人生は不条理
みなさん、こんにちは。
小論文添削歴20年の元都立高校国語科教師、すい喬です。
暑い夏もまもなく終わります。
いよいよ入試の季節がやってきます。
推薦入試は始まりが早いです。
2学期に入った途端に、学校は一気に入試モードになります。
今年はコロナ禍で文化祭などの行事も縮小傾向のようです。
中止になってしまった学校も多いとのこと。
なんとも悲しいですね。
学生時代は何度もきません。
人生に1度だけなのです。
その意味では修学旅行、体育祭などと並ぶ大きな行事がなくなるというのはあまりにつらいです。
だからといって悔やんでばかりもいられないのが現実です。
人生は不条理です。
何がいつ災難として訪れるのかは、だれにも分かりません。
今できることを最大限頑張るしかないでしょう。
本当に無念ですが、これも試練と考える以外にないでしょうね。
ただし入試はあります。
英検やTOEICなどの外部試験も会場の確保に苦労しているという報道がされています。
紆余曲折はあれど、今年の末から来年早々にかけて、入学試験が行われます。
あなたの未来を決める大切な試験です。
万全の態勢で臨みましょう。
小論文は読みやすい順序で
推薦入試と切ってもきれないのが小論文です。
これをクリアすることが最終面接へのカギです。
何を書くか。
頭が痛くなりますね。
練習はしていますか。
過去問はチェックしましたか。
これだけはきちんとやってください。
志望する大学が過去にどのような問題を出したのかを知らずに受験するのは無謀です。
敵に向かって武器を持たずに進軍するのと同じです。
まず調べてください。
それから練習をする。
何が1番出やすい問題なのか。
パターン化できるか。
今年の予想も可能か。
あらゆる側面から調べてください。
さていよいよ原稿用紙に向かうことになりました。
最初は問題文をじっくり読むことです。
マークしながら、キーワードを探す。
何度も出てくる表現は、筆者が強調しているところです。
具体例はとりあえず飛ばしましょう。
一般論で抽象的な内容のところはありませんか。
それも同じ言葉が何度もでてくるところ。
それをおさえてください。
そこがキモです。
ポイントなのです。
テーマをつかまえたら
地球温暖化、環境破壊が試験のテーマだったとしましょう。
筆者はなにを主張していますか。
経済中心の考え方でこのまま世界が動いていけば、必ず地球は滅びると書いてあったとします。
この考え方に賛成ですか、反対ですか。
物質的に満たされて生きていくことを肯定しますか、否定しますか。
もし自分が科学技術の進歩に賛成しつつ、物質的にも豊かな生活をおくることを希望している。
しかし地球の環境をこれ以上悪化させるのは止めたいとしたら、あなたの立ち位置はどこになりますか。
科学の発展は近代ヨーロッパの思考の産物です。
人間が自然を自分たちに都合よく変形させてきたことの結果が現在なのです。
夏の暑さにしても、過去のものとは明らかに質が違います。
人間に快適な気温を保つためにつくられたエアコンが、逆に地球をあたためすぎているのです。
それでもやはり涼しい快適な環境を保ち続けたいとしたら、あなたに可能なことはなんでしょう。
そのポイントを1つ1つおさえていくことです。
かなり矛盾した内容をそれでも貫き通していくためには、何かしらの方策がいります。
しかしそれ以前に自然と人間の関係をきちんとまとめておかないと、あなたの立ち位置が不安定なものになります。
たんなる我が儘になってしまうのです。
楽な環境で暮らしたいが、苦労するのはイヤだとなってしまうのです。
これでは採点者にアピールすることはできないでしょう。
ポイントの後に解決への道筋を
自分自身が抱えている矛盾をしっかり見つめて現状をまとめたとします。
直視することは大切です。
ここが見えていないと、この受験生は夢みたいなことばかりを言っているということになってしまいます。
まずきちんと分析したうえで、次に可能なことを考えるのです。
自分の立ち位置に対する冷静さが必須です。
どうすればいいのか。
ただ手をこまねいているワケにはいきません。
なんらかの手を加えなければならないのです。
分析の後は方法の提示です。
科学技術が勝手に暴走してしまいました。
この開発速度を遅くすることはできないのか。
化石燃料も必ず尽きてしまう時がきます。
バイオテクノロジーの開発により、人類にとって有益な研究がなされる可能性もあります。
しかしBC兵器として核開発よりも怖ろしい技術になることも考えられるのです。
森林破壊によって自然が縮小することの意味も重いです。
その時のために次のクリーン代替エネルギーを考えなくてはなりません。
自然の力そのものをうまく利用した太陽光パネル、風力発電、地熱発電の可能性はどの程度あるのでしょうか。
ここで出てくるのが経済中心の世界を根本的にどう変革するのかということでしょう。
再びこのテーマは最初のポイントに戻ってきました。
最終的には、意識の変革こそが重要なのです。
ライフスタイルそのものの見直しです。
みながゴミを捨てずに少しずつリサイクルするだけで、環境は大きく変化します。
そのことに気づいただけでも、このテーマを提出したことは意味を持つでしょう。
試験の採点者は、よく考えたと感じるはずです。
小論文では有効な解決策をすぐに出せと言っているワケではありません。
そのための道筋を考える力があるのかを見極めたいのです。
ポイントが最初です。
問題点の認識がなければ、小論文になりません。
それを追いかけるようにして、理由の説明や例示などがあればいいのです。
小論文には読みやすい順序があります。
必ず守ってください。
結論に至るまで、段落の順序はあくまでも自然であること。
これを守らないと、高い評価にはなりません。
何度も練習をしてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。