それを簡単にまとめてください。
メモをとるのです。
箇条書きにして文章にします。
その中の要素をYesとNoに分けます。
すると少しだけ、書けなかった全体の構図が見えてきます。
それが資料になるのです。
その意味で課題文のある文章はありがたいです。
むしろ課題文のない場合の方がつらいですね。
ほとんどヒントがないようなものです。
テーマだけがポンと差し出されるタイプの方が、そういう意味では難しいのです。
このあたりが1番苦しい場面です。
ここを乗り切れるかどうかが、実力の見せどころでしょうか。
メモを活用する
ポイントがよく見えない時こそ、最初に箇条書きにしたメモに頼るしかありません。
どこからどちらの方向に進めば、自分の論点をキープできるのか。
冷静な判断が必要なのです。
文章の中にYesNoの要素が全くみつからないものもたまにはあります。
どちらの立場に立てばいいのかわからなくなった時は、主張が明確な1点だけに絞ってください。
その賛否について論じればいいのです。
いずれにしても、短時間でまとまった文章が書けるようになるには、かなりの訓練が必要です。
1週間に1回ぐらいは先生にみてもらってください。
その際に癖を指摘されるはずです。
誰にでも文章のクセというのがあります。
それを指摘されたら、意識して消去していくことです。
さらに論理の立て方にも決まった傾向が現れます。
最近添削した例では、常に善悪の視点が入ってしまう生徒がいました。
事実をそのまま述べればいいのに、つい自分の価値観が先に出てしまうのです。
これはまずいやり方です。
いつも筆者の論理から離れてはいけません。
必ず付いて回り、筆者の視点で一緒に考える。
その中でこれは視点の置き方が違うとなったら、そこから自説を展開していけばいいのです。
最初からこの論理はいいとか悪いとかといった価値判断をすることは避けなくてはいけません。
いずれにしても先生に何度かみてもらうことで、自分の1番悪いところが見えてくるはずです。
それを順序よく整理していく。
その過程の中にしか、本当の力を養う場所はないと考えてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。