【小論文・コロナ後】同じ環境には戻れない世界の明日を覚悟して生きる

小論文

生態系の混乱

みなさん、こんにちは。

小論文添削歴20年の元高校国語科教師すい喬です。

今回もコロナ後の世界の問題を考えましょう。

環境に関してのテーマです。

人間とウィルスとの戦いはある意味、永遠のテーマです。

新型コロナウィルス蔓延についても、様々な憶測がなされています。

以前からウィルスの感染ルートは研究されてきました。

主としては野生動物からヒトにうつるパータンが1番多いのです。

今までに新型コロナ、エボラ出血熱、SARS、エイズなどと、次々と違ったタイプのものが出現しています。

その理由はどこにあるのでしょうか。 

基本は環境の問題です。

ここが入試には1番出題しやすいポイントになります。

具体的にみてみましょう。

つまり人間による環境破壊で生態系が混乱を起こしてしまうということです。

以前ならば絶対に人間が踏み込まなかった環境へ近づきすぎたとでもいえばいいのでしょうか。

その1つが開発です。

密林などの奥地へ人が入る。

そのことによって居住区を失った動物たちがさらに奥地へと向かいます。

Activedia / Pixabay

その際、ヒトに伝染するというのです。

もう1つは地球温暖化です。

これは今や地球にとって喫緊の問題です。

海流の温度が変化し、日本近海でも漁獲量の減少が著しいことはよく知られています。

あれだけ日本人になじみのあるサンマなども近年、捕れなくなりつつあります。

集中豪雨や突発的な暴風雨など珍しいものではなくなりました。

空間の近接

地球温暖化によって、野生生物がヒトに近づく機会が増えました。

以前なら密林の奥でひそかに暮らしていた動物たちが食糧難に襲われることも増えたのです。

つまり人と暮らすための空間が近くなりました。

今回の新型コロナウィルスもはっきりしたことはわかりませんが、原因は野生生物からの伝染といわれています。

ウイルスがヒトに伝播しやすくなったのです。

それだけではありません。

今までと違うのは何か。

それは感染スピードの速さです。

geralt / Pixabay

最初に中国の武漢から始まった今回のコロナ蔓延。

報道の当初、言い方は悪いですが対岸の火事のような様相でした。

それがクルーズ船におけるウィルス蔓延から一気に他人ごとではなくなったのです。

その後のヨーロッパ、アメリカへの伝搬のスピードをみると、怖ろしさを感じます。

一言でいえば、グローバル化の影響という以外にはありません。

人を運び、ものを運ぶという物流の流れは、想像以上の速さを持っています。

わずか数時間で地球を半周してしまう飛行機は、瞬く間に新型ウィルスの感染源になりました。

慌てて空港での入出国をとめたものの、時すでに遅しです。

と同時に都市化した世界の主要地域は、完全にコロナウィルスが生き残るにふさわしい増殖場になってしまったのです。

geralt / Pixabay

都市の間を移動し、人もものも動くという現代の構図を止めることはできません。

環境と経済がここまで密接に繋がっているのです。

地球温暖化はCO2を減らせばいいのだと簡単に考えていた人たちにとっては、衝撃だったと思います。

移動しなければいいのか

経済の開発と移動は不可分です。

人とものが動くことが交易の基本です。

飛行機や自動車での物流を拒否することは、経済生活をストップさせることになります。

近年、新しい環境を求めて、使える自然はすべて使うという考え方が主流です。

アジアの島国の森林資源、アマゾンの密林。

全てがそのための草刈り場です。

市場主義が進めば、当然熱帯雨林の破壊へ進みます

自然林をみな壊して、パーム椰子にかえたマレーシアの農園をかつて訪ねたことがあります。

その広大な敷地にあった自然林は跡形もなく消滅していました。

その代わりが地球温暖化などによる病気の蔓延です。

訪れた当時もマラリアなどの薬やデング熱予防の薬液などを身体に塗った記憶があります。

しかし薬がある状態ならば、ある程度の準備はできます。

今回はそれもないのです。

自然を使い尽くす開発という考え方をあらためない限り、再び次のウィルスがあらわれる可能性があります。

これは断言していいでしょう。

現在もワクチンの開発に取り組んでいますが、その開発以前に次の新型ウィルスが出現しないとも限らないのです。

どうしたらいいのでしょうか。

エネルギーを全く使わずに生きていくのは無理です

人が移動するために使っている航空燃料の量を考えればわかります。

確かに低燃費のエンジンを現在も開発しています。

かつてのジャンボジェットのような時代ではありません。

しかし航空燃料を使わないという選択肢は考えられないのです。

インフラの未来

経済を回復しながらエネルギーを保つ必要があることは誰にもわかります。

これ以上の難問はありません。

自然を利用した太陽、風力、地熱発電などの再生可能エネルギーは価格の高いことがネックです。

だからといって石炭火力、ガス火力、原子力発電の利用に全て委ねることもできません。

福島原発の事故は原子力発電が安価で安全だという神話の下で起こりました。

完全に元に戻るために、これから何年の歳月がかかるのか。

原子力発電所を廃棄するため、どれほどの費用がかかるのか。

試算は次々と変更を余儀なくされています。

CO2を削減していくための道のりは平たんではありません。

しかし電力の供給をとめることもできません。

経済が進みすぎたのかもしれないとふと思います。

あまりに生活が便利になりすぎました。

そこへやってきた神の啓示が、今回の新型コロナウィルスだと考えることもできます。

1918~20年に流行し、2000万から4000万人の死者を出したとされるスペイン風邪の例もあります。

第2、第3の波が来ないという確信は持てません。

3密を守るということの他に、私たちにできることはそう多くないのです。

今はひたすらワクチン開発への時間をかせぐという考え方をとる以外に方法はないでしょう。

持続可能な開発目標(SDGs)のことは以前書きました。

国連が目標とした新しい環境への提言です。

リンクを貼っておきます。

後で読んでみてください。

おそらく人間は今、試されているのです。

どこまで知性をもって、この難局に対することができるのか。

その力量をみられているのかもしれません。

100年に1度の大惨事です。

2021年度の小論文問題に出ないワケがありません。

必ず出題されます。

今回は環境との関連をもたせて、論点を整理しました。

勉強を続けてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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