民法改正
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、すい喬です。
いよいよ4月1日から民法が大きく改正されますね。
新聞にも関係する記事が大きく載っています。
18歳からかなりの契約が可能になります。
法律上の成人とみなされるワケです。
権利の前進なのか、ただの早送りなのか。
議論のわかれるところです。
この問題は当然2023年度の入試に関わってきます。
小論文のテーマとして、権利の問題だけでなく、義務との関わりについても出題される可能性があるからです。
ちょうど、大学入試を受ける年齢とかさなることもありますね。
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高校を卒業する段階で選挙権を行使できるのです。
つまりあらゆる意味で、個人として公認されるということになります。
入試と公民権の問題をリンクさせるのはどうかと思います。
しかしちょうど、その年齢に達した時に大学に入るというのは1つのエポックであることに違いはありません。
出題する側としては、いくつかの点で確認し、今後の成長の要にしたいと考えても不思議はありません。
大きな変更点は何でしょうか。
最大のものは1人で契約を行えるようになることです。
親の同意がなくてもクレジットカードを作ったり、携帯電話を契約をしたりできるのです。
車を買う、1人暮らしをするという時に、ローンを組んだり、アパートの契約をしたりすることも可能になります。
可動域が広がる
ほかにも、有効期間が10年のパスポート取得や、性同一性障害の人の性別変更の申し立てなどもできるようになります。
その他、裁判員に選ばれることも可能です。
今までは日本と外国の2重国籍の人は20歳の段階で選ぶことになっていました。
それも18歳になります。
さらに女性の結婚年齢が男性と同じ18歳になります。
親の承諾は不要です。
1番懸念されるのが、ローンを組む時のトラブルでしょうね。
今まで民法は、未成年者に対して、契約の安全を最大限の目標にしていました。
悪質な業者から保護していたのです。
しかしこれが4月からは全部はずれてしまいます。
ちょっと想像すれば、すぐにわかりますね。
数百万円もする自動車を親の承諾なしに買えるのです。
ローン契約を組むことも可能です。
高額な商材にはさまざまなローンが絡みます。
どんなトラブルが起こるのか、考えただけでも結果は目に見えています。
本人と業者が承諾した契約は、全て有効となります。
クレジットカードや、携帯電話の契約も全て本人だけでできます。
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カードにはキャッシングというシステムもついています。
一定の額まではATMで借りることができるのです。
商品の購入とあわせて、リボルビング払いなどと併用したら、いくらの借金があるのかもわからなくなってしまいます。
さらにはその額がいつまでも減らないという怖さもあります。
もちろん未成年保護の視点が、全てなくなるワケではありません。
しかしほぼ全てが自己責任になると考えた方がいいでしょう。
当局としては犯罪の温床になるのを、黙って放置しておくこともできません。
新たに監視体制を設けることにしています。
貸付件数が急に増えている業者のチェック。
金額が多かったりする業者から事情を聞くなどということもします。
犯罪が疑われる場合は立ち入り検査を行い、是正を求めることもする予定です。
しかし常に個人が危険にさらされる可能性がついてまわります。
なぜ変わるのか
成人年齢が引き下げられるといっても、変わるのは契約に関する部分が大半です。
法律に関わる成人についてはかなりの部分がそのまま残ります。
飲酒や喫煙がその代表でしょうね。
これまで通り、20歳未満は禁止です。
競馬や競輪などの公営ギャンブルもこれまで通り禁止です。
国民年金に加入する義務が生じる年齢も20歳以上のままです。
それではなぜこの時期に18歳になるのでしょうか。
唐突な印象をもつ人もいるでしょうね。
選挙権の時にも少し早いのではないかという議論がありました。
日本で成人年齢が20歳になったのは140年以上も前の話です。
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明治9年、太政官布告で定められたのです。
今日、世界の流れは明らかにかわっています。
成人年齢は18歳とするのが主流なのです。
日本で現在考えられていることは、憲法改正に関する国民投票の投票権です。
これを18歳にしたことが世界標準への流れを決定づけました。
そこから選挙権まではわずかな距離でした。
はやく若年者にも政治に参加してもらいたい。
国の政策の見直しに若者の意見を反映したいという動きです。
それが民法改正への潮流を決定づけました。
少子高齢化
より根本的には少子高齢化の問題があります。
20歳まで待っているゆとりがなくなってきたのです。
社会福祉予算は逼迫しつつあります。
健康保険制度、年金財政をとってみても、若者が20歳までに達するのを待っていられません。
市民生活に関わる民法の抜本的な改革にも彼らの参加を促すということになったのです。
本音をいえば、はやく働いて欲しい。
税金や、福祉予算の原資にあたる積立をしてもらいたい。
そのために社会ルールをよりゆるくして、個人の活性化を図るという方向です。
これはOECDに参加している国々に共通しています。
統計によれば35の加盟国のうち32の国が、成人年齢を18歳に定めています。
まさに世界標準といってもさしつかえないと思います。
方向性については理解ができたとしましょう。
しかし現実は理屈通りにはいきません。
貸金業も金利の上限がきめられ、非常に商売がやりにくくなっています。
そこへ若い世代の解禁です。
喩えは悪いですが池の鯉のようなものです。
若い人にとって欲しいものはいくらでもあります。
しかしお金はない。
クレジットカードなどは次々とお金を生み出す打ち出の小槌といってもいいでしょう。
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金銭知識もあまりない。
金利に対しても、管理意識が甘いのです。
業者はクーリングオフ制度の盲点をよく知っています。
これからは、ますます学校などにおいて、金銭管理に関する教育を幅広く行っていく必要があるでしょうね。
そこに向けて小論文の問題が背景の説明とともに、焦点をあててくる可能性は大きいです。
友人からのSNSなどによる勧誘なども増加するに違いありません。
ネットの時代です。
トラブルにあわないための細心の注意が必要です。
民法の内容についても研究を続けておいてください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。