看護系転職
みなさん、こんにちは。
元都立高校国語科教師、ブロガーのすい喬です。
前回は看護系の専門学校、大学に進学したい人のために小論文のポイントをまとめました。
今回はもう少し踏み込んで、実際看護師になったあとの転職について考えたいと思います。
なぜでしょうか。
それだけ看護師の世界では転職が多いのです。
理由はいくつかあります。
人間関係でパワハラ、セクハラなどにあい、疲れてしまった。
サービス残業などが多く、仕事そのものがブラック化している。
元々、看護師の仕事に向いていない。
給料が思うように昇級しない。
多くの理由がこのいずれかを重ね合わせたものではないでしょうか。
看護師は元々専門職なので、通常の事務職などに比べると高給の部類に入ります。
しかし仕事は大変に密度が濃く、特に超過勤務についてはよく語られます。
夜間など、数人の看護師が多数の患者のケアをしなくてはなりません。
誰かが休むとその補充ができないため、夜勤が続いたりすることもあります。
また患者とのコミュニケーションをたえず円滑にとらなくてはならないため、神経を使います。
それが蓄積されて疲労の原因となることが多いのです。
その結果、医療ミスなどが起こると責任問題が発生します。
つねに周囲を見回し、的確な判断を強いられる仕事だといえるのです。
1,2年のうちはそれでも経験のためだというわけで、我慢をすることもあるでしょう。
あるいは卒業した学校に付属した病院に、数年間勤務しなくてはならないという決まりがあったりもします。
奨学金を返すまでは在籍しなければいけないという話も聞きます。
いろいろな形のしばりがあるのです。
正看、准看、助産師などと同じ看護師といっても違いがあります。
さらに大病院、クリニック、介護施設、企業内診療所などのように形態もかなり違います。
ひとまとめにして論点を整理するということはなかなか難しいのです。
あるいは結婚して出産のため、一時休職をするということもあるでしょう。
また子育て中は日勤だけのパート勤務を希望するということもあります。
一概に転職といっても、内容はさまざまだと言えるのではないでしょうか。
とにかく時間をとってじっくりと考えてください。
先輩や友人に相談するのもいいでしょう。
自分自身がかわらなければ、職場の人間関係がかわっても同じことがまた起きる可能性もあります。
同じミスを繰り返しては何の意味もありません。
相談はいくらしてもかまいませんが、最後の決断は自分でします。
金銭の問題もからみますので、家族の方とは生活全般のことをよく話し合う必要があります。
志望動機
さて実際に転職をしようと決意すると、必要なものがいくつか出てきます。
その第1が履歴書です。
その中に必ず志望動機を書く欄があります。
これを簡単に考えてはいけません。
ここに書かれたことを見て面接をするのです。
人となりを見るときの大きな接点がこの志望動機の欄です。
どのような理由で転職を考えたのかを明確に書き込んでください。
ここは「ですます調」でかまいません。
一通り、要注意点だけ書いておきます。
基本はネガティブな理由での転職と感じさせないことです。
先ほどあげた転職の理由が少なからず関係していることは、担当者なら誰でも知っていることです。
それでも前向きに努力する姿勢を示してください。
長く勤めることを前提にしましょう。
すぐにやめられては困ります。
とにかくできるだけ長く働きたいという意思を必ず示すことが大切です。
志望動機の例文などをそのまま写したりしないことです。
なかにはよく参考になるサイトとか本などをそのままコピペする人などもいます。
その時点で採用は無理だと考えてください。
あくまでもオリジナリティを基本にすることが大切です。
志望動機の内容が待遇・福利厚生に偏っているものはダメです。
これはなかなかに難しい問題です。
誰もがいい条件であることを望むのは当然です。
しかし給与、休日、残業、研修、教育制度などについてばかり書いてある志望動機を読んだ時、担当者はどう思うでしょうか。
過去の自慢話が多いのはNGです。
ここからが始まりだという意識が大切です。
時々、自分がこの新しい職場で成長したいということばかりを前面に押し立てて書く人がいます。
これはやめること。
病院はなんのためにあるのかということがポイントです。
このようなことについて十分注意し、自分の気持ちに正直に書けば、内容が平凡なものになることはありません。
立派な志望動機になりうるでしょう。
転職小論文
今回のテーマはその後です。
レベルの高い病院では、転職の時、小論文を課すことがあります。
看護系の専門学校や大学に入学する時出題される問題と、それほどに違うわけではありません。
しかし実際に経験を積んできた人を対象に行うものです。
そこには自ずと現場感覚が光ったものを要求されると考えた方がいいでしょう。
看護師転職時の課題で多いものは以下の通りです。
参考にしてください。
2 看護師をめざすことになったきっかけは何か
3 チーム医療について自分の意見を書きなさい
4 再生医療に関することで知っていることは何か
5 学校時代の看護実習で印象に残っていることを書きなさい
6 今まで看護業務をする上でもっとも大切にしてきたことは何か
7 女性の社会進出について述べなさい
8 情報化社会と医療の今後はどうなるのか書きなさい
9 科学技術の進歩に期待する医療への恩恵について書きなさい
10 高齢化社会に向けて看護師ができることとは何か
この他、さらに難しいテーマが出題されることもあります。
12 インフォームドコンセントについて知っていることを書きなさい
13 出生前診断に対するあなたの意見を述べなさい
14 近年の環境問題で最も気になることは何か
15 性同一性障害をどのように考えたらいいのか。意見を書きなさい
問題を見て、どこまでテーマを理解できるでしょうか。
良い文章はあくまでも勝手にまとめたものではありません。
決められた時間の中で、制限字数以内に書ける力が本当の実力です。
試験官を唸らせる名文を書く必要はありません。
合格して採用されれば、それでよいのです。
だからといって全てのテーマに対して、十分な知識を持っている訳ではないでしょう。
こんなに難しいのでは書けないと尻込みしてしまうこともあるかと思います。
その時は知っているところまでで、なんとかまとめてください。
重要語句などは一度基本的なものだけでもまとめておく必要があります。
看護師にとって必要な考え方は、医療の倫理を重視するということです。
患者ファースト
患者主体の医療の中に「インフォームドコンセント」の思想があるのです。
これから患者の側も自己決定権の有り様をさらに主張し始めるでしょう。
医療ミスがあれば、すぐに訴訟という時代です。
高齢化社会に入り、ターミナルケアということも必要になってきました。
ホスピスの存在も含め、治療というより、看護という思想がますます広がっていくだろうと思われます。
やさしさを前提とした医療がますます必要になります。
そうしたことを絶対に忘れず、小論文の中に書き込んでください。
ぼくの別のサイトに、看護系小論文の書き方に関するものや、小論文そのものの書き方に関するものがいくつかあります。
進学のカテゴリーに入っていますので、そちらを参照してください。
小論文の文体は「である」調が基本です。
主語は「私」。
これ以外は使わないでください。
長い文章は絶対にダメ。
初心者は原稿用紙2行以上書くと、突然文脈が乱れ始め、主部と述部の関係がみえなくなります。
これが悪文の最初のパターンです。
長い文章は絶対に書かないこと。
自分の経験をさりげなく書き込むのは悪いことではありません。
そこで学んだことを素直に文字にしてください。
ただし自慢話はダメです。
字数も多すぎてはいけません。
全体とのバランスの上にたって、具体例をいれていくこと。
これを守ってください。
あらかじめ、何本か書いてみて、大きな声で読んでみるのもいい方法です。
是非、声に出してみてください。
黙読だけでは、どこが悪いのかよくわかりません。
すばらしい小論文が書け、いい転職ができることを心からお祈りしています。
最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。